上海環球金融中心

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<目次>

  • 序章 本当は恐ろしい中国ビジネス
  • 第1章 全日空ー「井戸を掘った人」が受けた仕打ち
  • 第2章 王子製紙ーストップした工事の行方
  • 第3章 森ビルー上海に建てた「世界一」の高層ビル
  • 第4章 労働争議に立ち向かう自動車メーカー
  • 第5章 伊藤忠ー人脈ビジネスの破綻
  • 第6章 伊藤忠の代理人、丹羽「中国大使」の退場
  • 終章 中国をつけ上がらせた歴代中国大使の「大罪」


中国でビジネスをしようとする日本人は読んでおいたほうがよいかもしれません。


「誰も書かない」とか「新聞が書かない」「メディアが報じない」というタイトルの本や記事は、眉唾物が多いのですが、本書に限ってはそうではありません。私の読みが浅くなければ。


違いなく、中国ビジネスの暗部に迫った本です。目次を見ての通り、全日空、王子製紙、森ビル、伊藤忠商事、そしてトヨタ自動車と、日本を代表する名だたる大企業が中国でしでかした大失敗をえぐり出しています。


私が本書を信用できると判断したのは、著者が取材を取り付けている点です。他の「誰も書かない」系、マスメディア批判系のソーシャルメディア(ゴミメディア)と一線を画しています。

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二千年前も現在も同じ


最近、横山版『史記』を読了し終えました。『史記』と言えば、紀元前の春秋時代から前漢時代を描いた史書です。


中国は、法治社会ではなく人治社会と言われます。同族経営、たかり、恐喝、賄賂、裏切り、粛清など。2000年以上前に繰り広げられたこうした人の営みが、まるまる今日でも行われているのが中国といったところでしょうか。

粛清

共産党が絶対的な力を持つ人治の国・中国において、敗者だけが腐敗行為を暴き立てられ粛正されていく

これは、具体的に鄧小平や江沢民に粛清された人を指しているわけですが、運悪く、その粛清される運命にある人と関係を構築していた日本企業も、同時に粛清されてしまったわけです。よくよく中国国内のパワーバランスを見極めておかないと、危なっかしそうです。


人民解放軍

人民解放軍は中国政治の中核であり、同時に一大コングロマリットでもあるからです。

この点は驚きでした。共産党だけでなく、人民解放軍も中国のあちこちの企業に根を張り巡らしているそうです。

国際友好連絡会はどういう団体なのか。実は国際友好連絡会の正体は、人民解放軍の総政治部の傘下にある一大シンクタンクであり、軍の対日工作も担当しているインテリジェンスなのです。つまり、伊藤忠と江沢民の会見を仲介したのは、三菱商事や丸紅とは違い、政府の貿易機関ではなく、人民解放軍の関係者なのです。国際友好連絡会は、日本の公安当局者の重要な監視対象団体になっています。


喝上げ

王子製紙側はそうしたいきさつを知ってはいたものの、膨大な額の投資計画であり、中国にこれだけ大規模な投資をするなら、大事に扱ってくれるに相違いないと考えます。ところが、中国側は逆に2000億円も出してしまえば、もう日本に逃げるという選択肢はないので、ドンドンたかってやれと判断するわけです。

不良に金を巻き取られてるみたいだ。ジャンプしてみろ、と言われて、ポケットの中の小銭も出せと言われるみたいな。


福祉団体を偽装した合法的賄賂

中国身体障害社福利基金会という福祉団体ですが、この理事長が、鄧樸方とい鄧小平の長男だったのです。

ある日本の別の総合商社の方が言うには、「鄧小平さんの息子さんがトップにいる団体からカンパの依頼が来て断れるところはないですよ。カンパに応じなかったらあとでどうなるかということをみんな考えていますから。金額は別にして、カンパにはまず、どこも例外なく応じています」というほどでした。

福祉団体を偽装した合法的賄賂です。喝上げの一種です。


天下る中国大使

1972年の国交回復から現在まで、中国大使は現職の木寺昌人氏を含めて14人おり、丹羽氏と木寺氏を除き、ほぼ全員が、中国進出に熱心な大企業の顧問に天下りしている。


将来の天下りを期待するあまり、中国大使は中国の機嫌を損ねることは発言できないそうです。


といった、中国には海とも山ともつかぬ魑魅魍魎の世界が今でも広がっています。こんなところでビジネスができたら、実に楽しい、なんてちょっと思ってしまったのは不謹慎でしょうか。

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