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2052 今後40年のグローバル予測
ヨルゲン・ランダース
日経BP社 ( 2013-01-09 )
ISBN: 9784822249410


本書を知ったきっかけは、東京朝活読書会で知り合った金内さんのブログです。金内さんが2013年読んだ本の第1位に選んでいました。



「未来予測」の類の本なのですが、そんじょそこらの予測本ではありません。というのは、著者のヨルゲン・ランダース氏は40年来、このテーマにかかりっきりなのですから。本書の英語版が出版されたのが2012年。その40年前の1972年に出版されたのが、ローマクラブによる『成長の限界』でした。「人口増加や経済成長を抑制しなければ、地球と人類は、環境汚染、食糧不足など100年以内に破滅する」と警告した本です。 ヨルゲン・ランダース氏は『成長の限界』の編集に携わりました。



1972年から40年経ち、その間に起きた変化から、さらに40年先を見通したというのが、本書の位置づけです。人口増加、エネルギーと環境問題、食糧問題、非物質的な未来、人間の精神という5つの問題に対し、真正面から向き合う本です。


目次

序文 未来は何をもたらすか?

第1部 背景

 第1章 未来についての懸念

 第2章 2052年に向けて危惧される5つの問題

  資本主義の終焉?

  経済成長は終わるのか?

  緩やかな民主主義は終わるのか?

  世代間の調和は終わるのか?

  安定した気候は終わるのか?

第2部 私の世界予測

 第3章 私の予測の根拠

 第4章 2052年までの人口と消費

 第5章 2052年までのエネルギーとCO2事情

 第6章 2052年までの食料事情

 第7章 2052年に向かう非物質的未来

 第8章 2052年の時代精神

第3部 分析

 第9章 未来についての考察

 第10章 5つのグループの未来

 第11章 他の未来予測との比較

 第12章 あなたは何をすべきか

地球社会へ最後の警告 竹中平蔵


すでに手遅れかもしれない


残念ながら、本書の描く未来は悲観的です。特にCO2濃度上昇がもたらす地球温暖化についてです。「手遅れ」というと語弊があるかもしれませんが、しかし、そういうことです。2052年ごろまでには2度前後上昇する見込みです。しかし、手遅れになるにも、人類自らが努力した後の手遅れなのか、そうでないのかによって差がありそうです。


なぜ手遅れになるのか?端的に申せば「民主主義」のせいです。民主主義ではかえって政治的な決定に時間がかかりすぎてしまいます。

私たちの反応と決定に時間がかかりすぎるため、世界はこうした限界を超えてオーバーシュートに至る、と予測した。

つまり、民主主義が最も進んだアメリカが最も手遅れとなり、世界最大の人口を抱えながら一党独裁政治を続けるお隣の中国は、大国でありながら、迅速な対応ができそうです。中国の首脳部は、この未来予測をすでに分かっているように思います。


環境以前に崩壊の危険性が高いこと


温暖化といっても、大惨事的な環境崩壊以前に、崩壊してしまう懸念があります。それは、我々の暮らしそのものです。

オーバーシュートして崩壊するのは、人口でもGDPでもなく、人間の「豊かな暮らし」なのである。

現在、地球に生存する生物に対する人類の需要は生態系から生産される供給量、地球のバイオキャパシティを約40%も超えている。


地球全体で人類が目指すべき方向


我々人類は、地球に負荷をかけすぎてしまったようです。しかし人類に叡智があるのなら、我々が目指すべきは「自然任せの崩壊」ではなく「管理された衰退」です。

後退する方法は二つしかない。「管理された衰退」か「自然任せの崩壊」である。

「持続可能性を目指す」のではなく、「持続不可能性を避ける」ことを提案する。持続可能性は、持続不可能性をひとつずつ特定し、除いていくことによって達成できる。


日本は課題先進国


「日本は課題先進国」とよく言われます。人口に占める高齢者の割合は世界最高です。GDPに対する財政赤字の割合も世界最高です。エネルギー自給率も食料自給率もともに低く、かつ、原発事故を起こしてしまったために、エネルギー政策も課題を抱えてしまいました。八方塞がりです。


しかし、こうとも言えます。現在の日本の姿は、近い将来、世界が遭遇する姿であると。


であるならば、日本人が施した対策・解決策は、世界に対して提供できる可能性が高いのではないでしょうか?日本人にとってはよいビジネスチャンスと言えるかもしれません。


持続不可能性を避ける20個のアドバイス


我々の未来は厳しいとしても、その厳しさにハードランディングするのではなく、多少なりとも和らげることのできる20個のアドバイスが本書の最後のほうに書かれています。非常に興味深いので全件リストアップします。

  1. 収入より満足に目を向ける
  2. やがて消えていくものに興味を向けない
  3. 最新の電子エンターテインメントに投資し、それを好きになろう
  4. 子供たちに無垢の自然を愛することを教えない
  5. 生物多様性に興味があるなら、今のうちに行って見ておこう
  6. 大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこう
  7. 気候変動の影響のないところに住みなさい
  8. 決定を下すことのできる国に引越しなさい
  9. あなたの生活水準を脅かす持続不可能性について知ろう
  10. サービス業や介護の仕事が嫌なら、省エネ関連か再生可能エネルギーの分野で働きなさい
  11. 子供たちに北京語を習うように勧めなさい
  12. 成長がよいことだという考えから脱却する
  13. 化石を基にした資産は、ある日突然、その価値を失うことを忘れないように
  14. 社会不安に影響を受けないものに投資しよう
  15. 相応の義務以上のことをしよう。将来後ろめたい思いをしなくて済むように
  16. 現在の持続不可能性の中にビジネスの可能性を探ろう
  17. ビジネスで、高い成長性と高い利益率を混同しないように
  18. 選挙で再選を望むなら、短期的に結果が出る公約を掲げよう。
  19. 未来の政治は物理的限界(生産する土地がなくなること)に左右されることを覚えておこう
  20. 政治において、限りある資源の平等な入手は、言論の自由に勝ることを認めよう。

そのうち、もっとも興味深かった2点を引用します。

  • 15. 相応の義務以上のことをしよう。将来後ろめたい思いをしなくて済むように
    将来子どもや孫に、「2000年代初期、温室効果ガスの排出がコントロールしきれなくなった時に、お父さん(おじいちゃん)は、何をしていたの。」と聞かれた時に備えて、答えを用意しておくことだ。

  • 18. 選挙で再選を望むなら、短期的に結果が出る公約を掲げよう。
    近年、賢明な長期的政策を人々に強制できた指導者は、EU(気候問題において)と中国共産党(経済発展において)だけのように思える。その理由はおそらく、大部分の政治家とは違って、どちらも民主主義によるコントロールが利かないところにあるからだろう。


2052のFacebookページ。36番目に「いいね!」をした。

2052_facebook


関連書籍


1972年の未来警鐘の本。『2052 今後40年のグローバル予測』は、本書の後継という位置づけになる。未読。



『2052』とは逆に資本主義によるこれまでの繁栄をテーマにした本。膨大なエネルギーを手にしたことにより人類が繁栄できたのも事実。上下巻合わせて読了済み。


未来の働き方をデザインしよう―2030年のエコワークスタイルブック (B&Tブックス)
石田 秀輝, 古川 柳蔵, コクヨ㈱RDIセンター
日刊工業新聞社 ( 2011-11-21 )
ISBN: 9784526067822


エネルギーが足りなくなるであろうことを前提にした未来の働き方を予測。



ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則
バーバラ・フレドリクソン
日本実業出版社 ( 2010-06-24 )
ISBN: 9784534047243


2冊まとめて、ブログ記事を書きました。




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