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本書は元立憲民主党の山尾志桜里氏の唯一の単著。山尾志桜里氏は愛知県第7区選出の衆議院。私の出身地豊明市を含む選挙区です。そんなこともあり、これまでも少なからぬ関心を持っていました。その山尾氏が、3月12日、コロナ特措法の採決に造反し反対票を投じ、3月18日、離党を表明、しかも立憲民主党にダメ出しをするという、俄かに時の人になりました。



常々、自身の政治信条を出版できるほどに語れない政治家は信用に値しないと思っておりましたが、著書があることを発見。早速読もうと思ったのですが・・・なかなか難しそうです。


<目次>
  • 序章 「立憲的改憲」とは
  • 第1章 自民党改憲案の急所(阪田雅裕×山尾志桜里)
  • 第2章 その改憲に理念はあるのか(井上武史×山尾志桜里)
  • 第3章 「歴史の番人」としての憲法(中島岳志×山尾志桜里)
  • 第4章 日本に“主権”はあるか?―九条と安全保障(伊勢崎賢治×山尾志桜里)
  • 第5章 求められる統治構造改革2・0(曽我部真裕×山尾志桜里)
  • 第6章 国民を信じ、憲法の力を信じる(井上達夫×山尾志桜里)
  • 第7章 真の立憲主義と憲法改正の核心(駒村圭吾×山尾志桜里)


本書は7人の憲法専門家との対談本です。立憲民主党は護憲派だと思っていたのですが、彼女はどちらかというと中身はともかく、改憲の議論はすべきという立場なのですね。彼女にとっては、立憲は譲れない政治信条だとし、今回の特措法造反、離党へと繋がりました。


なかなか統一戦線を組めない野党議員が離党して次の選挙で勝てるのか?という指摘もあるかもしれません。前回2017年の衆議院議員選挙前は、民進党が瓦解し、希望の党、立憲民主党に分裂した選挙。しかし山尾氏はその党分裂の前に、例の不倫疑惑で離党してるんですね。にもかかわらず無所属で当選を果たしています。元々この地域はトヨタ労連の影響もあり伝統的に自民党が弱く、1996年の小選挙区制以降、自民党が2勝6敗の選挙区です。前途多難かもしれませんが、無所属で勝てたのは選挙に強い証。次の選挙も大丈夫な気がします。


当時、不倫疑惑にある者を当選させるなんて信じられないと思いました。しかし現在では、政治家としての本文を全うすればよいと考えるようにしています。


コロナ特措法とナチスドイツ

さて本書について。第一章で憲法とは山尾氏は

「社会」の統治機構と「個人」の人権保障を定めた規範

としています。また、憲法の理解が浅薄で謙抑性に欠ける未熟な政権を想定する必要があるとも述べています。


先ごろ成立したコロナ特措法は、国会承認無しに内閣の裁量で私権制限が可能になる法律です。これは、ナチスドイツの独裁を招いた全権委任法(1933年3月成立)と同一です。深謀な政治家がいる間はよいのですが、ドイツでも民選大統領ヒンデンブルクが亡くなると(1934年8月)、ヒトラーを止められる者がいなくなりました。



私も、浅薄で謙抑性に欠ける未熟な者が政権を取り得ることを前提とすべき、一般的な言い方をすれば、性悪説に則るべきだと考えます。この点、山尾氏の考え方とは意見が一致し、コロナ特措法に反対です。


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