上總ノ海路
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漂流記の魅力 (新潮新書)
吉村 昭
新潮社 ( 2003-04-10 )
ISBN: 9784106100024

<目次>
  • 第一章 海洋文学
  • 第二章 「若宮丸」の漂流
  • 第三章 ペテルブルグ
  • 第四章 世界一周
  • 第五章 長崎
  • 第六章 帰郷


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思わず図書館で目が遭ってしまい、借りました。


それほど物語の読書が好きでなかった子どもの頃、好きだったのが伝記物と探検もの、漂流ものでした。『ガリバー旅行記』、『トム・ソーヤ―の冒険』、『十五少年漂流記』、『八十日間世界一周』、ジョン万次郎の伝記などです。これらは55冊からなる小学館の物語全集に収められていました。ここにロビンソン・クルーソーがいないのは、収められていなかったからでしょう。


それ以外にも、コロンブス、マゼラン、ジェームズ・クックなどの航海士たちに魅せられましたし、ペリー来航以前のロシア船の来航を描いた渡辺京二氏の『黒船前夜 ~ロシア・アイヌ・日本の三国志』にも大変魅せられました。


さて、本書が取り上げる漂流は、1793年に石巻を出発して、アリューシャン列島まで流された「若宮丸」。かの大黒屋光太夫が流されたのが1782年、根室に来航したラクスマンに連れられて帰国できたのが1792年。ちょうどその後に流されてロシアに渡ったことになります。「若宮丸」一同の顔ぶれと一人一人の足取りは、Wikipediaで確認できます。


若宮丸 - Wikipedia


Wikipediaになぜここまで詳細に書かれているかというと、おそらく本書に負うところが大きいのではないかと思います。そして本書を紐解くと、海外渡航禁止の時代だった江戸時代では、帰国した漂流民たちは、綿密に調書を取られたとのこと。その一次資料を丹念に読み解き、書き上げたのが本書というわけです。著者吉村昭氏の努力に敬服します。


「若宮丸」以外の漂流民の記録も調べ上げており、「破船から漂流までの経過が驚くほど似ている」ことに気づきます。暴風雨などの遭難に遭うと、まず排水します。最初に破壊されるのは舵。丁髷を切り、神仏に祈ります。それでも嵐が止まない場合は、荷物を海へ投棄します。大切な荷物です。生き残って帰れたとしても、罪に問われるでしょう。そして、それでも嵐が止まない場合は、帆柱を倒します。これで「舵も帆柱もなくなった船は、航行の自由を失い、洋上を浮遊する容器にすぎないもの」になり、海流に流されるまま、流されていきます。


そうして、「若宮丸」が辿り着いた先はアリューシャン列島。その後の生き残り人数をまとめると以下のとおり。


  • 1794年 アリューシャン列島、1名死亡、残り15名
  • 1796年 ヤクーツクで1名死亡、残り14名
  • 1799年 イルクーツクで1名死亡、残り13名
  • 1803年 サンクトペテルブルクへ向かうが3名はイルクーツクへ引き返す
  • 1803年 サンクトペテルブルクに10名到着、6名ロシアに帰化
  • 1804年 4名がレザノフに連れられ、南米を周り、太平洋を渡って、カムチャッカ経由で長崎に帰国


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