構成単位とネットワーク

<目次>
  • 第1章 序説 トナカイ ネットワーク
  • 第2章 アリ アンターネット 馬糞
  • 第3章 共食い 脳 インターネット
  • 第4章 奴隷 ニューロン ウェブ
  • 第5章 パン モバイル フェイスブック
  • 第6章 チーフ 検索 文脈
  • 第7章 大衆 詩 シェイクスピア
  • 第8章 ホヤ 利益 トラフィック
  • 第9章 フェロモン 言語 鏡
  • 第10章 EEG ESP 人工知能
  • 第11章 結び シロアリ 全滅
  • 第12章 あとがき インターネットは脳である
  • 付録
  • 注釈

本書は朝活読書サロンで紹介しました。


冒頭の絵は、本書を読んで私が描いたものだけど、何の対比か分かるでしょうか?


左は構成要素を表し、右はネットワークを表します。

さらには、構成要素側には「知性」はないのにも関わらず、ネットワークは知性があるように振る舞います。「自己組織化」あるいは「創発」と呼ばれる現象です。


部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。


単体とネットワーク


アリ単体にはほとんど知性はありません。アリの脳のニューロンの数など、たかが知れています。しかし、アリの行列、アリの巣は、知性があるように振る舞います。餌を見つけたアリがフェロモンを発することにより、他のアリがおびき寄せられ、アリの行列を作ります。個々のアリは、それがどこに向かうのか分からないのにもかかわらず。


ニューロン単体にはほとんど知性がありません。しかし、100億個のニューロンが100兆個も繋がりを持ち、ネットワークを形成した脳は、知性を持ちます。


同様に、コンピュータ単体には知性はありませんが、インターネット全体ではあたかも知性があるように振る舞います。知性のないアリと知性があるように振る舞うアリの巣、知性のないニューロンと知性のある脳の対比は、人工知能というのは、一台の高性能コンピュータではなく、性能が高くない無数のコンピュータがつながることにより、誕生することを示唆しているように見えます。

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限界はあるのか


アリの巣の限界

アリの巣は、安定期に入ると20年も30年も続くそうです。アリの種類によっても異なるでしょうが、本書で取り上げた典型的なアリの例では、一つのアリの巣のアリ人口は1万匹。それ以上増えることはないそうです。逆に、それ以上増えてしまうと、限界点を超え、食糧難等により、崩壊を迎えます。


イースター島には、かつて人が住んでいましたが、島の食糧生産能力以上に人口が増えてしまったために、滅亡しました。イナゴの大群にしろ何にしろ、生物の大繁殖はただちに崩壊します。


急激に増えれば、崩壊し、ゆるやかに超えそうになれば、均衡点に軟着陸し、落ち着きます。その均衡点こそが、本書のタイトルになっているブレークポイントです。アリにとっては1万匹がブレークポイントです。


脳の限界

人間の脳のニューロンの数は、赤ん坊の時が最も多く、その後急激に減少するそうです。人間の脳は、持てる能力の10%も使っていないと言われています。もし、脳の能力を最大限引き出すことができたら、現在の人類の5倍、10倍と能力に優れた人類が誕生するのではないかと勝手に妄想したことがあります。しかしどうやらそれは不可能なようです。


というのは、10%も使っていないのに、人間の脳は、人間のエネルギー消費量のすでに20%も使っています。他のエネルギーは、体温維持や行動に使われます。もし、人間の脳に2倍のエネルギーを与えようとすると、40%ものエネルギー消費量になります。うーん、頭が燃え尽きてしまうぐらい熱くなりそうな感じがします。


つまり、エネルギー消費量の20%、能力の10%未満の利用が、脳のブレークポイントです。その均衡状態に達するために、ニューロンの数は減ります。


インターネットの限界

コンピュータが無限につながることによるインターネットでの知性の誕生はどうでしょうか?インターネットにつながるコンピュータは、人類の消費エネルギーの既に2%を費やしているとのことです。今やコンピュータは、デスクトップPCやノートPCではなく、スマートフォンが中心に躍り出ています。そしてその台数は、途上国を中心に大きく伸びていくでしょう。10年後、あるいは数年後には、人類のエネルギー消費量の20%をインターネット上のコンピュータやスマートフォン、ありとあらゆるマイクロプロセッサが消費するようになります。


さらにそこから増やして、30%、40%へと至ることは可能なのでしょうか?おそらく不可能でしょう。


インターネットのブレークポイントも、いづれ訪れます。それはそんなに遠い未来ではなさそうです。そして、インターネットは今よりは賢く振る舞うようにはなるでしょう。ただ、それが人間の知性に匹敵するような人工知能として振る舞うかどうかは、今のところはまだ未知のようです。

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関連書籍


先々週、Hさんと『ブレークポイント』の話をした際、この本のことを思い出しました。Hさんが2008年ごろに薦めてくれていた本です。物理学者ブリコジンの書いた本で、量子論(不確定性原理)と複雑性に関する本です。


暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)
マイケル ポランニー
筑摩書房 ( 2003-12 )
ISBN: 9784480088161


「創発」と言えば、本書に触れずにはいられません。化学者でありながら、社会科学者に転向した御仁です。



粘菌の自己組織化の振る舞いを思い出すと、知性がない原始生物でさえ、知性を感じられます。




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