ここまでの書評
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第1巻 : なおきのブログ
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第2巻~権謀術数、そして点と点を繋ぐ : なおきのブログ
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第3巻~手玉・魅了・信用・接近 : なおきのブログ
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第4巻~第6巻 : なおきのブログ
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第7巻 : なおきのブログ
- 【書評】『チェーザレ 破壊の創造者』第8巻 : なおきのブログ
<目次>
- Virtu72 ローマの娘
- Virtu73 波乱の幕開け
- Virtu74 ヴァティカンの住人
- Virtu75 飛び火
- Virtu76 試される時
- Virtu77 聖と俗
- Virtu78 次世代たちへ
- Virtu79 進むべき道
- Virtu80 道標
- Virtu81 決意
第9巻では、第8巻につづき、1492年初春のフィレンツェが舞台となる。ミゲルはアンジェロの父と会い、チェーザレはロレンツォと面談する。一方ローマでは、ボルジア家・メディチ家と敵対する枢機卿ローヴェレが、ナポリ・フィレンツェ・ミラノ三国の同盟を破壊すべく、ナポリ王国と教皇の和解を成立される。ジョヴァンニ・デ・メディチの枢機卿就任を控えるフィレンツェは、やむをえず教皇側に与する。ミラノの行方が怪しくなり、この2年後の1494年、フランスがイタリアに侵入、イタリア戦争が始まる。ここに19世紀半ばにサルデーニャによるイタリア統一が実現するまでの間、イタリアの分裂状態が決定的となる。後にマキャヴェリは、この分裂状態のイタリアを凌ぐべく、メディチ家に『君主論』を献上することになる。
チェーザレはピサに帰還し、いよいよジョヴァンニの卒業へ。すでに完全に信用しているアンジェロに、ジョヴァンニに随行しローマへ行くよう促す。
また、第9巻では、ミケランジェロ・ブオナローティが登場する。チェーザレ、ジョヴァンニと同じ1475年生れ。
教皇
<目次>
- Virtu82 とある雪の日
- Virtu83 卒業
- Virtu84 卒業Ⅱ
- Virtu85 卒業Ⅲ
- Virtu86 春の訪れ
- Virtu87 道標 波光
- Virtu88 風の中で
- Virtu89 空と海と
- Virtu90 若き担い手たち
- Virtu91 新たなる旅立ち
第10巻では、いよいよジョヴァンニ・デ・メディチが卒業試験に臨む。先に学位を取得していたチェーザレも試験官となり、ジョヴァンニに対して試問を行う。
チェーザレによるジョヴァンニへの試問
- 聖書では見返りを求めてはいけないと教えているのにも関わらず、銀行家は利子を取っており、清書の教えに反するのではないか?
- 「再度きみに問う。それでも金銭を扱うことは正しきことと言えるか?」
それに対し、ジョヴァンニは、神は美しいものを愛でる心を与えてくれた、それゆえ、「心を養うことを神は消して罪とは仰らないはず」と論破し、見事試問を成功させ、学位を認められる。
そして、アンジェロはジョヴァンニに随行し、ピサを経つ。その前に、第5巻で知り合ったピサの女の子、エミリアと一晩過ごし、別れを告げる。本書における3人のメイン・キャラクターであったチェーザレ、ジョヴァンニ、アンジェロが、それぞれなりに一人の男として、一人の人間として成長を遂げた。この3人の成長は見ていて非常にすがすがしい。
フィレンツェに帰還したジョヴァンニは枢機卿に就任。フィレンツェの市民に歓迎をもって迎えられた。そして最終章へ。
つづく。
この肖像画のジョヴァンニの眼は大変力強いが、『チェーザレ 破壊の創造者』では、お坊ちゃん育ちでひ弱に描かれている。それでも卒業試問、枢機卿就任では、堂々とした立ち居振る舞いができていた。
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