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読書のきっかけ

本書の著者ハミルトン・フィッシュについて知ったのは、『太平洋戦争の新常識』の読了がきっかけです。同書で中西輝政氏がルーズベルトの戦争責任に言及しており、日本人ではなくアメリカ人側の証言も読んでおこう思い、探し当てたのが当時のアメリカ駐日大使ジョセフ・グルーと連邦下院議員のハミルトン・フィッシュでした。


本書は、太平洋戦争をしかけた張本人はフランクリン・ルーズベルト(FDR)だとし、徹底的に糾弾しています。アメリカ人側の証言を得たり!ということで本書読書の目標は一応の達成をみるものの、本書を手離しでは評価できません。というのは、著者ハミルトン・フィッシュは、共和党議員であり、邦題の副題「大統領が最も恐れた男の証言」にも表れているとおり、民主党大統領であったルーズベルトの最大の政敵だったからです。


本書を肯定評価できるのか?

つまり、現在の日本にあてはめてみれば、最大野党党首の枝野氏が安倍首相を痛烈批判しているようなものです。その批判内容には、客観的事実に基づくものもあるでしょうが、政敵を中傷するための方便も多分に含まれます。たとえば、森友加計問題・桜の会問題は野党支持層には大問題でも、与党支持層には野党による的外れな政権批判としか映りません。


当時のアメリカの民主党と共和党の対立構造をあまりよく知らない私には、フィッシュの批判の真贋を見抜くことができません。本書の出版は1977年のことであり、冷戦真っ盛りでアメリカが建国200年で湧いていたころ。ソビエト連邦・共産主義が絶対悪であることを前提にしており、現在から見ればフィッシュの強烈な批判も、過剰反応の感が否めません。また、ヨーロッパの戦争への非介入を強く主張し続けたフィッシュは、一方では「米国一の孤立主義者」という批判も受けています。


ファクトベースの歴史検証の旅

勝てば官軍負ければ賊軍。太平洋戦争全体ではアメリカが勝ち日本が負け、アメリカ国内の政争ではルーズベルトが勝ちフィッシュが負けました。歴史は勝者によって都合よく塗り替えられると言います。ですので歴史検証には、先入観にとらわれないファクトベースの検証が不可欠です。しかし、わずか80年前のことですら意見が大きく食い違います。


ここ数年、明治維新が再考されつつあり、賊軍側だった会津藩や長岡藩側の証言もハイライトされるようになりました。その明治維新から150年経過しています。第二次世界大戦・太平洋戦争の客観的な検証もまた、当事者・その子ども・孫の世代もこの世からいなくなるまで、待たなければならないのかもしれません。



ということは、私はこの後も一生涯、読書を通じて太平洋戦争の検証の旅を続けていくことになりそうです。齢90歳になる半藤一利氏が長岡藩側の立場で明治維新を検証し続けているように。


【書評】『ルーズベルトの開戦責任』の検証~事実と回想の狭間で~ : なおきのブログ


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<目次>
  • はじめに
  • 1章 大統領と個人崇拝
  • 2章 アメリカ参戦への画策
  • 3章 若者を外国の戦場に送ってはならない
  • 4章 容共派に囲い込まれたFDR
  • 5章 イギリスを戦争に駆り立てたFDR
  • 6章 イギリス第一主義者:ウィンストン・チャーチル
  • 7章 ルーズベルトの対仏軍事支援密約(一九三九年)
  • 8章 ルーズベルトのフランスへの裏切り
  • 9章 ジョセフ・ケネディ駐英大使
  • 10章 リッベントロップ独外相との会談(1939年8月14日)
  • 11章 列国議会同盟会議(オスロ)
  • 12章 ダンツィヒ帰属問題
  • 13章 引き裂かれたポーランド
  • 14章 大西洋憲章の欺瞞
  • 15章 アメリカ参戦までの道のり:隠された対日最後通牒
  • 16章 真珠湾の悲劇
  • 17章 ダグラス・マッカーサー将軍
  • 18章 ウィンストン・チャーチルの評価
  • 19章 1944年におけるFDRの健康状態の隠蔽
  • 20章 ヤルタの裏切り
  • 21章 ルーズベルトとパレスチナ
  • 22章 中国の共産化
  • 23章 議会権限を無視したFDRの宣戦布告
  • 終章 われわれは何を学ぶべきか
  • 訳者あとがき
  • 参考資料(1) ルーズベルト大統領「恥辱の日演説」の嘘
  • 参考資料(2) ジェイムス・フォレスタル海軍長官「日記」(抜粋)
  • 参考資料(3) カーチス・ドールとジョージ・アールのインタビュー
    =ドイツ高官とのドイツ降伏に関わる交渉について


フランクリン・ルーズベルト
photo credit : FDR Presidential Library & Museum via Wikipedia (license CC BY)


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