【140728】「コミュニティマネージャー・ミートアップ_2014夏」 #コミュマネのまとめ



一昨日、複数の友人たちが主催している「コミュニティマネージャー・ミートアップ」に参加しました。場を提供いただいたみなさま、ありがとうございました。


書こうか書くまいか迷ったのだけど、今後の発展のためには必要な貢献だろうと割り切り、筆を執ることにしました。気を悪くされる方がいましたら申し訳ありません。ちょっと期待外れだった、というのが率直な感想です。中島さんの以下の言葉が私の気持ちをほぼ代弁しています。





2つのコミュニティ・マネージャー


「コミュニティ・マネージャー」の理解が人によって大きく異なることが分かりました。私の理解は、草の根的コミュニティでした。そのつもりで参加しました。しかし、参加している方々の過半数は、企業のマーケティング活動の一環として、なんらかの形でコミュニティ形成に従事しているだと理解しました。期待外れとなった理由は、コミュニティ・マネージャーというものに対する思いのボタンの掛け違いだったと思います。


既視感に襲われました。というのは、2007-2008年ごろに議論されたEmployee Generated Media(EGM)と同じ議論に陥っているからです。


外向きと内向き


Employee Generated Media(EGM)というのは、Consumer Generated Media(CGM)に対する造語で、CGMが消費者が生成するメディアであるのに対し、EGMは企業の従業員が生成するメディアです。そして、媒体として伝えるべき相手は大きくわけて二つあります。


  • 社外
  • 社内


つまり、社外向けEGMとは、企業ブログや昨今の企業のTwitterアカウント/Facebookアカウントなどです。従来の企業ホームページは、書いた人の顔が見えませんでしたが、社外向けの企業ブログ/Twitter/Facebookは、書いた人の人間味がにじみ出るのが特徴です。「従業員が生成するメディア」と言われる所以です。


一方で、社内向けEGMは趣が異なります。あくまでも従業員同士の内輪のメディアです。社内ブログ/社内SNS/社内Twitterなどが相当します。私もEGMの一種である社内Wikiを立ち上げました。



そして私が参加しているEGMフォーラムは、EGMを運営している人たちが集まってできたコミュニティです。私は2008年の年末から参加しましたので初期のころを存じ上げませんが、少数いた社外向けEGMの人たちは途中からいなくなり、結果的に社内向けEGMの人たちしか残りませんでした。


似て非なる行動指針


社外向けEGMと社内向けEGMでは、似て非なる行動指針を持っているように理解しています。これは同様に、企業のマーケティング活動の一環としてのコミュニティ(以下、企業コミュニティ)と、市民活動・勉強会・テーマに沿ったコミュニティ(以下、市民コミュニティ)も、やはり異なる行動指針を持っていると理解しています。


「コミュニティは関心事を中心に形成される」というのはそのとおりだと思います。しかし、市民コミュニティが、関心事だけが中心になっているのに対し、企業コミュニティはその前提条件があるのではないでしょうか。つまり、企業の事業拡大に寄与するか否かという点です。


どなたかが「コミュニティ運営に役立つ情報を取りに来た」と発言されました。おそらく企業コミュニティのマネージャーの方だろうと思います。市民コミュニティとは異なるスタンスだなと感じました。


どちらが良い/悪いということではありません。私も企業人です。企業の利にならないことは、企業活動として行うべきではないと思っています。よって、利を求めるのは当然です。しかし、利を求める姿勢が前面に出てしまうと、それを乗り越えるだけの何かがないと、市民コミュニティとは相容れない状況が生じます。


それが2007-2008年ごろにEGMで起き、そしてまた、同じことがコミュニティ・マネージャーでも起きているように感じました。共通の接点はないのでしょうか?考察してみたいと思います。


Give and Given


「Give and Take」という言葉があります。しかし、私は、コミュニティに必要なのは「Give and Given」だと思っています。「与えよ、さらば与えられん」。別の言い回しとして、「利他の精神」、「ペイ・フォワード」、「情けは人のためならず」などがあります。


「Give and Take」がTakeをすることを前提にGiveをするのに対し、「Give and Given」は、Takeを前提としません。Giveをすれば、いつかGiveされるかもしれない。しかし、それは相手次第だし、その相手も、私がGiveした相手とは限らない。巡り巡って他の誰かがGiveしてくれるかもしれない。「Give and Given」には、そんな意味合いがこめられています。


利を取るよりも、貢献が先です。


利益と労力のバランス


企業コミュニティであろうと市民コミュニティであろうと、利益と労力のバランスが大切です。ここで利益とは、金銭的利益というよりも、精神的な満足を指します。


「利益」が「労力」を上回るとき、「労力」を「貢献」と言います。「労力」が「利益」を上回るとき、「労力」は「負荷」に変わります。「利益」が「労力」を上回ることが、コミュニティ成立の絶対条件です。そして、コミュニティ・マネージャーの役割とは、まさに「利益」が「労力」を上回るように、人の集まりを設計することではないでしょうか?


  • 利益>労力(貢献)・・・コミュニティ成立
  • 利益<労力(負荷)・・・コミュニティ崩壊


まず貢献すること


私が参加しているEGMフォーラムも、企業間フューチャーセンターも、参加メンバーがなんらかの形で別のコミュニティを持っていたり、運営しているコミュニティ・オブ・コミュニティです。


コミュニティ・オブ・コミュニティの成立条件もまた、利益が労力を上回るように、労力を「負荷」と感じさせず、「貢献」と感じさせて満足できるように場を設計することです。


つまり、今回の場も継続していくのなら、「次は私が情報を提供します」と名乗り上げることです。負荷のかかる準備は必要ありません。あるがままの経験を語る、それが一番です。それが、EGMフォーラムで長年培ってきたプラクティスです。



--完--



(番外)コミュニティ形成に必要な概念


コミュニティ形成に必要な概念のうち、今回話題にならなかった概念をあと二つ紹介したかったのですが、ちょっと息切れ・・・のため、またの機会とさせてください。簡単にさわりだけ紹介しておきます。


  1. 一般信頼性:
    欧米人や中国人と比較して日本人は身内びいきで赤の他人を信頼しないという話。公開、非公開と関係します。EGMフォーラムも企業間フューチャーセンターも、公開/非公開のハイブリッドになっています。
  2. クラスタ理論:
    ネットワークの最小構成はノードとリンクではなく、ノード*3とリンク*3の三角形という話。クラスタにより二次の隔たりが維持され、コミュニティが維持されます。


関連書籍

貢献力の経営(マネジメント)
山下徹(NTTデータ 代表取締役社長)
ダイヤモンド社 ( 2011-05-20 )
ISBN: 9784478015681


NTTデータ元社長の山下徹氏の著書。企業人でありながら、利他を説きます。EGMサミットにも登壇いただきました。



クラスタ理論の種本。30代の若い社会科学者ですが、非常にコンパクトに分かりやすくまとめてあります。EGMフォーラムに参加して間もないころに読みました。



「二次の隔たり」(強い直接の絆よりも、弱い絆)の有用性は、本書でも出てきます。



Facebook登場以前、なぜ日本人のインターネットシーンは実名ではないのか?という疑問に対して答えを与えてくれたのが、山岸俊男北海道大学教授です。その答えが「一般信頼性」という概念です。本書を含めて山岸先生の本は3冊読みました。



「Give and Given」というEGMフォーラムの理念は、本書によるところが大きいです。



推敲時間:約120分



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