江戸川乱歩の『人間椅子』。むろんタイトルは知っていたし、椅子の中に人間が潜むというプロットは知っていました。また、家具の中に人が潜む話は、他の江戸川乱歩作品にもあったと記憶しています。『黒蜥蜴』だったかもしれませんし、ほかの明智小五郎シリーズだったかも ...
カテゴリ:書評:文学・語学
【書評】山月記 (立東舎 乙女の本棚)
33歳で亡くなった希代の作家、中島敦(1909年~1942年)の著した『山月記』。知らないわけがない。自分が子どもの頃に教科書で読んだ記憶があるし、我が子たちの中学の国語の教科書に載っている。 舞台が中国で、ある官吏袁惨が山で虎に遭遇するが、その虎がかつての友人 ...
立東舎 乙女の本棚シリーズ(『蜜柑』『檸檬』『高瀬舟』『山月記』『人間椅子』『赤とんぼ』)
立東舎の「乙女の本棚」シリーズ。朝活読書サロンでたびたび紹介を受けるので、読んでみました。 芥川龍之介の『蜜柑』を皮切りに、梶井基次郎の『檸檬』、森鷗外の『高瀬舟』、中島敦の『山月記』、江戸川乱歩の『人間椅子』、そして新美南吉の『赤とんぼ』。いづれの作 ...
【書評】『あの子の殺人計画』
読後感としてはちょっと惜しい。ミステリー作品であり、種明かしするわけにはいかないので、ストーリーの後半を述べることはできませんが。。。本書との出会いは9月13日の読書会。参加者全員とも初対面でした。 ...
【書評】『日本語の連続/不連続 (平凡社新書)』
かねてより知りたかったことの一つが現在の日本語の成立の過程です。夏目漱石の小説は口語体で書かれていてすらすら読めるのに、森鴎外の『舞姫』や樋口一葉の『たけくらべ』は旧来の文語体で書かれていて、すらすら読むことができません。 ...
【書評】『一九八四年[新訳版] 』
20世紀最高峰のディストピア小説という呼び名の高い『一九八四年』。訳者後書きによると、イギリスでは「読んだふり」をされる本ナンバーワンとのことです。一種の教養書であり、知らないことは恥なのかもしれません。 ...
【書評】『計量文献学の世界 シェークスピアは誰ですか?』~統計的に著作者を推定する~
文系と理系、文学と科学を二項対立ではなく、文系・文学もまた「人文科学」という「科学」の一種なら、文学に計量分析(テキストマイニング)という統計学的手法を持ち込んだ本書は「人文科学」の書と言えます。 ...
【書評】『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』 #読書戦闘力
本書を通読して思ったことは、1)人を通じて「本」を知ることの大切さを再認識したこと、2)本を通じて「人」を知るという逆の効果もあるということ、そして3)菜々子さんの驚嘆すべき選書の幅の広さ(読書戦闘力の高さ)、4)男というものです。 ...
【書評】『ボッコちゃん (新潮文庫)』~新潮文庫「中学生に読んで欲しい30冊」より
新潮文庫の「中学生に読んで欲しい30冊」に取り上げられていた一冊。全部で50編から成り、その中から中二の三女に読んで欲しい12編を選んでみた。さらにこの中から4編、あらすじとオチを要約する。 ...
【書評】はあちゅう(作)『仮想人生』
主な登場人物は5人。ユカ33歳、鉄平23歳、工藤直人20歳、裕二21歳、愛42歳。Twitterの裏アカウントを持つ5人がお互い交差しながら、各々の目線で描いたオムニバスです。そしてその中でも主人公はセレブな専業主婦のユカ33歳。旦那が失踪して帰ってこないというオチにもかかわらず、読了感が実に爽やかです。 ...
【書評】『言語学入門』~自然言語技術の限界を理解する~
本書は分かり易くて包括的・体系的であり、『言語学入門』というタイトルに相応しいです。現在の自然言語技術の限界点がどこにあるか、余すことなく理解することができました。 ...
【世界の文学を読む】#9『神曲 (まんがで読破)』
『若きウェルテルの悩み』につづいて「マンガで読破」シリーズで読みました。本書を読もうと思ったきっかけの一つは、『チェーザレ 破壊の創造者』の7巻で『神曲』のエピソードが採り上げられていたこと。 ...
【世界の文学を読む】#8『若きウェルテルの悩み (まんがで読破)』
時に18世紀のドイツ。ワールハイムにやってきたウェルテルは舞踏会にてシャルロッテと出会う。9人姉弟の長女のロッテは亡くなった母親代わりに弟妹の面倒を見る。そんな健気なシャルロッテに恋に落ちるウェルテル。彼女の弟妹も仲良くなり、幸せのひと時を過ごすが、シャルロッテにはアルベルトという許婚がいた。 ...
【世界の文学を読む】#7『モモ (岩波少年文庫(127))』
世界の文学作品をあまり読んできませんでした。そこで2018年は世界の文学作品を読むと決め、その7冊目です。決めてみても、まだ7冊。決めなければほとんど読まなかったかもしれません。その7冊目に選んだのが『モモ』。 ...
【書評】『東大読書』
本書のポイントは2つ。包括的に読書術を整理し体系立てている点。そして、その体系を「東大読書」と命名した点。この命名には、やられました。東大生はずるいな。 ...
【世界の文学を読む】#6『マノン・レスコー』
舞台は18世紀前半のフランス。フランスの貴族文化が最も煌びやかだった時代でしょうか。青年貴公子デ・グリューが美少女マノン・レスコーにハートを射抜かれます。 ...
【世界の文学を読む】#5『星の王子さま』
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」 あぁ、このフレーズはこの本にあったのか。幾度となく聞いたことのあるこのフレーズ。このフレーズの原点はこの本にあったのかということを思い知った。 ...
【書評】『アナログ』ビートたけし(著)女性の中の母性を見出す
本書との出会いは、昨年10月の読書会のことでした。通常、読書会で紹介を受けた本は読まぬことにしています。なぜなら、紹介されて素晴らしい本だからといって読もうとすれば、積読地獄に陥るからです。しかし、この時ばかりは読みたい本が複数あり、その禁を破ることを宣言したのでした。 ようやく読んだのですが、読んでよかった! ...