<目次>
- 心理学者、強制収容所を体験する
- 第一段階 収容
- 第二段階 収容所生活
- 第三段階 収容所から解放されて
- 『夜と霧』と私 旧版訳者のことば(霜山徳爾)
- 訳者あとがき
ナチス・ドイツの強制収容所への収監体験を精神科医の立場で綴った本書。自身が被害を受けたにも関わらず、まるで第三者視点のような語り口調で、かつ精神科医として収容者の精神状態を分析し、描写します。
社会学や心理学関連の本を読むと、たびたび本書の引用に出くわします。アメリカ国会図書館の調査では、「私の人生に最も影響を与えた本」のベストテンに入るとのことで、日本語を含めて17か国語に翻訳され、20世紀中に英語版だけで900万冊出版されたとのこと。私が使っている読書管理サイトのメディアマーカーでも、読書記録登録がかなり多いほうの部類に入ります。
抑圧状態が人間の精神に与える影響を考える上で、なくてはならない本です。
生き抜くために、何が必要でしょうか?本書を引用しながら、エッセンスを抜き出してみます。
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生き抜くために必要なこと
勇気と希望
勇気と希望、あるいはその喪失といった情調と、肉体の免疫性の状態のあいだに、どのような関係がひそんでいるのかを知る者は、希望と勇気を一瞬にして失うことがどれほど致命的かということも熟知している。 (P127)
生かされていることを知ること
わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。 (P129)
私を待ってくれる人
強制収容所の人間を精神的にしっかりさせるためには、未来の目的を見つめさせること、つまり、人生が自分を待っている、だれかが自分を待っていると、つめに思い出させることが重要だった。ところがどうだ。人によっては、自分を待つ者はもうひとりもいないことを思い知らなければならなかったのだ。 (P155)
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抑圧された社会を描いた本
抑圧された社会、でまず思い出すのは北朝鮮と言う国。
そして、ナチス・ドイツ。
抑圧された社会を描いたジョージ・オーウェル。『1984年』のまんが版があったので、読んでみようと思います。
そして日本。日本の抑圧された空気を分析した本としては、この本はよいと思う。山本七平の『「空気」の研究』も読んでみるべきかもしれない。
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