コミュニティの存在理由

出典:HD Wallpapers


EGMフォーラム月例会報告(8月6日)のつづきです。


なぜ、人々はコミュニティを作るのでしょうか?コミュニティを形成すると、人を幸せにするから?最後に発言機会が回ってきて、総括を求められたのですけども、その時お話した内容をあらためてブログに書き下ろします。


お話した内容は、脳科学や動物行動学、進化論が示すのは、コミュニティ形成とは人間固有ではなくより本能的な行為ではないか?ということです。


「人間性」は人間固有なのか?


EGMフォーラム月例会の話の中で、「人間性」とか「社会性」というキーワードがありました。しかし、「人間性」とか「社会性」というのは、実は人間固有のものではない、昆虫を含めた動物が進化の過程で獲得した本能であるとお話しました。


ライオンは群れます。虎は群れません。ライオンには社会性があると言えます。この違いはなんでしょうか?


アリやハチは群れます。群れない昆虫がいたかどうか定かではありませんが、おそらく群れない昆虫もいるでしょう。


アリやハチのようなちっぽけな脳でも、「社会性」があるわけです。ですので、「社会性」とは、人間特有の、大脳新皮質が生み出したものではなく、脳幹などの古い脳に刷り込まれた生存本能なのではないか?というのが、最新の脳科学や動物行動学からの帰結ではないかと考えています。


なぜコミュニティを作るのか?


言葉を話し群れたホモサピエンスは生き残り、ホモサピエンスよりも脳が大きかったが言葉を発しなかったネアンデルタール人は絶滅しました。ネアンデルタール人が群れていたかどうか、学術的なことを私は知りませんが、言葉が群れること、つまりコミュニティ形成に優位だったことは、疑問をはさむ余地はないかと思います。


ヒトはなぜコミュニティを作るのか?という問いは、ヒトはなぜ食べるのかという問いに等しく、それが生存条件だったから、というのが私が答えたかったことです。


そういう考えにいたった本を紹介しておきます。


参考書籍①:脳科学~脳の進化の過程



脳科学者である著者が中高生向けに行った授業を書き下ろしたものです。脳科学の入門書と言えます。人間の行動を司るのは脳です。脳の進化は、身体、行動と切り離せません。我々が無意識に感じていることは、先祖の行動の結果とも言えます。


参考書籍②:動物行動学~コミュニティを作る昆虫や動物


動物行動学の入門書です。群れを為す動物、為さない動物の違いを説明しています。昆虫でも群れたり、群れなかったりします。社会性の違いはなんでしょうか?ある環境に置かれたある種の昆虫が群れないのは、群れないことが生き残りに有利で、結果的に生き残ったからです。また、別の環境に置かれたある種の昆虫が群れるのは、群れることが生き残りに有利で、結果的に生き残ったからです。


本書に、人間がなぜコミュニティを作るのか?の直接的な回答があるわけではありません。しかし、ある環境下においてある種の昆虫・動物たちが群れることによって生き残ったということは、人類もまた、コミュニティを作ることによって生き残った、と言えます。


参考書籍③:民俗学~伝統的社会における物々交換

昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来
ジャレド・ダイアモンド
日本経済新聞出版社 ( 2013-02-26 )
ISBN: 9784532168605


『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドが、伝統的社会(原始社会)を観察した結果をまとめたのが本書です。数は減りつつありますが、アフリカ、南米のアマゾン、ニューギニアは、ジャングルやサバンナで伝統的な社会を営む民族がいます。ニューギニアでは、1930年代に欧米人に遭遇するまで、近代文明と触れたことのない民族もいいます。ダイヤモンド氏は1960年代からニューギニアの奥地で鳥類の観察を行っていたことから、文明社会に遭遇する前のニューギニア人の話を聞くこともできました。本書は、そんなエピソードが盛りだくさんです。


伝統的社会では、隣の部族と物々交換をして交易をします。我々は物々交換を、貨幣経済が誕生する前に行われた需要と供給のマッチングの仕組みだと信じていました。自分が余分に持っていて相手が必要としているものと、相手が余分に持っていて自分に必要なものを対等に交換する、というものです。


しかし、本書の説明は、その物々交換の原理を覆します。


覆される物々交換の原理


物が必要だから交換するのではなく、交換することによってお互いの信頼関係を構築している、というのが本書の見立てです。これは、現代における贈り物の原理と同じではありませんか。


高地ニューギニアのように奥深いジャングルによって人の行き来が困難な地域では、お互いの集落の行き来が難しく、わずか数キロ離れただけでも、言葉が通じないことがあります。まれに遭遇した場合、言葉が通じないため、敵対関係に陥りやすいです。それを未然に防ぐのは、物々交換による信頼関係の構築です。


文明社会が始まる前の日本人や欧米人の祖先も、20世紀のニューギニア人と同じ行動を取っていたのではないでしょうか?物々交換をすることにより信頼関係を構築してきた部族が生き残り、そうしなかった部族は滅んだ、そしてその結果、集落が大きくなり、国家が形成されていったと考えられます。


つまり、与えることにより信頼関係を構築するのは人の本能だと言うことができます。



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