元素周期表-窒素とガリウム

筆者改変。オリジナル:IUPAC Periodic Table lic:CC 表示-継承 3.0



昨年出版された今年のノーベル物理学賞受賞者・赤崎勇名城大学教授の自伝です。先生の生い立ちから現在の研究まで綴られています。本書を読んでみた赤崎先生の印象は、1.民間と大学の間を二往復したキャリア、2.不屈の研究者、このふたつの言葉につきるのではないかと思います。


<目次>

序章 コバルトブルーに魅せられて

第一章 「好きなことをやればよい」

第二章 結晶・光・半導体 -神戸工業、一回目の名古屋大学時代

 コラム 初めてのアメリカ出張での大失敗

第三章 「我ひとり荒野を行く」 松下電器東京研究所時代

 コラム ソ連に強制着陸

第四章 未到の頂へ -二回目の名古屋大学時代

 コラム ガーガンさんのこと

第五章 フロンティア・エレクトロニクスへの挑戦 -いま名城大学で

終章 研究者人生を振り返って


民間と大学の間を二往復したキャリア


今となっては、民間から大学へ行くのも珍しくなくなりましたが、1950年代に民間から大学へ転出、しかも二往復というのは大変珍しかったのではないでしょうか?しかも決して自ら望んで転出したわけではなく、周りからの周旋(圧力)・ハンティングによるものです。


  • 1952年:京都大学卒業、神戸工業(現富士通テン)入社
  • 1959年:名古屋大学へ
  • 1964年:松下電器産業(現パナソニック)東京研究所へ
  • 1981年:二度目の名古屋大学へ
  • 1992年:名古屋大学退官、名城大学へ


不屈の研究者


今日の青色LEDは、窒化ガリウム(GaN)です。窒化ガリウムは非常に安定しかつ熱伝導率の高い物質ですが、高品質単結晶を作るのも非常に難しい厄介な物質でした。多くの研究者が研究を断念する中、「我ひとり荒野を行く」がごとく、窒化ガリウムの可能性を確信し、高品質単結晶の窒化ガリウムを作ることにまい進します。2011年のIEEEのエジソン賞を受賞した際「Persistent Researcher」と紹介されたとのこと。


窒化ガリウム(GaN)


本書は科学書でもありますが、高校の化学の教科書に出てくるような、ラザフォードの原子構造モデルや半導体のPN結合程度のことを理解できる人であれば、十分に読みこなすことのできる内容です(私もラザフォードの原始構造は、大学以来、触れる機会はありません)。ということで、少しアカデミックなお話を。


窒素(元素周期表上の第15族元素)は最外郭電子が5つ、ガリウム(元素周期表上の第13族元素)は最外郭電子が3つで、結合することにより最外郭電子が8つとなり、安定した構造になります。同じように、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化リン化ガリウム(GaAsP)、窒化アルミ有無(AlN)などがあります。


青色を実現できる半導体としては、バンドギャップエネルギーが2.6エレクトロンボルト異常必要とのこと。窒化ガリウムは3.4エレクトロンボルトのバンドギャップが最適だったとのことです。問題は、高品質単結晶の生成とpn結合で、理論上、青色発光ダイオードの可能性を秘めながら、実現性が困難で、多くの研究者が降りて行き、唯一、赤碕先生のみが松下電器~第二次名古屋大学時代の長きにわたり、研究を続けたとのことです。


エジソンが改良した白熱球は20世紀を照らし、青色発光ダイオードは省電力で21世紀を照らすと言われます。そこには30年近くに及ぶ赤碕先生の不屈の努力があったのかと思うと、ただただ頭が下がらざるをえません。


こうしたイルミネーションも青色発光ダイオードの発明のおかげですね。

「さがみ湖プレジャーフォレスト」のイルミネーション
「さがみ湖プレジャーフォレスト」のイルミネーション posted by (C)白石准



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