2018年5月に読む本を選ぶ(その1)からのつづきです。毎月、出版社サイトを巡回して新書情報を確認しています。
『物流は世界史をどう変えたのか』
玉木氏の著書は2冊読みました。『ヨーロッパ覇権史』と『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』です。玉木氏は、世界を一つのシステムとして捉えた世界史観である世界システム論で定評のある書き手だと思っています。本書は、「物流」を軸に、世界史を捉えたということなのでしょう。人力、馬力、帆船、蒸気船・鉄道、トラック輸送・航空貨物という変遷を扱っているのだろうと推察します。
『男性という孤独な存在』
説明書きを読むと、とかく男子の草食化が婚姻率低下及び少子化の遠因のひとつのようにも言われますが、そもそも論、戦後の経済成長期のように、総中流化社会、9割以上の人が結婚し家庭を持った社会のほうが非常時であって、そもそも、「平凡な男」は結婚しない「余剰な存在」だったという・・・たしかに、上流階級が側室やお妾さんを抱えていた時代、男女比が同じなら、同じ数の男性が余っていたはずです。そんな歴史的実証がなされていると期待します。
- 【書評】『男性という孤独な存在』 : なおきのブログ(2018年6月21日追加)
『パブリック・スクールと日本の名門校』
数多くの私立中高一貫校を見てきて感じることは、日本の名門校はイギリスのパブリック・スクールを模倣し、リベラルアーツに力を入れているということ。
上の記事で取り上げているのは、女子学院、武蔵中高、慶應中高です。友人のO氏と、このリベラルアーツ教育の裾野をもっと広げたいよね、という話をしています。
- 【書評】『パブリック・スクールと日本の名門校』 : なおきのブログ(2018年6月23日追加)
『図説 あらすじと地図で面白いほどわかる! 源氏物語』
古典を楽しむ方法は人それぞれかと思いますが、そのゆかりの地を散策するというのも一つの手です。『源氏物語』は京を中心にした物語ではありますが、明石や宇治が京から離れて寂びれた土地のように描写されていました。源平合戦の時で日本の人口は8百万人と言われていますので、人口密度は現在の15分の1程度ということになります。国府でもない限り、今と比べれば随分人口が希薄だったのでしょう。明石も宇治も、今と比べようもないぐらい自然が豊かだったはずです。
『理科系の読書術』
私の読書に関する持論の最たるものが、「読書はインプットだけでなくアウトプット」です。書評を書くのも、読書会に参加するのも、一重にアウトプットのためです。人は、アウトプットすることによって学習します。
(2018年5月13日追記)
『日本の公教育』
日本のGDPに占める教育の公的支出はODBC諸国の中では最低クラスです。東京都の公教育には、本当に憤りを感じます。そもそも圧倒的に公立学校のキャパシティがないのですから。今に始まったことではなく、長年の蓄積によるもののため、状況を改善するのは難しいです。読めば、その理論的根拠を私に与えてくれるのだろうな、とは思いますが・・・
以上、出版社サイトの新書情報を巡回した結果です。
『パンツが見える。: 羞恥心の現代史』
酒井順子氏のHONZでの解説が痛快です。
今、我々はあたりまえのようにパンツをはいています。「何故、私はこのような布を股にあてがっているのだ?」と、改めて考えたりせず、習慣としてパンツをはいている。
日本女性が下着を履くようになったのは関東大震災が経緯とのこと。しかも最初はズロースという半ズボンタイプで、今のように布面積が小さくなったのは、高度成長期以降です。履くようになって、かつ面積が小さくなってから、羞恥心が生まれてきました。ズロース時代は現代のような羞恥心はなく、いわんや、履かなかった時代は見える心配もありませんでした。その代わり、見える時はモロに見えていたのかもしれませんが・・・
『さよなら、田中さん』
中学生作家のベストセラー作品です!中高生の娘を持つ親としては、一押しです。
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