現在のメジャーな新書レーベルで、「岩波新書」についで歴史を誇るのは「中公新書」ではないかと思います。歴史関連の新書が多いように思います。最近だと『応仁の乱』が大ブレイクしました。「岩波文庫」、「岩波新書」についても、何が読まれているのか?私は何を読んだのか?を整理してみようと思います。
一点、注釈が必要です。中公新書をよく読むようになってから知ったのですが、1999年に一度経営が変わっています。それまでが中央公論社、それ以降が中央公論新社で読売グループです。
読まれている中公新書
Amazonレビュー評価順で並べると、ほとんど最近の本しか出てこないため、2009年以前の本と2010年以降の本で区切ってみました。
タイトル | 著者 | 出版日 | 読んだか |
2009年以降の中公新書 | |||
西太后―大清帝国最後の光芒 | 加藤 徹 | 2005/9/1 | × |
ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 | 石光真人 | 1971/5/25 | △ |
トルコのもう一つの顔 | 小島 剛一 | 1991/2/1 | × |
科挙―中国の試験地獄 | 宮崎 市定 | 1963/5/1 | × |
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 | 岡田 暁生 | 2005/10/1 | × |
アーロン収容所―西欧ヒューマニズムの限界 | 会田 雄次 | 1962/11/1 | × |
国際政治―恐怖と希望 | 高坂 正尭 | 1966/8/1 | × |
首相支配-日本政治の変貌 | 竹中 治堅 | 2006/5/24 | × |
日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ | 飯尾 潤 | 2007/7/1 | × |
昆虫―驚異の微小脳 | 水波 誠 | 2006/8/1 | × |
2010年以降の中公新書 | |||
ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か |
對馬 達雄 | 2015/11/21 | × |
シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 | 麻田 雅文 | 2016/9/16 | × |
都知事―権力と都政 | 佐々木 信夫 | 2011/1/1 | × |
物語 シンガポールの歴史 | 岩崎 育夫 | 2013/3/22 | ● |
カラー版 パタゴニアを行く ―世界でもっとも美しい大地 |
野村 哲也 | 2011/1/1 | × |
プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで |
深井 智朗 | 2017/3/21 | × |
ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] | 服部正也 | 2014/7/11 | × |
電車の運転 運転士が語る鉄道のしくみ | 宇田賢吉 | 2014/7/11 | × |
田中角栄 - 戦後日本の悲しき自画像 | 早野 透 | 2012/10/24 | × |
カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた |
川口 淳一郎 | 2010/12/1 | × |
うはー。ほとんど知らない本ばかり。読んだことがあるのは1冊のみ、他知っている本が1冊のみという条項です。
私が読んだ中公新書
続いて、私が読んだ本。並びは、読了した順です。
タイトル | 著者 | 出版日 |
思い出の昭南博物館―占領下シンガポールと徳川候 | E.J.H.コーナー | 1982-08 |
能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか | 藤本 隆宏 | 2003-06-24 |
私たちはどうつながっているのか ―ネットワークの科学を応用する |
増田 直紀 | 2007-04-01 |
発想法―創造性開発のために | 川喜田 二郎 | 1967-06-26 |
社会とは何か―システムからプロセスへ | 竹沢 尚一郎 | 2010-01 |
物語 フランス革命 ―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで |
安達 正勝 | 2008-09-01 |
あなたの表現はなぜ伝わらないのか―論理と作法 | 古郡 廷治 | 2011-02 |
オランダ風説書―「鎖国」日本に語られた「世界」 | 松方 冬子 | 2010-03-01 |
父性の復権 | 林 道義 | 1996-05 |
徳富蘇峰―日本ナショナリズムの軌跡 | 米原 謙 | 2003-08-01 |
昭和天皇―「理性の君主」の孤独 | 古川 隆久 | 2011-04 |
物語 シンガポールの歴史 | 岩崎 育夫 | 2013-03-22 |
チャーチル ―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版 |
河合 秀和 | 1998-01-25 |
日本鉄道史 幕末・明治篇 - 蒸気車模型から鉄道国有化まで | 老川 慶喜 | 2014-05-23 |
チョコレートの世界史 ―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 |
武田 尚子 | 2010-12-01 |
地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 | 増田 寛也 | 2014-08-22 |
植物はすごい 七不思議篇 | 田中 修 | 2015-07-24 |
地方消滅 創生戦略篇 | 増田 寛也 | 2015-08-24 |
鄭和の南海大遠征―永楽帝の世界秩序再編 | 宮崎 正勝 | 1997-07 |
中国の論理 - 歴史から解き明かす | 岡本 隆司 | 2016-08-18 |
見ての通り、歴史、または社会学関連の本がほとんどで、外れているの2冊(『あなたの表現はなぜ伝わらないのかのみ』と『植物はすごい 七不思議編』のみ)。上位10冊x2がそこまで歴史や社会学関連に偏っていないので、私が中公新書は歴史・社会学の良書が多いと判断しているのだろうと思います。たしかに、実感とも合っています。
そして、私の一押しはこちら。
大東亜戦争の下、シンガポールを占領した日本はシンガポールを「昭南島」と改名しました。昭南博物館というのは、日本統治下の植物園・博物館の総称です。尾張徳川家の徳川義親候が総長として博物館を守り、日本の敗戦とともにイギリスへ平和裏に引き継ぎます。日本人がシンガポールの遺産を戦火から守ったという史実を現在に伝えます。
この本、絶版です。2回購入したのに手元に残っていません。1回目の購入は1998-2000年のシンガポール駐在時代でした。そしてその後、シンガポールに赴任する後輩に対し、「読め」と渡し、さらに追加購入して2人目にも渡し、手元にも戻っていない次第です。
再販を希望したいところですが、1982年出版ということは、活版でしか存在しないはず。電子化しなおす必要があるため、売れる確度が高くないと、出版社も腰が重いかもしれません。残念無念です。
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