<目次>
- はじめに
- 政治家の言葉を読むこと/政治のマトリクス
- 〈1〉 安倍晋三 アンチ・リベラルと親米
- 〈2〉 石破茂 自立と持続可能性
- 〈3〉 菅義偉 忖度政治と大衆迎合
- 〈4〉 野田聖子 多様性と包摂
- 〈5〉 河野太郎 徹底した新自由主義者
- 〈6〉 岸田文雄 敵をつくらない「安定」感
- 〈7〉 加藤勝信 リスクの社会化を実現するために
- 〈8〉 小渕優子 財政再建とセーフティネット
- 〈9〉 小泉進次郎 「自助」の限界
- おわりに――私たちは何を選択するべきか
- 保守本流はⅠとⅡの融合体だった/「小さな政府」論の登場/新自由主義(Ⅲ)から日本型ネオコン(Ⅳ)へ/首相候補者たちのマッピング/野党の戦略/政治家にとって言葉とは何か
私がお薦めしたい本のジャンルの一つが政治家の書いた本です。政治家の本には、当人の生い立ち・政治家を志した理由・政治信条が書かれているからです。
- 【読書のすすめ】政治家の本を読めば、その政治家の政治信条や本音、人間性が分かる : なおきのブログ
- 【読書のすすめ】政治家の本を読めば、その政治家の政治信条や本音、人間性が分かる2 : なおきのブログ
しかし、政治家の本は敷居が高いというのも事実。その点、この本は著者が9人の方の政治家の本・論評などを読んで、分析をしてくれるのでお得です。登場する政治家は目次の通りです。この9人の人選は首相候補で、若手からは小渕優子と小泉進次郎の二人の二世議員の名前が挙がっています。
本書の前書きで、私のこの課題意識を著書も述べていて、してやったりです。
自民党内には、日本の舵取りに直接関わる有力議員が多くいますが、彼ら・彼女らが一体、どういう考え方の人物なのかは、日常のニュースを見ているだけでは判然としません。
そこで重要になるのが、国会議員が出版する著書や対談本、あるいは雑誌などに発表した論考、インタビューです。そこには自らの見解やヴィジョン、掲げる政策などが書かれています。なぜ政治家になったのか。なぜ特定の政策を推し進めるのかなど、個人的な経験に基づく思いなどが綴られています。 ー 7ページ
本書では、政治家のタイプを横軸にパターナル※かリベラルか、縦軸にリスクの社会化か個人化(大きな政府か小さな政府か)の四象限(マトリクス)で表しており、取り上げている9人のポジションをプロットしています。答えを出してしまうと以下のとおり。

安倍前首相と菅義偉首相は同一象限でリスクのリスクの個人化xパターナルです。つまり、菅内閣は安倍政治を継承するということになります。石破茂氏と河野太郎氏は、リスクの個人化とい点では安倍氏・菅氏と共通ですが、リベラルという点では異なるポジションです。一方で、野田氏・小渕氏は安倍氏・菅氏とは対極で、大きな政府を指向するリベラル派です。
岸田氏がど真ん中ですが、全ての点において中庸というよりも、自著を出していないこともあり、主張が曖昧であるとしています。ポスト菅でいいポジションについているとは思いますが、菅氏のふるさと納税や携帯電話コスト削減などのように、分かりやすい主張を出していく必要があるようです。
さて、このたび首相に就任した菅義偉氏についての論考はページを分けることにします。
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