目次
- はじめに
- 第1章 日本の鉄道は特殊である
- 第2章 日本の鉄道を海外と比較
- 第3章 日本と海外の都市鉄道をくらべる
- 第4章 日本と海外の高速鉄道をくらべる
- 第5章 空港アクセスと貨物の鉄道を国際比較
- 第6章 イメージと現実のギャップ
- 第7章 これからの日本の鉄道と海外展開
- 第8章 国際会議で見た日本の鉄道の立ち位置
- おわりに
- 参考文献
- 日本の鉄道技術は世界一である
- 鉄道ができると暮らしが豊かになる
本書は、一般的に日本人が信じている二つの命題について、ファクトベースで厳しい現実をつきつけます。なんとなく分かっていたのですけど、携帯電話端末と同じく、日本という特殊な環境に過度に適用するように進化してしまったため、なかなかそのままでは海外で通用しなさそうです。そして、国鉄民営化以降も、多くの路線で乗車人員数が減り続けており、海外展開どころか、足下を見れば危機的な状況にあります。
鉄道のファクト
世界の年間鉄道利用者数の割合
- 日本:31%
- アジア太平洋CIS諸国:37%
- ヨーロッパ:28%
- ロシア:3%
日本国内の年間鉄道利用者数の割合
- 首都圏:63.1%
- 京阪神圏:19.7%
- 中京圏:4.9%
- その他:12.3%
怖ろしいほどの世界シェアです。世界の鉄道利用者数の3分の1が日本、20%が首都圏に集中します。私自身、毎日鉄道を通勤に使う利用者ですが、世界的に見て、鉄道を通勤に使うほうがレアと言えます。訪日外国人が日本の通勤ラッシュに驚嘆するわけです。
交通機関別輸送シェア(旅客)
- 日本: 道路交通57%、鉄道35%、航空7%
- アメリカ:道路交通85%、鉄道1%、航空14%
- フランス:道路交通87%、鉄道11%、航空1%
- イギリス:道路交通91%、鉄道8%、航空1%
これまで読んできた鉄道関連のビジネス書は、鉄道だけを分析した本がほとんどでしたが、本書が秀逸なのは、交通機関全体の中での鉄道のポジショニングを明らかにしたことです。日本全体では、移動手段に占める鉄道の割合は35%。首都圏に関して言えば、その倍はあるでしょう。日本は突出して鉄道を利用している国と言えます。しかし、地方に行けば、たとえ鉄道がひかれていても、限りなく低いのではないかと推察します。
交通機関別輸送シェア(貨物)
- 日本: 道路交通59%、鉄道4%、船舶37&
- アメリカ:道路交通31%、鉄道37%、船舶11%、パイプライン21%
- フランス:道路交通83%、鉄道10%、船舶2%、パイプライン5%
- イギリス:道路交通66%、鉄道9%、船舶21%、パイプライン4%
この数字はびっくりしました。アメリカは鉄道が貨物輸送の第1位です。日本とイギリスは島国ということもあり、船舶の比率が高いです。日本の鉄道貨物の比率が低いのが目立ちます。
つづく
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