2011年もほぼ終わりなので、ここで2011年読了ベスト10を選んでおこうと思います。2010年読了ベスト10はこちらでした。12月21日現在、123冊を読了しました。その中から、2011年に出版された新刊を5冊、2010年以前に出版された既刊を5冊選ぶことにします。
2011年の新刊
ソーシャルメディアの進展によって、どのような時代が訪れるのか、見事に言い表してくれました。誰もが情報発信ができるようになったソーシャルメディアの時代では、情報は溢れ、情報自体の価値は急速に失われました。そこで必要になってくるのが、「キュレーション」です。人のつながりこそがあまたの情報から価値ある情報をあぶりだすのです。
常々、我々は現在からの認識でもって歴史を見てしまい、誤った歴史解釈をしがちです。本書は、日本の美術史に光を当てただけでなく、戦前の日米関係の悪化の過程を、アメリカに残された日本企業の立場から、生々しくもリアルに描くことに成功しました。書評記事を書いていますので、続きはそちらをご覧下さい。
本書を読んでいる最中に、偶然、livedoor元社長の堀江貴文氏の実刑が確定しました。堀江貴文氏とウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏とが、だぶって見えてしまいました。
両氏に共通して言えること。それは高い志を持ちながら、一方で不遜な態度により、足元を救われ、国家権力につぶされてしまったことです。しかし、国家権力がいかにつぶそうが、その意志を継ぐ者が現れ、新しい時代を牽引していくことになるのではないでしょうか?続きは書評記事をご覧下さい。
これからの時代は「生涯現役」の覚悟が必要です。ますますこの40代を後悔しない人生にする必要があると思っています。そんな時、この本が役に立ちました。
実は当初、それほど期待はしておりませんでした。しかし、読み進むに連れて、著者のソーシャルメディアに対する洞察の深さに脱帽しました。「心あたたまる関係」と「お金儲け」の相対立する矛盾に答えはあるのだろうか?著者のハートフルな面がにじみ出てくるような本でした。
既刊本
18世紀半ばからペリーが来航する前まで、いかにロシアと日本は遭遇したのだろうか?
1739年の元文の黒船来航から、1771年のはんべんごろう事件、1792年のラクスマン来航、1804年レザノフ来航、1811年ゴローニン事件までを扱います。またそれまでのロシアの極東進出、アイヌと日本の関わりの経緯についても解説します。
なんといっても最終章のゴローニン事件は圧巻です。函館でのゴローニンの幽閉と、その報告措置としてのロシアによる高田屋嘉兵衛の連行。嘉兵衛の毅然とした態度、人道的な松前奉行所の対応、日本とロシアの友情が芽生えた瞬間でした。
戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生,
村井 友秀, 野中 郁次郎
中央公論社 ( 1991-08 )
ISBN: 9784122018334
大本営の戦略と最前線での戦術の不一致。日本の戦争における敗北の原因は、この一言に尽きます。一体なんのための戦争だったのだろうか?そして、現代の日本政府も日本企業も、同様の過ちを犯していませんか?
本書が出版されたのが1984年。日本人の失敗の本質をずばり指摘し、警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、同じ轍を踏んでしまったように感じます。政治家、官僚、企業経営者、管理職の方々は、ぜひ、本書を読んで欲しいものです。
2000年以降の歴史書では、最高傑作ではないでしょうか?なぜ、同じ人類でありながら、文明が発達した地域と未開の地域があったのか?その謎に対する答えを与えてくれます。主要穀物の原産地、家畜となりうる動物の原産地、そしてなによりも大陸の形こそが、最大の原因でした。
横長であるために植生が横に広がるユーラシア大陸で文明は発達し、縦長であるがゆえに熱帯雨林等で植生が分断され人の往来の少なかったアフリカ、南北アメリカ、ニューギニアとオーストラリアでは、文明が発達するチャンスが訪れる前に、ヨーロッパ人が来航し、銃と病原菌を持ち込んでしまったために、発展にストップがかかってしまいました。
以上が、2011年の読了ベスト10です。
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