<目次>
  • 春蝉(はるせみ)の章
  • 浮塵子(うんか)の章
  • 天牛(かみきり)の章
  • 螽斯(きりぎりす)の章
  • 解説(真崎 守)


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『ばるぼら』『奇子』(あやこ)につづく手塚治虫の成人マンガの読了です。装丁が複数あって、ここでは秋田文庫版(1995年出版)と手塚治虫文庫全集版(2012年出版)の二つを提示しました。私が手に取ったのは秋田文庫版のほうですが、思わずぐっとくるのは手塚治虫文庫全集版のほうですね。


このような装丁だから、『スパイダーマン』のように昆虫のDNAを取り込んでしまった女型の昆虫人間、あるいは『アバター』のような人間と宇宙人のDNAを掛け合わせた女型の人造生命体が、人間の男を食い物にするSFマンガを想像してしまったのですが、主人公十村十枝子は、DNA的には普通の人間の女性でした。


しかし「昆虫」の意味するところは、蛹(さなぎ)から成虫へ羽化し華麗に変身するさま、あるいはカマキリのようにオスを食い物にするメスのさまを表します。17歳にして舞台に立ち、20歳前後でナンバーワン舞台女優になったかと思ったら、突如ニューヨーク・デザイン・アカデミー賞を受賞し、さらには23-24歳で芥川賞も受賞するという多才ぶり。そして芥川賞受賞作品のタイトルが『人間昆虫記』という位置づけです。


ところが、彼女の類稀なる才能は創作能力にあるのではありません。真似る力、盗作能力でした。全ての作品は盗作だったのです。主演女優の演技を盗み、演出家の演出を盗み、デザインを盗み、小説のあらすじを盗み、犯行計画を盗み、企業買収に関する不正融資の情報を盗み、最後は他人に撮らせたヌード写真を盗み、全て自分の作品として発表します。相手が男であればその身体を使って男を籠絡し、しかも盗まれた相手をほぼ死に追いやります。まさに「悪女」といってよいでしょう。ぞくぞくしちゃいますね。


盗まれた者たち
盗まれた人 職業 盗まれた才能 最期
春蝉 臼場かげり 作家の卵 小説 自殺
回想 西川 敬子 舞台女優 演技 消息不明
回想 田町 泉 舞台女優 演技 消息不明
回想 蜂須賀 兵六※ 舞台演出 演出 十枝子による毒殺(螽斯)
回想 水野 瞭太郎※ 画家 デザイン 殺人で逮捕(螽斯)
浮塵子 青草 亀太郎※ 記者 スクープ 蟻川平八による殺害
浮塵子 蟻川 平八※ アナーキスト 犯行計画 韓国で警察に撃たれて死亡
天牛 釜石 桐郎※ 専務→社長 不正融資情報 不正がばれて服毒自殺
螽斯 しじみ 水野の妻 (十枝子と瓜二つ) 病死
螽斯 金山 金文商事社長 水野に刺される
螽斯 大和 多摩夫 カメラマン 十枝子のヌード写真


※肉体関係あり。金山は十枝子と接点無し。唯一肉体関係がないのは最後の大和で、十枝子の写真家としての成功を見届ける役割を演じて本作品は終了する。



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