<目次>
  • はじめに
  • 第1章 学習障害(LD)とは何か
  • 第2章 学ぶ側のニーズ
  • 第3章 教える側にもあるニーズ
  • 第4章 サポートシステムの構築
  • 第5章 多様なニーズに応える教育と社会
  • おわりに 多様なニーズへの対応は最終目標か
  • 注記
  • 参考文献


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実経験

私には五人の子どもがあり、そのうちの一人が発育に遅れが生じており、発達障害ではないかと疑った時期がありました。3年前のことです(2015年)。学校経由で自治体の支援を仰ごうと思い、まずはWISCというテストを診断、特別支援学級のある学校に出向き面談も受けましたが、結果は白に近いグレーゾーン。結果、何の支援も受けられずじまいです。


という問題意識があったので、図書館で本書を見つけた時は、つい目が遭いました。


本書の出版は2002年。その13年後に私たち家族は支援を求めたわけですが、あまり状況は変わっていないというのが実感です。


学習障害の定義

まず、学習障害とは何かについて、現在の文部科学省の定義を見てみます。


学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。


学習面の障害があるもので、知的障害ではありません。


本書によると、学習障害児の割合は日本では1.3%に対し、アメリカでは10%から12%とのこと。決して、アメリカ人のほうが学習障害児の割合が多いということではなく、多くのグレーゾーンの子たちを含んでいることになります。ちょうど、LGBTにはさまざまな種類があり、グラデーションがかかっているように、学習障害もグラデーションがかかっています。


グラデーションのかかった学習障害

私が小学生だった1970年から1980年代、そして本書が出る少し前の1990年代までは、通常学級と特殊学級が明確に区別されていたのではないかと思います。少なくとも、特殊学級の同級生と交流をした記憶がありません。しかし今はだいぶ改善され、通常学級に通いながらある一定割合を通級で特殊学級に通っている例が、私の子どもの通っている小学校でもあります。昔と比べれば、グラデーションに対応してきたと感じます。


日本は、これまで、教育に限らず社会全体が非常に等質な状態であったといえる。しかし、近年、等質性の社会から多様性の社会へ徐々に移行し始めた。そして、分野によっては、予想を超えたかなりのスピードで移行し始めたと考えてもいいかもしれない。 (P174)


白黒はっきりさせた等質社会から、グラデーションがかかった多様性を認め、包摂する社会へと本書は提言します。「かなりのスピードで移行し始めた」と述べていますが、スピードが遅いというのが率直な実感です。


支援体制

本書で参考になったのは日米比較です。アメリカには、特殊学級以外にも、リソースルーム、スクールサイコロジストが配置されています。専門知識を有し、かつ、担任の先生が一人で背負い込まなくてよいような仕組みができています。依然、日本は担任の先生が背負い込んでしまっているように見えます。本書が書かれた2002年当時からあまり進展があるようには感じられません。このあたりは日本の学校制度に改善を求めたいところです。


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追記

進展がないと繰り返し述べましたが、恐らく学校や自治体により大きく格差があると思われます。私の子どもたちが通う小学校では学校公開日の頻度、総合学習の取り組み、研究授業の取り組みなど、他校よりは進んでいる印象を持ちます。なぜなら他の学校から頻繁に視察に来ているからです。一方で、学習障害対応は、本書が書かれている時点から進展がない、というのが率直な印象です。確かなことはよく分かっていませんが、少なくともそのような対応を受けての感想ですので、その点ご容赦ください。


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credit : Guanaco via Wikipedia (license : CC0)


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