マノン・レスコー (新潮文庫)
アベ・プレヴォー
新潮社 ( 2004-06 )
ISBN: 9784102006016


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舞台は18世紀前半のフランス。フランスの貴族文化が最も煌びやかだった時代でしょうか。青年貴公子デ・グリューが美少女マノン・レスコーにハートを射抜かれます。


親に反対されながら、神学校に通わず駆け落ちをし、落ち延びた先でもいかさま賭博で糊口をしのぐデ・グリューとマノン。金持ちのオヤジにマノンを愛人として差し出すふりをしてお金を巻き上げようという浅はかな魂胆は、簡単に見破られてしまいます。牢獄に入れられながらも逃亡し、三度、マノンを愛人として差し出すふりをしてお金を巻き上げようとする相手の男は、先の金持ちの息子。またも見破られ、マノンはアメリカへ追放、デ・グリューもマノンを追いかけます。新天地アメリカでは夫婦を装うものの嘘がバレ、他の男との結婚を迫られるマノン。二人は逃避行を始めるものの途中でマノンは亡くなってしまいます。


マノンの埋葬シーン
Manon_Lescaut
source : Wikimedia (license : Flickr's The Commons)


『マノン・レスコー』は鹿島茂氏の『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』で最初の悪女として登場することもあり、期待していたのですが、悪女に振り回される男というよりも、未熟で浅はかな青二才の物語と言ってもいいかもしれません。


マノンは美貌の持ち主のようではありますが、容姿に関する描写はあまりなく、デ・グリューを振り回してしまうものの、それは結果であり、『痴人の愛』のナオミのように、根っからの悪女ではありません。その点、物足りなく感じたのでした。


『マノン・レスコー』から100年時代が下った19世紀半ば、本格的なフランス悪女文学が登場します。『椿姫』です。悪女フェチの私としましては、『椿姫』のほうが断然お薦めです。




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