先々週読了したこともあり、ちょうど振り返って見ます。本書に興味のある方は、文末参照下さい。


<生涯現役の時代へ>


我々の世代は、人口が減っていくこと、年金がもらえなくなることを考えると、好もうが好むまいが、生涯現役である覚悟を決める必要があります。その前提条件が「成長」です。


だいたい企業の教育制度は30代までを前提としており、40代以上の人には学習機会がありません。40代になると成長が止まるということを前提に設計されているからです。ためしに、あなたの会社の人事担当者に、40代以上の教育制度を見せてみろ、と言ってみて下さい。出てきません。


米国企業は、40代でラインにつけない者は、外に放り出す(解雇する)仕組みになっています。しかし一方で、日本企業は解雇規制が厳しいため、それができません。成長の止まった高齢社員を雇用し続けることになります。企業が活力を失い、JAL をはじめ数多くの企業が破綻した例を見れば、不採算高齢社員が原因であることは、明らかでしょう。


しかし、40代になると成長が止まるというのは、そもそもとんだ間違いです。孔子は70まで成長すると言いますし、だいたい生涯現役を続けるような人は、どこまでも成長し続けている人たちです。やなせたかしは92歳の今もアンパンマンを描き続け、ピーター・ドラッカーは95歳の亡くなる間際まで著述活動を続けました。聖路加病院の日野原理事長にいたっては、99歳にして現役です。


ドラッカー20世紀を生きて―私の履歴書
ピーター・F. ドラッカー
日本経済新聞社 ( 2005-08 )
ISBN: 9784532312329

2004年、日経新聞への寄稿で「私には引退という言葉はない」と述べたピーター・ドラッカー。本書がドラッカーの遺作となった。


<新たな学習機会>


ところが、2010年になって、あらたな学習機会ができてきました。それがソーシャルメディアを通じた交流の場です。詳細は、拙著「勉強会ブームの到来ー新たなる人類の繁栄モードへ。」を参照下さい。


30代前半までの世代は、社会に出た時、あるいは学生時代に既にインターネットが利用可能であり、ソーシャルメディアを自由自在に使いこなす能力があります。いわゆる「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる世代です。しかし40代以上には、今からソーシャルメディアに飛び込むのは、大変な苦難です。


周りを見渡しても、私と同年代で、ソーシャルメディアを使いこなしている人は1割にも達しません。学生時代の同級生と年賀状をやり取りしています。 Facebook/TwitterのIDを年賀状に書いていますが、実際コンタクトしてきたのはわずか1人です。IT企業に勤務していますので、職場関係ではもっと高確率で利用していますが、日本の全人口をならすと、40代以上のソーシャルメディア利用率は1%じゃないかという気がします。


<明治維新は20-30代によって成し遂げられた>

明治時代、文明開化・殖産興業・富国強兵をリードしたのは、20-30代で明治維新を迎えた若者達でした。1868年、満年齢40歳を超えていたのは、岩倉具視と西郷隆盛ぐらいなもので、大久保利通、木戸孝允は30代、伊藤博文に至っては若干27歳でした。


幕末の四賢侯と言われた松平春嶽、山内容堂、伊達宗城、島津久光は、それぞれ40、41、50、51でした。なぜ彼らが明治政府の中核にいないのか?不思議に思ったことはありませんか?実は全員、明治政府発足時に政府に参加しています。しかし、時代の流れを読むことができず、若者たちと意見が対立し、失意のうちに引退を余儀なくされました。


しかし、唯一、若者たちの維新の流れに組した40代がいます。岩倉具視です。岩倉具視こそが幕末より時代の流れを読み、公武合体派に組せず、薩摩・長州の若き志士たちと交流を深めていたからこそ、生き残ることができたのです。


<世代交替がおきるかもしれない>


今、ここで成長モードに舵を切れない40代は、5年後・10年後、仕事を仕事を失うことにならないだろうか?そう危惧してなりません。清掃やファーストフードのアルバイトぐらいはできるかもしれませんが、自分の専門領域で仕事をすることは難しいでしょう。というのは、下の世代は新たな成長モードに突入しており、成長が停止している40代以上の世代をこれから追い抜いていくからです。


中国では、30代と40代の年収が逆転しています。それが中国のダイナミズムの源泉です。平均年齢が50歳を超えた日本では、さすがにのダイナミズムは起きそうにありません。しかし逆転されないからと上の世代が胡坐をかいていると、日本はますます沈んでいくことになりかねません。


<シンガポールで起きていた世代交替>


シンガポール Singapore / densetsunopanda
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

余談ですが、私は1998年~2000年、シンガポールに赴任していました。この国は1965年にマレーシアから独立しました。望んで独立したのではありません。華人都市であったため、マレー人国家を建設しようとしたマレーシアから、追放されたのです。初代首相リー・クワン・ユーは、涙を流しながら独立を宣言しました。


シンガポールでは、1960年代まで、小学校では中国語教育が主流でした。しかし、ここでシンガポールは、大きく舵を切る決断を下します。1970年代以降、教育現場の言語を中国語から英語にリプレースしていきます。英語力を身につけた結果、欧米企業のアジア進出拠点となり、今日の発展を築いています。今や日本から見ると、シンガポールは羨望の的です。


しかし、その陰で切り捨てられた人たちがいます。それは1960年代までに小学校教育を終え、英語教育を受けられなかった世代です。1965年に12歳だった人は1998年に45歳でした。彼らの職業は露店、清掃、メイド、タクシードライバーです。20代の英語教育を受け大卒の初任給が、日本と同じぐらいの20万円なのに対し、清掃員・メイドの月収は5万円以下です。30代のエリートサラリーマンが40代・50代を使う場面をよく目の当たりにしました。


<成長機会を活用するためにはすべきこと>


この際、日本全体はいたしかたない。日本全体が沈むのは避けられない可能性があります。しかし、座して一緒に沈むわけにはいきません。自らが成長モードへ切り替えるしかないのです。そのために、20代・30代のみならず、40代以上の方も、ソーシャルメディアを活用し、その先にある交流の場へ参加し、成長機会を獲得する必要があります。


そこで必要になってくるのが「パーソナルメディア戦略」です。ソーシャルメディア上で、自分をどう表現するか?ソーシャルメディア上で自分を顕わにすることによって、オフラインでの交流も有意義なものになります。6月2日、「パーソナルメディア戦略」講義&ワールドカフェを実施します。興味のある方、ぜひ、ご参加下さい。


最後までご精読ありがとうございます。


<付録:『40代を後悔しない50のリスト』>


50のリストから、「自分の教訓としたいリスト」、ぜひほかの人に「薦めたいリスト」を抜き出しました。ご参照下さい。

<自分の教訓としたいこと>

05 『なりたい自分』と同様に『ありたい自分』の目標設定

07 「勝てる土俵」を自分でつくって勝負する

08 意思決定は「小分け」して判断できるサイズにする。

14 自分の実力の定点調査を行う

16 負けない交渉力「大局観」「共感ポイント」「落としどころ」を常に意識する。

20 相手の立場を考えた「ひと手間」から始めてみる。

28 「時間ができたらやることリスト」でやりたいことにチャレンジ

46 会社が「人」を育てようとしているか見極める

50 もっと「地域社会」と付き合う

<まわりの人に薦めたい>

自分自身はある程度できている。まわりの人に是非薦めたいこと。

31 「年下との人間関係」は自己成長を促し、「情報とチャンス」を運んでくれる

36 自分自身を「振り返る時間」、「実力を熟成させる時間」を持つ

38 「バイブル読書」で、内容を講演できるくらい読み込む

40 「教養」を深める。

特に31番は、「ソーシャルメディアを学習機会ととらえる」という私の視点と同一です。


<ほかの方の『40代を後悔しない50のリスト』の書評>


ざっと読んで、いいなと思ったものを列挙させていただきます。トラックバックさせていただきます。


<付録:関連書籍紹介>


「パーソナルメディア戦略」は、この本に大きくヒントを得ています。



10万年に及ぶ人類の繁栄史です。現代、多くの課題を抱えつつも、人類は繁栄しています。繁栄の最大理由が、「分業化」と「専門化」です。インターネットによってグローバル化・ボーダーレス化が加速化した結果、「国際分業」はますます進み、「国際的に通用する専門能力」が必要になってきます。



生涯現役という考え方はこの本の中に出てきます。インターネットの登場により、年齢に関係なく、専門能力を活かすことができるようになります。



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