日本の人口ピラミッド(2010年)

日本の人口ピラミッド(2010年)

画像出典:Wikipedia License:CC BY 3.0


<目次>
  • はじめに それは肩書きを捨てて味わった、地獄。
  • 第一章 肩書き捨てたら地獄だった
  • 第二章 たどりついた「セルフブランディング」という戦略
  • 第三章 これからの働き方 - フリーエージェント論
  • 第四章 なぜ「会社」と「国」に頼れなくなったのか
  • 第五章 そして、その頼れない世界で生き抜く技術
  • おわり


時代背景に基づく職業への警鐘を鳴らす本はいくつもあります(類似書はブログ記事後半参照)。本書もそのうちの一つです。書かれている内容への言及は、タイトルと目次を見ればほぼそのとおりなので割愛させていただき、新たな気づきが得られたデータについて言及したいと思います。経済産業省出身の方ということもあって、データに基づく視点はさすがだなと思いました。



団塊の世代


団塊の世代というのは、戦争が終わって男が戦地から帰ってきて、戦争中にできなかった子作りをしたことによって戦後の1947年から1949年に人口爆発をもたらしたわけですが、1950年以降、出生数が急減したのはなぜなのだろう?と不思議に思ったものです。なんと、1949年に中絶が合法になったことによるものだそうです。

なぜこの時期(戦後間もない頃)にこれだけの人口が爆発したのか。これには第二次世界大戦中の出生の落ち込みの反動という側面と、当時、中絶が認められていなかった、という制度的な側面がありました。

1949年に経済的な理由などによる中絶が法律で認められてからは(優生保護法、のちの母体保護法)、中絶数が急速に伸びて、出生数も急速に減少していきます。(P110)


1949年から1953年までの出生数と中絶件数の推移の数字がありましたので、グラフ化してみました。


出生数と中絶件数推移


出生数と中絶件数の合計値はほぼ安定しており、中絶件数の急増により出生数の急ブレーキがかかったわけです。


そして良くも悪くも、団塊の世代という人口の塊は、後世の日本社会に影響を与えます。高度経済成長期にはプラスの影響だったのですが、すでに60歳を過ぎ引退とした今となっては、社会保障費の重しの原因になっています。


団塊の世代は、2025年から2030年ごろまで、日本の人口ボリュームゾーンです。2030年以降、ようやく団塊ジュニア世代にバトンタッチします。それまでに抜本的な社会保障改革はできないのではないか?というのが著者の見立てです。私もそう思います。

2010年時点では62歳が最多人口、2020時点では71歳が最多人口、2030年時点では57歳が最多人口(団塊ジュニアへの覇権移動完成)となっています。

この移行を見るに、今後2020年までは社会保障の抜本的な制度改革に対する政治的抵抗はさらに増すことが予測されます。年金給付水準や高齢者の医療費低負担の維持、および消費税によるその財源保障、というのが政治的な大勢になることが見込まれます。

ではこれが2030年になるとどうなるか?政治的な覇権が団塊ジュニア世代に移り、このときになってやっと、年金制度を含む社会保障制度の抜本的な改革が議論されることになるはずです。 (P164)


そして、経済産業省幹部の方のこの言葉が衝撃でした。

私がしようとしていることも先送りで、それこそが期待される役割だ。ただ、どれだけ未来に禍根を残さないように先送りできるのか。それを一所懸命に考え、将来に託すことが私たちの仕事なんだよ。 (P144)


関連書籍


著者は日本の外に長い間いたこともあり、日本、日本人に対する客観的な視点を私は評価しています。本書では、アベノミクスは全否定、日本の財政再建はもはやほぼ不可能ではないかという現実を突きつけます。こうなった原因は、日本人の幼児体質にあると一刀両断。結局、この国を悪くしているのは、政治家でも官僚でもなく、もちろん企業でもなく、すべて国民の責任だと言い切ります。私の問題意識と100%一致します。




フリーエージェント社会の職業観という点では、本書がフロンティアではないでしょうか?



そして、田坂広志氏の書も同様のことを述べています。知識より智慧、形式知よりも経験に裏付けられた暗黙知によってプロフェッショナル化を図ること、パーソナルブランドを構築することを訴えています。『フリーエージェント社会の到来』も引用しながら、『プロフェッショナル進化論』について、いくつか記事を書いていますのでご参照ください。




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