通貨・ユーロ・ドル・円

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<目次>

第1章 円と、ドル、ユーロ、人民元に、いま何が起こっているのか

第2章 ポンドの興隆の凋落

第3章 ドルの時代とその行方

第4章 ヨーロッパ統合から、ついにユーロの誕生へ

第5章 東アジア共通通貨の必要性

第6章 世界共通通貨は誕生するか


2013年3月に黒田春彦氏が日銀総裁に就任した際に読んだのが、遡ることその8年前に黒田氏自身が著した本書です。政治の行方を理解し、支持するに値する人物かどうかの判断材料として、その時々のキーとなる政治家(首相や大臣、知事など)の本は読むことにします。安倍晋三氏野田佳彦氏石破茂氏下村博文氏稲田朋美氏橋下徹氏猪瀬直樹氏、樋渡啓祐氏などです。その昔、小沢一郎氏の本なども読んだものです。


そして、安倍政権において、日銀総裁人事が脚光を浴びたこともあり、黒田春彦氏の本も読みました。


当時読んだ時とも今も私の印象は変わりませんが、アベノミクス、インフレ誘導政策は彼の本心ではないことが、彼のこの著書から読み取れます。以下に3年前に書いた読書メモを、若干校正の上、再掲いたします。




2013年3月に新日銀総裁に就任した黒田東彦氏の8年前の著書になる。大蔵省出身で、国際金融畑を歩く。ミスター円の異名をとる榊原英資は直接の上司だった。


本書を読もうと思った理由は、いうまでもなく新日銀総裁の思想を知るためである。


本書はタイトルどおり、通貨の歴史を扱っており、数多くの通貨政策の失敗も挙げている。

  • 第一次大戦後のベルサイユ体制の失敗
  • ドル金兌換の失敗:ニクソンショック(1971年)
  • 日本の変動相場への移行の失敗:第一次石油ショックで日本のみ20%強のインフレが発生(1973年)
  • プラザ合意というドル安誘導着地の失敗:ドル210円台の着地目標から150円台へ(1985年)


「賢者は歴史に学ぶ」の論によれば、金融政策を成功裏に終わらせるのはいかに難しいかということがわかる。とすると、筆者が現在強く主張する2%のインフレ目標だが、2%で着地するという論拠はなんだろうか?過去の歴史をふり返れば、目標値に無事着地したケースはなく、論拠のない目標ということにならないだろうか。


また、筆者の提言は、アジア共通通貨の創設にある。本書執筆時点では、リーマンショックとその後のユーロ危機はまだ起きておらず、ユーロ統合は成功と論じている。通貨を統合する前準備として、インフレ率や財政規律など、それぞれの財政当局の規律を提示している。結局その後、ユーロは財政規律の杜撰なギリシャを加盟させてしまったため、苦境に陥ることになる。


翻って今の日本を見ると、日本もまた財政規律が失われている。黒田東彦氏が歴史に学んでいるのなら、すべきことは2%のインフレ目標ではなく、財政規律の回復ではないだろうか?


本書は、歴史読み物としては大変おもしろい。かのアイザック・ニュートンが造幣局長官を務めていたとは知らなかった。イギリスが世界史で主導権を握ったのは、なにも産業革命で工業化を先んじただけでなく、19世紀後半に世界中が金本位制を導入したことも関係があることがよくわかる。


通貨の歴史を分かっていながら、黒田氏は日本銀行をどのように舵取りをするのか?今、それが問われている。



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