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昨日の【書評】『ぶっちゃけ蒼井そら (ベスト新書)』につづき、第30回朝活読書サロンCollective Intelligenceで紹介した本です。


<目次>

まえがきー日本人はサッカーより野球が向いている

第1章 泥棒天国ヨーロッパ

第2章 エアロビのできないドイツ人

第3章 不便をこよなく愛するノルウェー人

第4章 スペインの闘牛と日本のイルカ漁

第5章 ケルンの地下鉄建設と池袋の道路工事

第6章 日本の百倍ひどいヨーロッパ食品偽装

第7章 日本的になったドイツの宗教事情

第8章 歴史の忘却の仕方ーヨーロッパとアジア

第9章 奴隷制度がヨーロッパに残した「遺産」

第10章 歌舞伎と瀕死のオペラを比べて

第11章 同性愛者が英雄になるヨーロッパ

第12章 「移民天国」か「難民地獄」か

第13章 EUはローマ帝国になれるのか

終章 劣化するウィーン・パリ・フランクフルト vs. 進化する東京


目次を見れば、本書で言わんとしていることは一望できるかと思います。この中で、エアロビ、食品偽装、難民地獄について述べたいと思います。


ちなみに、本書のタイトルですが、具体的にどの項目が9勝でどの項目が1敗かというのを明示的に表しているわけではありません。強いて言えば、環境的かつ経済的に裕福なノルウェーに対しての敗戦が1敗でしょうか。


それよりも、9勝1敗というのは感覚的なもので、要は本書で言っていることは、ヨーロッパより日本のほうがほとんどいいということです。


エアロビができない、そもそもリズム感がない。


日本人が思っている以上に、日本人の音楽的センス、ダンスなどの運動的センスは優れいます。

日本の初等教育は、音楽や体育にいたるまで、実は、日本人が意識しているよりも、ずっと質が高いのである。そのうえ、最近の日本人はカラオケでも修練を積んでいる。 (P40)

著者は、東京とドイツの両方でエアロビ教室に通った経験があり、ドイツ人のリズム感の無さには閉口しています。ドイツと言えばクラシックの国なので音感がよさそうなのですが、日本の楽器では打楽器がけっこう目立つのに、ヨーロッパのオーケストラは打楽器が少なく、どちらかという弦楽器や管楽器がメインです。日本人には、打楽器でリズムを取るという感覚がありますが、ヨーロッパ人の間ではその感覚がないのだとか。


また、本書ではなく、『世界一受けたい授業』を見て知ったことなのですが、昨年韓国船が沈没したときに、なぜ海難救助隊が役に立たなかったのかというと、韓国では水泳の授業がなく、泳げる人がほとんどいなかったとのことでした。


日本ではほとんどの人が25メートルを泳ぎきることができますが、島国の途上国はともかく、先進国で国民のほとんどが泳げるような国は、おそらく世界にはないのではないでしょうか。


経済統合の負の側面:食品流通と人の往来


隣の芝生は青く見えます。経済統合したヨーロッパは、人と物の行き来が自由化し、経済が活性化したというプラスの側面があります。しかし、マイナスの側面は外から眺めていてもよくわからず、中に入って住人となってみないと分かりません。


半端じゃない食品偽装

ヨーロッパの食品偽装は、半端ありません。日本の偽装は、〇〇産の牛肉が△△産の牛肉に変わるぐらいですが、ヨーロッパでは、なんと馬が牛に化けます!国をまたいで流通するため、トレースできません。だいたいの震源地は、物価の安い東欧側の国です。ヨーロッパ人は馬肉を食べませんが、何かの折に馬が大量処分された際に、処分に困った飼い主が、食品流通経路に流してしまったことが原因のようです。


なんだか、日本の食品偽装がかわいらしく見えてきました(笑)。


半端じゃない不正受給

日本でも外国人による子ども手当や生活保護手当の不正受給が話題になりましたが、すでに対策済みで、「海外の養子」に対して子ども手当を請求する外国人に対して、子ども手当は払わなくなったと理解しています。


しかしEUでは、一度内側に入ってしまうと、EU内には検閲がありませんので、どこへでも行けてしまいます。具体的には、トルコからギリシャへ、または、ジブラルタル海峡を渡ってアフリカからスペインへ、いったんEUの内側に入ってしまえば、そこから比較的裕福なドイツへ移動するのはたやすいことです。そして、ドイツで生活保護手当を請求するわけです。ドイツでは、トルコ人による2億ユーロ以上の不正受給があるとのことです。


イスラム国が脅威である理由

そう考えると、イスラム国がヨーロッパに脅威なのがよく分かります。シリアからトルコを経由してギリシャに入ってしまえば、後はEU内をどこへでも行けてしまいます。EU諸国は、テロリストたちの侵入を防ぐことが難しいということになります。


日本における自由化の未来

日本でも今後、TPPによる自由貿易の促進、外国人労働者の受入れなどが進んでいくでしょう。その際、何が起こりうるかは、現在のヨーロッパを見ていると自明であるように思います。




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