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<目次>
- まえがき
- 第1章 コーポレートコーチングを学ぶための基礎知識
- 第2章 コーポレートコーチング・入門編
- 第3章 コーポレートコーチング・初級編
先月より組織開発系の本を大量に読み漁っています。
- 【書評】『上司の9割は部下の成長に無関心』 : なおきのブログ
- 【書評】『心が折れる職場』~まず上司に問題がある : なおきのブログ
- 「何によって憶えられたいか」、天命、10年後、「私は本当は何を求めているのか?」 : なおきのブログ
- 『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる (光文社新書) 』
- 『一生折れない自信のつくり方』
- 『手にとるようにNLPがわかる本』
先々週お会いしたMさんに組織開発の相談をした際、「あなたの目的はなんですか?」と単刀直入に聞かれました。「目的」というのは、究極的に抽象度の高い概念です。抽象度の高い目的を意識しながら抽象度の低い行動を取ること、あるいは抽象度の低い行動を抽象度の高い目的に昇華させること、これは日ごろ意識し反芻していない限り、生半可な気持ちでできることではありません。
「コーチ」とは元来馬車とのことです。目的地へ連れて行ってくれる乗り物です。そもそも目的地が決まっていなければ、どこへも連れて行ってくれません。コーチングも目的があることが前提になります。
個人の場合は、仕事に、人生に目的がなければコーチングを受けても意味がありません。企業も同じく、確固たる企業理念に基づき行動をしようと思わない限り、コーチングを受けても意味がありません。
アスリートを想定すると分かりやすいのではないかと思います。アスリートは、目的・目標がはっきりしています。いや、はっきりしているのは目標で、必ずしも目的がはっきりしているとは限りませんが。〇〇の大会で優勝する、〇〇秒のタイムを切るというのは目標ですが、目的ではありません。その結果、何を達成するのが目的です。マイケル・フェルプスの目的は「水泳を通じて、アメリカ人全体の健康を増進させること」だそうです。メダルを取り雄姿を見せるのは、そのための手段であり、目標です。
本書にそこまでとくとくと書かれていませんが、もっとも重要なことは、額縁に飾った経営理念ではなく、社員の一人ひとりが行動に落とし込めるような経営理念を立て、それを実践しようとする強い意志である、そう私は理解しました。強い意志に裏付けられた経営理念があれば、コーチングがあるなしに関わらず、ゴールは目指せます。もちろん、コーチがついていれば、目標達成はより近づくでしょう。
当初想定したよりも、よい本でした。正直、私は苫米地氏のことをどちらかというとネガティブに評価していましたので、本書を読んで、彼への見方が変わりました。
その他のメモ
- コーチの役割は「エフィカシーを上げること」 (P20)
- エフィカシーとは「ゴールを達成する自己の能力の自己評価」 (P20)
- 「ゴールは現状の外側に設定する」 (P20)
- モチベーションは原因ではなく、結果 (P36)
- 「より臨場感の高い方が選ばれる」 (P39)
- 個人のゴールと組織のゴールとが、どこかの「抽象度」で共有し合えればいい (P58)
- 私たちの脳は、ゴールに合致したものしか見えないようになっている (P68)
- 「進化」とは、現状の外側にゴール設定して、そのゴールを目指して突き進む行動をとった結果、生き残った状態、変化 (P77)
- 「エンドステート」というのはそれぞれの役割ごとでの成し遂げるべきこと(P94)
- 組織の構成員はエンドステートの臨場感を持ちつつ、抽象度が一つか二つ高いポジションならいつでも取って代われるという状態に訓練されている必要がある (P114)
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