<目次>
  • まえがき
  • 第1章 シャーデンフロイデ
  • 第2章 加速する「不謹慎」
  • 第3章 倫理的であるということ
  • 第4章 「愛と正義」のために殺し合うヒト


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「シャーデンフロイデ」というのは聞き慣れない言葉なれど、意味するところは、「他人の不幸は蜜の味」とか、「他人の不幸でメシウマ」と同義です。元はドイツ語のSchadenfreudeで、英訳するとMalicious Joy=悪意のある喜び。Freude(フロイデ)というのは、ベートーヴェン第九交響曲『歓喜の歌』でも出てきますね。


日本のインターネット界隈で、ずっと実名・匿名論争があり、匿名だと荒れる、攻撃的になると言われます。また、時にネット上で糾弾、血祭り、炎上騒動もよく発生します。それが「シャーデンフロイデ」です。


糾弾する側にとっては、正義の気持ちから端を発していても、やがて他の追随者が出てきて増幅し、炎上へとつながるわけですが、客観的に第三者から見ると、気に入らない者を叩いているようにしか見えません。こんなことがしょっちゅう起きています。ある意味、人を叩くことに喜びを感じているわけです。つまり、悪意のある喜び=「シャーデンフロイデ」です。


社会性の表裏


なぜ、他人の不幸を喜んでしまうのか。それは「社会性」のなせる技とのこと。


人間は、社会の中で生きています。どの社会にせよ、その中のルール、掟、慣習、法律があります。ルールから逸脱すれば、それが法律であれば、国家権力により罰せられますし、他の人の集まりでも、村八分にあったりするわけです。


つまり、人間は、社会の中で生きてきたため、社会に対して脅威をもたらすような逸脱行為をしようとする者を見つけたら、正そうとするわけです。もちろん、他の人を正すことは、返り討ちに遭うリスクもあるわけです。それを緩和しているのが、なんと「オキシトシン」。


愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」。親が無償の愛を子に与えるのも「オキシトシン」のなせる技ならば、逸脱行為をする者を正すのも「オキシトシン」の役割です。そして、逸脱して失敗した者を笑うのも「オキシトシン」の役割です。笑われる失敗というのは、社会にとってプラスではないことです。だから、嘲笑し、叩きのめすことで、同じ過ちを犯すのを防いでいるようです。


日本人の社会性・協調性


諸外国から見ると、日本人は協調性が高いと言われます。しかし、協調性が高いことの裏返しが、協調しない者を叩く行為です。欧米人であれば、ルールを逸脱する他人は放っておくのでしょうが、日本人の場合は、お節介にも、正そうとします。


なぜ、日本人は協調性が高いのか。まだ明確な答えは分かっていないようですが、理由のひとつとして、日本が地震大国であることを挙げています。全世界のマグニチュード6以上の地震の2割もが日本で発生しているとのことです。諸外国よりも、日本では復興のための協調が必要です。今でもそうです。


そしてもう一つ分かっていることはセロトニンという神経作用物質のトランスポーターの密度が、日本人が低いということです。いい加減に物事を考えるのが苦手とのこと。この密度が低いがゆえに、日本人は几帳面です。その裏返しが、几帳面からの逸脱を許さない、ということになります。


ということは、寛容であろうとする努力が、他の人種よりもよりいっそう必要ということになります。


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