ヴィーナスもまた、数多くのロマンスを残したのだろうか?

credit : Alexandre Cabanel via wikipedia (license : CC0)


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三大悪女シリーズ、『痴人の愛』のナオミ『或る女』の葉子につづいて、『悪女について』の公子を紹介させていただこうと思います。


時代が下って、戦後の復興期から昭和40年代ごろまでの話です。謎の死を遂げた美貌の実業家富小路公子の話です。亡くなったのは40-41歳ですが、年齢を10歳もサバを読んでいたとのことで、その美しさに誰もが欺かれていたようです。



『悪女について』のあらすじ


本書では、公子自身は登場せず、27人へのインタビューという形を取っています。それぞれが生前の公子について語り、公子の人物像を浮かび上がらせていきます。中学時代の近所の同級生、公子に惚れていた隣のお兄さん、宝石商、夜間学校の同級生、同棲相手、結婚相手、公子の子どもの自称父親、婚約者、店員、息子たち・・・


公子(元の名は君子)は中学を卒業するとともに15歳の時より宝石店で働き始めます。戦後間もないこともあり、太宰治の『斜陽』に見られるように、たくさんの没落華族・名家が生まれました。宝石ビジネスのからくりを見抜き、没落する旧家から宝石を安く仕入れ高値で売るコツを覚えたのでしょうか、23歳の時にはすでに財を成し遂げ、中華料理店を買い取り改装し、レストラン「モンレーブ」のオーナーになっていました。


さらに田園調布に住む没落旧家の御曹司と結婚、田園調布の不動産を3000坪まで買い増し、その後離婚し、田園調布の土地をまんまと奪い取ります。さらに、飲食店から高級女性サロンへと事業を展開していきます。


女を武器に男たちからビジネスを学び、男たちを利用し、謀略し、騙し、完膚なきまでに翻弄した姿が浮かび上がります。


公子は16歳で妊娠、17歳で初産、18歳ではすでに二人目を出産しました。妊娠時には渡瀬義雄と同棲し、勝手に婚姻届まで出します。渡瀬は公子を妊娠させたつもりはなく、婚姻届が出されていることも知らぬまま、公子から逃げます。公子の実家の隣に住んでいた元華族のおぼっちゃん尾藤輝彦、そして宝石商の沢山栄次、この二人は、公子が亡くなるまで、自分が公子の子どもたちの父と信じ、かつ、交際関係も継続します。


最後は、自らの経営する女性サロンの従業員小島誠に告白され、婚約するも(公子にとっては3度目の結婚)、ウェディングドレスを試着した格好で自分のオフィスのビルから転落死します。目撃者はいませんでしたが、複数の証言から類推すると事故死だったようです。


男を翻弄する魔性の女といえば、この人か?

ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]
沢尻エリカ, 大森南朋, 寺島しのぶ, 綾野剛, 水原希子
Happinet(SB)(D) ( 2012-12-21 )


なぜ男たちは悪女に翻弄されるのだろうか?


なぜ男たちは公子に翻弄されてしまったのでしょうか?数多くの証言から、公子が若々しく美しく、微笑みをたやさず天真爛漫で純真無垢な姿が浮かび上がりってきます。公子自身が亡くなってしまったため、はたして公子が悪意を隠蔽し自由自在に男たちを操ろうと企図していたかどうかは分かりませんが、多くの男たちが公子に魅了され、吸いよされ、翻弄され、そして搾取されてしまったのは事実のようです。


個々の証言者は、公子に騙されたと思っている人もいれば、公子は自分の愛人だと信じて疑わぬ者もいます。27人の証言はまちまちで、悪女の側面、可憐で無垢な側面を合わせもち、公子はまさに変幻自在な存在でした。私はそんな公子に魅了されて止みません。


本書を読み終わった後、昨年、沢尻エリカ主演でTVドラマ化されていたことに気づきました。現代を代表する悪女沢尻エリカ。沢尻エリカに翻弄されてみたいものです。


沢尻エリカ主演ドラマ『悪女について』 | TBSテレビ


男は翻弄され、女は手玉にとる


男を翻弄した3人の女の物語。『痴人の愛』のナオミ『或る女』の葉子、そして『悪女について』の公子。いかがでしたでしょうか?これらの本を読みたいという男性は、女に人生を翻弄されたいという自分の内なる願望があるのかもしれません。また、これらの本を読みたいという女性は、男を手玉にとる悪女としての素養があるのかもしれません。


もし、この三部作以外にも、女の色に溺れ、女に人生を狂わされる物語をご存知でしたら、こっそり教えていただきたく存じます。


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関連書籍


ズバリ、魔性の女の本です。『痴人の愛』のナオミも登場します。


私の奴隷になりなさい 壇蜜写真集 濃蜜
壇 蜜, 橋本 雅司
角川書店(角川グループパブリッシング) ( 2012-10-26 )
ISBN: 9784041103227


この1~2年、もっとも男を翻弄した女と言えば、この方でしょうか?


安達祐実写真集「私生活」
安達 祐実
集英社 ( 2013-09-02 )
ISBN: 9784087806922


安達祐実も31歳。私は純真なイメージを彼女に持っていたのですがはたして・・・


花芯 (講談社文庫)
瀬戸内 寂聴
講談社 ( 2005-02-15 )
ISBN: 9784062750080


子宮作家と揶揄されることになった瀬戸内寂聴さんの問題作。少し引用してみます。


出産のあと、私はセックスの快感がどういうものか識った。それは粘膜の感応などのナマぬるいものではなく、子宮という内臓を震わせ、子宮そのものが押えきれないうめき声をもらす激甚な感覚であった。


明治・大正時代の『或る女』や『痴人の愛』と比べると、戦後に書かれていることもあり、直接的な性愛の描写があるものの、現在から見れば、それほどいやらしくはありません。その後出家することになる瀬戸内寂聴さんが、このような官能小説を描いていたことを知った時は、少しばかりショックでした。


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追伸(2017年3月18日)


有吉ジャポンという深夜番組の「ながら本大賞」に太田光代さんが本書を推薦したとのことで、当ブログ記事にアクセスが急増しました。


価格.com - 「有吉ジャポン ~有吉ジャポン[字]【日本一敷居の低い文学賞 5分で読める「ながら本」大賞!】~」2017年3月18日(土)放送内容 | テレビ紹介情報



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