江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社プラスアルファ新書)江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社プラスアルファ新書)
著者:古川 愛哲
講談社(2008-01-24)
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先週読了した歴史関連の新書。


2000年以降、元気のない日本。日本人の良さを再考するには、日本の歴史、特に江戸時代以降の歴史を振り返るとよいと思っている。本書のタイトルはやや大げさな感が否めないが、それでも江戸時代について知らない事実がたくさんあった。少し列挙してみる。

  • 一文の相場(47.6円相当)
  • 長屋の家賃相場、400文(19000円)
  • 男女比、吉宗治世以前は3:1
  • 女性の着物はインテリアだった。
  • 「年季者」の意味。現在の意味は誤用。「年季を入れる」とは、親方の人別(戸籍)に入って、衣食を与えられながら修業をすること。
  • 初詣は昭和以降。江戸時代にはなかった。
  • 年貢の納入は旧暦の10月から2月(3月)まで。江戸時代の会計年度は4月から始まり、今日に受け継がれる。


Shunga Arte ed eros in Giappone nel periodo Edo / br1dotcom

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また、本書は江戸時代のアダルト事情についても詳しく述べている。江戸時代前半の江戸では男女比3:1だったこともあり、圧倒的に女性不足で、多くの男性が伴侶を見つけられなかったことになる。そんな世の中で楽しみの一つが浮世絵であった。また、女房の貸し借りも頻繁にあったらしい。そして驚くべきは、幼君への性教育。世継ぎを作ることは殿様の第一の務め。そのため、女中が幼君を鍛えていたとのことである。いやーなんともうらやましい。詳細はご想像にお任せします。


さて本書のタイトルどおり、明治時代にねじ曲げられてしまった代表例が、5代将軍徳川綱吉の施策「生類憐みの令」だろう。現代の評価はまるで愚策扱いだが、本当のところは違った。生類憐みの令が発せられるまで、馬や犬などの家畜は平然と捨てられた。江戸市中は野良犬だらけだったのである。「生類憐みの令」は飼育責任を問うた法律であって、家畜を捨てた者を罰する法律であった。これは今すぐにでも、学校教育で訂正して欲しい。


明治時代になると、江戸時代は全否定されることになった。「四民平等」は武士階級を否定し、「文明開化」は江戸時代までの風習を否定した。そして「生類憐みの令」などの施策も愚策として喧伝され、今日に至っている。明治時代にかけられたフィルターを取り除いて、江戸時代をあらためて再考したいものである。


江戸後期、江戸の人口は100万人に達したわけだが、これは当時世界最大級の都市であった。同時期のヨーロッパの都市が不衛生で治安が悪かったことを考えると、江戸は世界に稀に見る衛生的かつ治安の良い都市だった。そしてこれは現在の東京を始めとする日本の都市にも当てはまる。日本を訪れたことのある外国人が日本に対して賞賛やまない点、日本人が卑下して気づいていない日本の良い点は、まさにこのことである。



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