石川 憲二
集英社 ( 2011-07-05 )
ISBN: 9784082400514
<目次>
- 三分間のあいだに
- 商売に目覚める
- 青年実業家
- 戦後の混乱のなかで
- カップヌードルの開発
- 百福の信念
- 解説
- 年表
NHK連続テレビ小説『まんぷく』の立花萬平のモデルの安藤百福。もっともテレビドラマは創作要素が大きく、百福氏の一生を描いたものではありませんが、百福氏の生い立ちを知るにはうってつけの本です。
今我々が当たり前だと思っているインスタントラーメンやカップ麺を発明したのが安藤百福氏でした。Wikipediaで日清食品の歴史を紐解いてみると、
- 1958年 「チキンラーメン」
- 1968年 「出前一丁」
- 1971年 「カップヌードル」
- 1976年 焼きそば「U.F.O.」
- 1976年 「どん兵衛きつね」
と、インスタントの麺類の時代を切り拓いてきたことが分かります。
ドラマの中でも百福氏は発明家ですし、「食べ物が好きなのではなく食べることが好き」というのも本書で登場します。戦争中の結婚や、戦後の闇市で食べたラーメン、泉大津での塩づくりなどのエピソードは、本書でも登場します。加地谷や世良に該当する人物は登場しませんが。
本書の中では、戦中に妻となる仁子(今井福子のモデル)の気持ちを引き寄せるシーンが名場面です。引用します。
- 仁子「いったい世の中どうなるのでしょうか?」
- 百福「どうなる?」
- 仁子「戦争することが日本のためになるといわれていたのに状況は悪くなっていくばかり。ほんとうにどうなってしまうんでしょう」
- 百福「ちがいますよ。世の中がどうなるかって心配ばかりするのはまちがっています。自分でどうするかが大切なんです」
- 仁子「強いんですね」
- 百福「強いんじゃない。強くなるんです」
『まんぷく』でも、福子が発明家の萬平が世の中をよくする発明をしてくれると信じて疑いません。本書でも仁子は百福のこの言葉に強く感化されます。
横浜みなとみらいに、カップヌードルミュージアム(安藤百福発明記念館)があるので、できれば『まんぷく』の放送中に訪れたいものです。
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