Marie Duplessis, La Dame aux camélias © Kinuko Y. Craft

マルグリット・ゴーティエのモデルとなったマリー・デプレシ
肺結核のため23歳で亡くなる。

椿姫 (新潮文庫)
デュマ・フィス
新潮社 ( 1950-12-06 )
ISBN: 9784102009017



椿姫こと、マルグリット・ゴーティエ。『悪女入門』で、悪女の代表格として紹介された彼女がヒロインを演じる本書を、悪女萌えな私が読むのは、ある意味必然でした。悪女とは、私の定義によれば、男を惑わし破滅に導く魔性の女です。『痴人の愛』のナオミのように、男を翻弄することを趣味とするよう悪女もいますが、マルグリット・ゴーティエは、まったくの正反対でした。読書日記人気ランキング


おおまかなあらすじ


高級娼婦だったマルグリット・ゴーティエ。マルグリットに魅せられ、一目惚れしてしまった青年貴族アルマン・デュバル。他のパトロンや客たちとは異なり、病弱なマルグリッドを草葉の陰から見舞うなど、アルマンの誠実な態度に絆されていくマルグリット。高級娼婦という鎧を脱ぎ、一人の女としてアルマンの愛を受け入れ、またアルマンを愛する。まるで聖女のように。


しかし、二人はよしとしても世間は許さない。アルマンが知らぬところでアルマンの父に説得され、アルマンを愛するがゆえに、アルマンとの別れを決意するマルグリット。そんな状況さえ知らぬアルマンは、マルグリットに裏切られたと勘違いし、マルグリットに対して嫌がらせをさえする。その仕打ちも、アルマンを愛するがゆえに全身で受け止めるマルグリット。しかし、元々病弱だったこともあり、アルマンの仕打ちもこたえ、アルマンに会うこともままならず、病床に死す。マルグリットの死後、彼女の残した手記により、アルマンは真実を知り、幕は降りる。


悪女か聖女か


なぜ、このようなマルグリットを、悪女などと言えようか。


本書の上梓は、著者アレクサンドル・デュマ・フィスが若干24歳の1848年。現在、私もすでに47歳で、どちらかというと、分別のあるアルマンの父に年齢が近い。もし仮に、私が今、マルグリット・ゴーティエのような女に出会ったら。恐らく分別が邪魔をして、アルマンのように燃えるような恋はしないだろうが、確実に魅せられてしまうだろう。しかし、もし、私が24歳の時に、マルグリット・ゴーティエのような女に出会ったら。アルマンと同じように燃える恋をし、アルマンと同じように別れに苦悩するに違いない。


20代前半の男は精神的にひ弱で幼い。同じ年頃の女のほうが、精神的に成熟している。この二人もそうだ。そして私自身と私の妻も。


アルマンはマルグリットの手の上で転がされていたという見方をすれば、マルグリットは悪女と言えるのかものしれない。


アルマンは、パトロンを全て手離し、収入の道が途絶えたマルグリットのため、母親の残した遺産に手を付けようとした。悪女の要件の一つが、男を経済的に破滅させることであり、その要件にマッチしていると言えば、マルグリットは悪女と言える。しかし、『痴人の愛』ナオミが譲治をもてあそんでいたのに対し、マルグリットは決してアルマンをもてあそんだのではない。真実の愛でアルマンを受け止め、真実の愛のために、パトロンを手離し、たとえ経済的な苦境に陥ろうとも、真実の愛がゆえに、アルマンに頼ろうとしなかった。そんなマルグリットに報いるために、母の遺産に手をつけようとした。相思相愛であるがゆえに。


もし、マルグリットを悪女呼ばわりするなら、もし、マルグリットのような女を愛し、愛されるのなら、私はそんな女のために身も心も、すべてを奪われてもかまわない。読書日記人気ランキング


歴史的考察


少し、歴史について考察しておこうと思う。本書が書かれたのは1848年。既に郵便制度が普及していた。(Wikipediaによると、イタリアで郵便制度が始まったのは16世紀とのこと)。また、1848年当時、すでに、パリとパリ郊外のブージヴァルの間を鉄道が走っていた。パトロンからの収入が途絶えたマルグリッドは馬車を手離したため、ブージヴァルとパリの間の移動は鉄道を使うことになる。歩けない距離ではないので、アルマンは一度夜を徹して歩いたが。



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