<目次>
  • はじめに
  • 第一章 人生が破壊された超人気AV女優
  • 第二章 納得して出演している女性ばかりじゃなかった
  • 第三章 歌手になりたくてAV作品に出演
  • 第四章 人間扱いされないAV女優たちの絶望の系譜
  • 第五章 普通の女の子をAV女優に導く暗黒のスカウト最前線
  • 第六章 「AV女優に人権を」業界でただ一人動いた元AV女優
  • 第七章 AV業界が消える前に
  • 第八章 強要問題はAV女優の反乱だった
  • おわりに


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一昨年前より強要問題で揺れるAV業界。世の中のほとんどの男性と同様、今まで対岸の火事(?)で他人事だったのですが、どうやら他人事では済まされないようです。


AV女優が人気職業と呼ばれるようになり、なりたくてもなれない職業と言われているのに、強要問題があると言われても、ピンときませんでした。しかし、本書を読んで、からくりが分かりました。


強要されているのは単体女優


AV女優には大きくわけて3つのカテゴリーがあります。単体女優、企画単体女優、企画女優です。詳しくはWikipediaの解説をご覧ください。



強要問題が起きているのは、単体女優です。メーカーと専属契約を結ぶトップクラスのAV女優です。容姿が優れていることは言うまでもありません。一般公募ではなかなか美貌のもち主は表れず、必然的にスカウトで見つけることになります。


強要の舞台はスカウト


そして、強要問題が起きている舞台がスカウトです。その手口が狡猾で、いわば洗脳であり詐欺です。芸能界や歌手デビューという甘言で誘います。手の込んだこともしており、ボイストレーニングに通わせ、デモテープを作成、レコード会社へ売り込む素振りなどを見せ、本気にさせます。本書では、筆者がインタビューをした元AV女優の証言が載せられていますので、いくつか引用します。


「スカウトマンはボイトレ通って、デモテープ録ってレコード会社に贈るみたいなことを何度も言っていました。今思うと、本当に手が込んでいた。私だけじゃなくて、渋谷でスカウトされて同じボイトレに通った女の子が同じ事務所に4人いて、全員が結局AV女優になっています。しばらくしてそろそろ契約しようか、事務所にハンコを持ってきてって言われました。呼ばれたのは、渋谷区内にあるスカウト会社の事務所でした」

呼ばれた時間に行くと、応接室にスカウトマンと社長がいた。坂本さんが席につくと、示し合わせたようにスーツ姿の4~5人の男が一気に室内に入って来る。男たちに囲まれ、威圧的な雰囲気が漂った。 (P23)


手が込んでいるケースだと、グラビアモデルとしてデビューさせた後、脱がせるらしいです。「元芸能人」「元グラビアアイドル」としてAVデビューをすることで、箔がつくからとのこと。なるほど・・・合点が行きました。


2000年代半ばから単体女優は、どう付加価値をつけるかが重要になった。視聴者がよりクオリティーの高い女性を求めるため、美人、可愛い、綺麗だけでは商品力が弱く、芸能人、元芸能人、グラビアアイドルなどキャリアに冠をつけて売るようになった。芸能事務所と提携してAVデビューありきで、先にグラビアデビューさせたりする。ずっとAV業界と芸能界ば別世界だったが、スカウト会社、プロダクション、AVメーカーが協力、提携することでその垣根は、だんだんとなくなっていった。 (P79)


狙われやすいのは・・・


そして、狙われるのは、就学・就職のために地方から上京してきた女性たちです。なぜなら東京に所縁も縁もないからです。


「契約書を出されて、スカウトマンと社長に『あのさ、まずアダルトビデオをやってもらわないと、歌手にはなれないんだわ』って横暴な感じで言われました。えっ?って。『とりあえずバレないしさ、お金にもあるから、とりあえず書いてよ、ハンコ捺して』ってなった。えーって。中島美嘉とか浜崎あゆみもやってるんですか?って聞いたら、みんなAV女優やっているって。後で見せてあげるって。私、無理です、なりたくないですってだいぶ抵抗したけど、断るのは無理でした。ボイトレの申し込みでプロフィールを書かされていて、免許証とか学生証のコピーをとられているし、実家の住所も書いちゃっている。『わかっているよね、最初にいろいろ書いたでしょ、君が飛ぶってことは家族も全員飛ぶってことだから』って脅されました。もう本当に怖いし、諦めて、震えながら契約書にサインしました。実印も捺した」

現在、問題視される出演強要の典型的なケースだ。日々、女の子たちを脅して管理する悪徳なスカウト会社にとって、育ちのいい地方出身の女子大生を脅して支配するなど朝飯前である。 (P24)


もう一人別の女性も同様です。


「その新しい事務所に“AV女優は?”って提案された。AV女優ってわからなかったけど、AV女優になって知名度を上げれば、それなりに活躍できるタレントになれるって言われた。裸の仕事なんて、一瞬すら考えたこともなかった。私はずっと風俗とか水商売とかそういう女性を軽蔑するようなタイプで、彼氏もいたし、そんな仕事考えられないって拒絶しました。けど、何度も説得されて芸能界へのステップって話を信じてしまいました」 (P118)

両親や友達はみんな地元にいる。誰も相談する人がいない中で“AV女優はタレントへのステップ”という、事務所の話にすがるしかなかった。(中略)

「・・・裸になって名前が売れれば、その先に芸能界が待っていると、最初は本気で思っていました。そうじゃなければAV女優なんかにならない」 (P120)


情報遮断?


うーん、、なんで信じちゃうんだろうなぁ・・・


18歳や20歳の女の子って、AVを見ないですよね。AVを見れば、後に芸能人になる人なんてほとんどいないことは自明なのに。しかも現役時代も、自分の作品って見ないもんなんですね。


ある日彼氏が、出演したアダルトビデオ30本以上を買ってきたことがあった。「これを全部見て、自分がしていることの感想文を書け」と命令された。好きな相手だったので頷いた。

「一日中、鑑賞させられました。2週間くらい朝から晩まで、ずっと自分が出演したAVを見た。彼氏に言われるまま気づいたこととか、なにを思ったとか、書きだした。本当にきつかった。自分が出演する映像を見ながら、何度も嘔吐しました。本当に耐えられないほど、気持ち悪かった。私ってこんなことをしていたのって。見れば見るほど、気分が落ち込んで、最終的にはカラダが受け付けなくなった。それで嘔吐の連続です。AV女優として画面の中にいて、淫乱女みたいなのを演じている自分が女として気持ち悪かった。確かに廃車だと思ったし、クズだと思った。」(P38)


プロダクションのマネージャーが女優をケアするそぶりを見せ、実は監視しているとのこと。他のAV女優との交流を禁止し、情報を遮断するのだそうです。そして、稼いでもらうために、持ち上げ続けます。


「私は現役離れして、まずAV女優が、社会からどう思われているのかわかりました。業界の中にいると情報を遮断されているし、なにもわからない。けど、一歩外に出るとわかる。それまでは誰かと出会っても綺麗、可愛い、いつか結婚したいって言われていたのが、元AV女優だってわかると、ただのヤルだけの女みたいな扱いになる。」 (P36)


さて、今やAV女優といえば、Twitter、Instagramを使うのが当たり前になっています。本書で紹介されているケースでは7~8年前に引退したケースもあり、ブログを書いている女優さんはそこそこいたかもしれませんが、今のようにTwitterを使っている女優さんはほとんどいませんでした。


今はそれほど情報を遮断されていない、そう信じたいです。


引用文が多くなって長くなりましたので、また別途続きを書きます。つづく。


【書評(18禁)】『AV女優消滅』(その2) : なおきのブログ


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一押しのひびやんこと大槻ひびきさん


一昨年、DMMアダルトアワードで最優秀女優賞を獲得しました。既に10年目のキャリアとなり、ここまでのキャリアを積めば、達観している感があります。彼女にはこの後もがんばってほしい。


大槻ひびき♡(@hibiki0221) | Twitter

DMMアダルトアワード2016最優秀女優賞♡ティーパワーズ所属AV女優、ひびやん!全国でサイン会開催中!ひびやん女子&大槻ファミリーになってね❛˓◞˂̵✧ニコ生「大槻ひびきのお尻ペン吉だよ!」youtube「東京パロパロ」2nd写真集・イメージDVD・ポーズ集発売中。T♡Project黄色担当!推してねー❛˓◞˂̵✧

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(当記事の見出し画像に彼女のTwitterプロフ画像をお借りしました。)



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