読書日記人気ランキング


読後感としてはちょっと惜しい。ミステリー作品であり、種明かしするわけにはいかないので、ストーリーの後半を述べることはできませんが。。。


本書との出会いは9月13日の読書会。参加者全員とも初対面でした。



読書会は、集う人が異なれば紹介される本も異なります。通常、紹介された本を読むことはほとんどないのですが(それをやろうとしても、積読が高くなるだけで実現不可能)、ミステリー作品が紹介されると、やはり気になってしかたありません。ミステリー作品の紹介を禁止してください(笑)。


11歳の少女きさらの視点

物語は2人の視点=一人称で進行します。2人の視点がクロスするのは11月28日(月)。


1人目は小学五年生11歳の少女椎名きさらで登戸在住。母はシングルマザーで近くのファミレスでアルバイトしながら生計を立てている。娘も認める美人。生活は苦しく、きさらはそんな母親を慮って、靴や服が小さいことも、虫歯で歯が痛いことも、言い出せない。一方母親は、ストレス発散のため、「躾け」と称して晩秋であるにもかかわらず浴室で冷水を浴びせる(「水責めの計」)。


半年前に転校して少年高橋翔太は、それは「躾け」ではなく「虐待」だときさらに告げる。翔太もまた虐待を受けていた過去があり、きさらの状況が自分の身と重なっていた。しかし今は保護されて養親の下で生活をしていて、幸せになったと言う。自分が虐待されていると気づいたきさらは、毒親から離れれば幸せになると思い、母親の殺人計画を思いつく。もちろん子どもの浅知恵でうまくいくはずもない。


一方母親はある殺人事件で警察の聴収を受けていた。しかし、きさらは本心から母親のアリバイを断言する。きさらは母を慮る気持ちと母から離れたいと思う気持ちで葛藤する。そんな中、翔太はきさらにアリバイトリックがあるのではないかと告げる。本書では「有栖川有栖のアリバイ講義」が引用されている。



真壁警部補の視点

視点の2人目は、神奈川県警刑事部捜査一課の真壁警部補。当直明けの朝、ニュースでは24日に発見された女性の白骨死体が報じられていた。そこへ川崎区内で女性の変死体発見の報が入る。死亡時刻は28日11:30から29日未明。被害者は風俗店オーナーの遠山菫49歳。真壁とコンビを組むのは童顔の28歳の宝生巡査部長。風俗嬢の1人が不審人物を目撃しており、似顔絵が作成される。別の風俗嬢に確認したところ、6年前まで働いていた椎名綺羅だと判明、現在は登戸在住だという。宝生はその似顔絵に見覚えがあるという。


真壁は宝生とともに登戸で椎名綺羅に会うが、宝生は顔を赤くする。椎名綺羅は美人だ。まさか惚れてしまったか。綺羅の娘・きさらにも面会し、きさらは綺羅のアリバイを証言する。子どもが嘘をついている可能性もあり、捜査に生活安全課の女性警部仲田蛍が合流する。綺羅と一緒に働いていた別の元風俗嬢の証言、綺羅が働くファミレスの別の女性店員の証言から、綺羅がきさらに対して虐待しているのではないか?綺羅がきさらに嘘の証言を強要しているのではないか?という疑いが浮上する。


2人の視点がクロスした結果はいかに。


読後感

冒頭述べたとおり、ちょっと惜しい結果です。本作品の巻末に参考文献リストが掲げられており、シングルマザー、子どもの貧困、児童虐待、生活保護についてしっかりと研究した上で本作品のストーリーを練り上げている様子が伺えます。


一方で、主人公の一人椎名きさらと同級生の少年高橋翔太の淡い初恋の物語です。惜しいのは、この二人の心の葛藤の描き方が不十分な点です。種明かし後に翔太の一人称の物語を手厚く描けば、号泣作品になったかもしれません。翔太の心情描写が中途半端に終わってしまったため、不完全燃焼になった感が否めません。


もっとも、この2つの両立は難しいと思いますが、作者には、ミステリーと恋の葛藤を両立させた作品を期待します。


読書日記人気ランキング



↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村