『自己組織化とは何か 第2版』についての二本目の記事です。自己組織化のメカニズムを理解するため、下等生物である粘菌の成長過程を見てみたいと思います。


<目次>

まえがき

第1章 自己組織化とはなんだろうか

第2章 自己組織化のしくみ

第3章 粘菌は自己組織化する

第4章 脳がつくるリズムとパターン

第5章 生命と人口生命の進化

第6章 生体パーツの自己組織化を操る

第7章 味覚を再現する

第8章 嗅覚を再現する

第9章 生体パーツを取り込むデバイス技術


粘菌とは?


変形菌

image from Wikipedia under license of CC BY 3.0


「粘菌」なる生物があります。生物の分類では、細胞内に「核」を持つ「真核生物」のため、「核」を持たない細菌類(バクテリア)と比べると、高等な生物ということになります。「粘菌」の中の「真性粘菌」あるいは「変形菌」は、動物と植物の両方の性質を併せ持った生物です。

変形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物などを摂食する“動物的”性質を持ちながら、小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するといった植物的(あるいは菌類的)性質を併せ持つ生物である。


姿かたちは千差万別で、けっこうどこにでも見られるらしいのですが、おそらく目に入っていても、それが粘菌だと説明されなければ、たぶん気づかないような存在です。


この粘菌、動物と植物の両方の性質を持つと述べました。しかし、見てのとおり、複雑な組織を持つ昆虫よりはるかに下等ですし、緑色植物よりもはるかに下等です。かような下等生物のふるまいの、人間の社会的ふるまいが酷似しています。


粘菌の自己組織化


「シュタイナー木」という数学アルゴリズムがあります。誤解を恐れずに申せば、最小経路を求めるアルゴリズムです。以下のブログの解説がわかりやすいです。



粘菌は餌を求めて成長すると広がっていきますが、植物の茎の断面に栄養を通す管があるように、粘菌にも栄養を通す管が生成されます。そして、その管は、最小経路になるように生成されます。画像を見ていただいたほうがわかりやすいです。



酷似した粘菌と人間社会


そして、関東平野の地図に似せて、都市に相当する場所に餌を起き、粘菌を成長させると、なんと粘菌ネットワークがあたかも鉄道路線の経路のように生成されます。画像のフリー素材が見当たらないので、以下のリンク先を参照ください。



ほかにも探せばいっぱい出てきますが、いやぁ、すごい!この類似性を本書では次のように解説しています。

鉄道網と粘菌の管ネットワークの共通点は、どこかが断線されても迂回路があり、ノード間の連結性が良いネットワークを、全長をできるだけ短くするという条件の下で設計しているといえる。 (P89)


下等生物である粘菌の成長した姿と、人間が構築した社会がそっくりだという事実を知り、「自己組織化は心底面白い!」と思いました。粘菌ネットワークは、本書では一章分でしかありません。しかし、この面白さを伝える価値があると思い、たとえ一章分とはいえ、独立したブログ記事にしました。



つづいて、味覚・嗅覚、人工知能、そして、社会科学への考察をしたいと思います。


それでは、また。


【書評】『自己組織化とは何か 第2版』


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