本書を読むことになったのは、『社会とは何か』を読んで、「社会の成立」がフランス革命と深く関わっていることを知ったことがきっかけだ。Amazonレビューを参考にしたところ、本書が比較的新しく評価も高かったため、読んでみることにした。
目次
- 序章 フランス革命とは
- 第一章 「古き良き革命」の時代
- 第二章 革命的動乱の時代へ
- 第三章 国王の死
- 第四章 ジャコバン政府の時代
- 第五章 恐怖政治ー革命政府の暗黒面
- 第六章 ナポレオンの登場
史実に忠実なノンフィクションでありながらも、タイトルに「物語」とあるとおり、写実的な表現にあふれている。ぐいぐいと引き込まれるような読み応えがあり、あっという間に読了してしまった。
タイトルにあるとおり、本書でのフランス革命の定義は、1789年のバスティーユ襲撃から1804年のナポレオン戴冠までである。この15年の間、たくさんの紆余曲折があった。王党派と共和派の対立、慎重派と急進派の対立、民衆と軍隊の対立。王党派(ジロンド派)が優位だと思ったら、共和派(ジャコバン派)が台頭し、王党派を弾圧。共和派の中でも慎重派(ダンカン)と急進派(ロベスピエール)に別れ、急進派が慎重派を弾圧。さらに急進派が慎重派から反撃を食らう。ナポレオンが登場し、国が安定するまで、約10年の歳月を費やした(ナポレオンの第一執政就任は1799年)。
入り乱れる対立軸、反対派の弾圧・粛清という混乱は、日本でも幕末・明治維新の時にあった。
フランス革命も明治維新も、人々の共通の目標は、封建主義からの脱却、自由の獲得であった。しかし、同じ自由を求める人たちでさえ、わずかな考え方の違い、行動様式の違いから、すれ違い・仲たがいを起こし、対立が深まり、ついには相手方を攻撃し、殺傷してしまう。1794年のジャコバン時代(恐怖政治時代)には、毎日数十人の人間が断頭台に送り込まれた。
自由であること、自由な社会を築くことの難しさを痛感する。
そして2011年。ソーシャルメディアによって、自由に情報発信を行うことができるようになった。我々はどのような自由な社会を築いていくことができるのだろうか?まだまだ我々は新しい時代への端緒に就いたばかりだ。フランス革命から多くのことを学ぶことができる。それは、自由獲得を焦るあまり、考えの違う者を排除してはならない、ということである。
『物語 フランス革命』の書評ブログ(追記)
書評を書いた後、ほかの方々のブログ記事も覗かせていただいた。切り口が違い、味わい深いです。
私が書評でふるい落としてしまった点
- 実は暗愚でなかったルイ16世
- 実は人道的だったギロチン
- 女性たちの活躍
- ベルサイユのバラとの相関
- 不倫三昧な時勢等

French_Revolution_Louis_XVI_Execution / Oldmaison

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