今年話題の電気自動車。6月には中国がシェアトップに躍り出たと震撼ニュースが出ました。
国際エネルギー機関(IEA)は7日、電気自動車(EV)などの世界累計販売台数が2016年に約200万台に達したと発表した。政府が環境規制を強化している中国の伸びが大きく、米国を抜いてEVの世界シェア
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ホットな業界の動向をつぶさにウォッチするのもなかなかしんどいものです。流れが速いために通常の書籍では追い切れず、ここは経済雑誌に軍配が上がります。1ヶ月ほど前の記事ですが、東洋経済10月21日号から要点をメモしておきます。
東洋経済新報社 ( 2017-10-16 )
2016年のEV販売数は46万台
上位5か国は以下の通り。
- 中国 55.1%
- 米国 18.6%
- ノルウェー 6.3%
- フランス 4.7%
- 日本 3.3%
中国が圧倒的なシェアを持ちます。しかし、中国を両手を挙げて称賛はできません。中国の電気はCO2排出量の多い石炭で担っているからです。
ハイブリッド車と電気自動車が1キロメートル走行するのに排出するCO2の重量(グラム)は以下の通り(2015年時点)。
- 日本EV:127.9
- フランスHV:128.8
- 日本HV:145.5
- 中国HV:191.2
- 中国EV:238.5
もちろん、2030年ごろには、各国ともEVがHVを下回ります。
日本の自動車産業
日本の自動車産業の構造は以下の通り。
業界 | 出荷額 | 就業人口 |
完成車 | 53.3 | 18.8 |
部品 | 17.2 | 62.6 |
素材 | - | 45.6 |
サービス | - | 407.4 |
合計 | 534.0 |
全就業人口の8.3%を占めます。
消えゆく部品と業界
突然なくなるわけではありませんが、2030~40年ごろに向けて徐々に減少していきます。
- エンジン関連
- パワートレイン関連(トランスミッション、クラッチ)
- 車体関連(ボディ外販)・・・軽量化が進むため
- ガソリンスタンド:6.0万か所(1994年)→3.1万か所(2016年)
ガソリンスタンドが減ったなぁと思ったら半減していました。
需要が大幅に伸びる部品
消えゆく業界だけを見ると悲観的になってしまいますが、大幅に伸びる業界もあります。世界的に見て、けっこう日本の企業が強いです。
電池本体
サムスン、パナソニック、LGが3強で、3000億円強の売上規模。
電池部材
このあたりになると一般の人には知られていないけど、儲かります。
金額の大きい順に以下の通り。
- 正極材(ニッケル):住友金属鉱山
- セパレーター:旭化成・東レなど
- 負極材(黒鉛):日立化成など
結局、電池の供給が電気自動車普及のボトルネックになりそうです。材料を押えているメーカーが強いのではないでしょうか?
軽量化素材
ガソリン車と比べ航続距離が短い、電池が重い分、他のありとあらゆる部材を軽量化する必要があります。
- 炭素繊維複合材(フレーム等):東レ・三菱ケミカル・帝人
- アルミニウム(ドア・ルーフ・バンパーなど)
- ポリカーボネート樹脂(ガラスの代替):帝人
- 軽量発砲樹脂(シート芯材など):JSP・カネカ
- 高張力鋼板・通称ハイデン:新日鐵住金・JFE・神戸製鋼
ハイデンは引張強度490MP(メガパスカル)以上の鋼板で、既に車体の5割を占める。980MPのハイデンも普及段階にあるとのこと。強度に反比例になるように薄くできるため、鉄を使っても軽量化できる。
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