<目次>
- まえがき 駅がなければ、旅は始まらない! 横見 浩彦
- 第1章 木造駅舎の駅
- 第2章 一風変わった駅
- 第3章 景色の素晴らしい駅
- 第4章 秘境駅
- 第5章 海辺の駅
- 第6章 オイシイ駅
- 第7章 終着駅
- 第8章 鉄道ファンなら訪ねたい駅
- 第9章 記憶の残る駅
- あとがき よく来たな。まあ座れ 牛山 隆信
「秘境駅」というものに魅せられて以来、古い「駅」そのものにも魅せられつつあります。「駅」そのものを、鉄道の旅の目的にしてもいいのではないかと。もちろん、小幌駅や小和田駅のように、「駅」以外に全く何もなく、駅の外へ出ることすら塞がれているような駅の場合、そこで野宿を決行しようという気概がなければ、訪れるのも厳しいかと思います。「秘境駅」という言葉を作った本書の著者の一人牛山隆信氏も、「駅寝」をしたことを著書にて度々告白していますが、本書では「もうやっていない」とも。そうか。若気の至りだったのか。
といこともあり、秘境過ぎる駅は魅せられつつあるものの近寄りがたかったのですが、本書は私にとって訪れてみたい新たな駅の基軸を提供していくれました。それが本書の目次通り、木造駅舎の駅、一風変わった駅、景色の素晴らしい駅、海辺の駅、オイシイ駅、執着駅、鉄道ファンなら訪ねたい駅、記憶の残る駅です。
牛山氏とならぶもう一人の著書・横見浩彦氏も想像を絶する強者です。
私の小学生時代、1980年前後だと思いますが、JRの前身である国鉄が「いい旅チャレンジ20000km」というキャンペーンを実施していました。全国の国鉄路線を踏破しようというものです。私は父と一緒に、このチャレンジを実施しようとしました。名古屋から大垣発東京行きの深夜電車に乗り込み、東京の路線を隈なく踏破したのは、たしか小学校6年生(1981年)だったと思います。ただその後、中学3年卒業後の1985年春のつくば博を最後に、父と旅をすることもなくなり、大学からは海外に目を向けるようになってしまったので、日本国内の鉄道の旅も一旦しなくなりました。鉄道一人旅を始めたのも、5人いる子どものうちの末子が幼稚園最終学年になり、それほど子育てに手がかからなった一昨年からです。
JR全線踏破を達成した人は、日本全国におそらく数千人から数万人はいるでしょう。鉄道ファンの層を考えれば、それぐらいいても不思議ではありません。しかし、本書の著者横見浩彦氏は、全線踏破ならぬ全駅下車踏破を達成しています。JRだけでなくすべての私鉄をもです。ビックリ仰天です。そんな横見氏が推薦する駅なので、間違いないだろうと思います。
本書についての難点は二つ。新刊だと思って買ったのですが、実は2007年の本の文庫化である点。残念ながら、本書に掲載された駅のいくつかは廃駅になっています(本書で追記されています。) 廃駅になる前に行きたかった!と思う駅もあります。そしてもう一つは、Amazonレビューでもネガティブ評価を受けているのですが、写真が不鮮明であること。写真を楽しむなら、他の本かインターネットをあたったほうがよいでしょう。
さて、本書の9つのテーマからそれぞれ1つずつ、訪れてみたい駅を選びました。「訪ねたい」という観点で選んでいますので、訪ねやすい関東近辺の駅が多いことは、ご了承下さい。Wikipediaを中心に、クリエイティブ・コモンズ等の転載可能なサイトから写真を転載しました。ご覧ください。
木造駅舎の駅
わたらせ渓谷鉄道 上神梅(かみかんばい)駅(群馬県)
photo credit : Filler via 上神梅駅 - Wikipedia (lic : CC BY-SA)
わたらせ渓谷鉄道は、景勝路線としても有名です。東京から比較的近いこともあり、いづれ訪れたいです。トロッコ列車も走らせており、「乗り鉄」としても楽しめます。
木造駅舎というのは、それだけで一冊になりうる一大テーマです。
一風変わった駅
土讃線・土佐北川駅(高知県)
photo credit : Navian via 土佐北川駅 - Wikipedia (lic : public domain)
秘境駅としても名前の挙がる駅です。川の上にある珍しい駅です。他に、土合駅のような地下の駅が紹介されています。瀬戸内海側から太平洋側へと四国を縦に横断する土讃本線は、秘境路線としても有名です。途中、スイッチバック駅などがあります。特急車両で一気に通過するのではなく、各駅停車で横断したいところです。
秘境駅というのは県境に多く、土讃本線の場合、香川県~徳島県、徳島県~高知県と2つの県境を通っていきます。
景色の素晴らしい駅
中央本線・定光寺駅(愛知県)
photo credit : Cory via 定光寺駅 - Wikipedia (lic : CC BY-SA)
名古屋近郊でありながら、景勝にすぐれた駅です。通過したことがあるのに降りたことはありません。この夏も通過しましたよ。下車してみないといけないですね。名古屋近郊ということで電車本数も多いので、降りても全然支障がありません。
本書で取り上げられていませんが、中央本線の東京より、高尾駅から先もまた景勝区間が多いと思います。
秘境駅
室蘭本線・小幌駅(北海道)
photo credit : ゆりのき橋 via 小幌駅 - Wikipedia (lic : CC BY)
鉄道以外でアクセスが完全不可能というナンバーワン秘境駅。訪れてみたいものの、訪れてどうするんだ?という駅です。本当に行くべきかどうか、悩みます。
海辺の駅
山陰本線・鎧駅(兵庫県)
東海道本線・根府川駅(神奈川県)
photo credit : Hakutaka0810 via 根府川駅 - Wikipedia (lic : GFDL)
東海道本線の小田原と熱海の中間にある駅。何度も通過したことがあるのに下車したことがありません。なんともったいないことをしてきたのでしょう。今度は下車をせねば。
オイシイ駅
釧網本線・北浜駅(北海道)
photo credit : 221.20 via 北浜駅 (北海道) - Wikipedia (lic : public domain)
この本の中で、この「オイシイ駅」という括りだけはびっくりしました。都市圏の駅構内に飲食店があるのは当たり前です。しかし、ここで紹介されている駅はすべて、過疎地の駅、無人駅です。
駅は、人の手入れがないと荒れ果てます。無人駅になったのを契機に、地元の人が清掃や手入れをしてくれる駅も多いとのこと。そうした手入れの一環が、飲食店の開業です。駅舎自体が飲食店になっています。釧路と網走を結ぶ釧網本線は、釧路湿原を一望できたり、オホーツク海に面したりといった景勝路線として名高いですが、飲食店となった駅舎が並ぶ駅舎グルメ路線という一面もあることが、本書で図らずも分かりました。
終着駅
久留里線・上総亀山駅(千葉県)
photo credit : 掬茶 via 上総亀山駅 - Wikipedia (lic : CC BY-SA)
東京から比較的訪れやすい終着駅ですね。ポイントは、青梅線・五日市線や信越本線(横川線)と異なり、この路線が非電化であること。ディーゼルカー、萌えますね。
鉄道ファンなら訪ねたい駅
山陰本線・餘部駅(兵庫駅)
photo credit : Rsa via 餘部駅 - Wikipedia (lic : CC BY-SA)
かつて、鉄骨を組み立てたトレッスル橋・餘部鉄橋の最寄り駅だった餘部駅。上の鎧駅とともに訪れたい駅です。
記憶の残る駅
吾妻線・大前駅(群馬県)
photo credit : LERK via 大前駅 - Wikipedia (lic : CC BY)
群馬県の終着駅。時刻表を見ると、吾妻線のほとんどの電車は一歩手前の万座・鹿沢口駅までしか行きません。大前駅に到達するのは一日5本。万座温泉・白根山を目指す観光客は万座・鹿沢口駅で下車し、鉄分の多い人だけが大前駅で下車すると言われます。
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