<目次>
- プロローグ
- 三兄弟
- 調和の世界
- 悲劇のはじまり
- 最後の宴会
- 護送
- 少年たち
- 容疑者
- 星空の下
- 野心
- 裁判
- エピローグ
光文社新訳版の『カラマーゾフの兄弟』を読み進める前に、マンガ版を先に通読しました。マンガ版は4年前にも読んでいたのですが、その時はストーリーが頭に入りませんでした。マンガだけで『カラマーゾフの兄弟』を理解するには無理がありそうです。今回は光文社版第1巻を読み終えた直後ということもあり、人物像が頭に入っており、ストーリーがすんなりと頭に入ってきました。
光文社版第1巻では次男イワンの影が薄いのですが、気性の荒い長男のドミトリー、神を信じるアレクセイと対比させ、優等生ぶりの無神論者だということがはっきり分かります。
Wikipediaによると、『カラマーゾフの兄弟』は東方正教会から高く評価されているとのことですが、父フョードルと長男ドミトリーの教会に対する粗暴な態度、次男イワンの無神論者ぶりを見ると、光文社版第1巻を読んだだけではそのように読み取れませんでした。キリスト教圏にありながら、神を否定したニーチェや共産主義に通じるものがあります。
しかし、最終的にドミトリーとイワンが改心し神に跪くような態度を見せるにつけ、キリスト教・教会の正当性を示す本なのかな、とおぼろげに見えてきました。もっとも、キリスト教に対する理解も不確かなこともあり、理解度には自信はありませんが。
また、イリューシャ、コーリャという少年たちのサブストーリーがあることも、マンガ版を通じて分かりました。
『カラマーゾフの兄弟』では、ドミトリーの婚約者カテリーナと、ドミトリー、フョードルが取り合うグルーシェニカ(マンガではグルシェンカ)という二人の女性が登場します。世間知らずのカテリーナよりも、多くの男を翻弄するグルーシェニカのほうに魅せられてしまうのは、私にもカラマーゾフ的な心があるのかもしれません。

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