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本書は最新の経営学のエッセンスが詰まっています。なかなか一口では消化しきれません。ですので、適宜必要性に応じて、切り出して消化したいと思います。本書は経営企画、事業企画・戦略立案、人事戦略立案担当者の方々にはMUSTの書だと考えています。


第7章「チャラ男」と「根回しオヤジ」こそが、最強のコンビである。


本書は全体で11部26章構成から成り立ちます。第3部は「先端イノベーション理論と日本企業」で3章構成になっており、そのうちの一章がこの7章です。オープンイノベーションの誤謬を取り扱っています。


オープンイノベーションの誤謬

オープンイノベーションの経営学の大家といえば、通常、『イノベーションのジレンマ』を著したクリスチャン・クリステンセンと、『OPEN INNOVATION』の名前が挙がるのではないかと思います。しかし、読んだ方はお判りだと思いますが、取り扱っている事例は1960年代から1990年代のものが多く、インターネット・ソーシャルメディアが普及する前のものです。


そして、こういうことも考えたことがあると思います。それは、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、オープンイノベーションが加速するというものです。それは、社外リソースへのアクセスが容易になり、社外リソースを取り込むことにより加速する、あるいは、文化の異なる人と交わることで新たな創発が起きる、というものです。


一見正しいように見えるのですが、どうやら違うらしいというのが本書の見立てです。世界最先端の経営学の研究では、「創造性」と「イノベーション」は明確に異なることを証明しています(米ワシントン大学のマーカス・バエアー等)。


「創造性」と「イノベーション」の違い

社外リソースへのアクセスや創発は「創造性」には結びつきますが、即「イノベーション」にはなりません。そもそも、「イノベーション」とは「新結合」です。社内リソースとの結合があって初めて「イノベーション」が起きるのであって、社外リソース、社外アイデアだけでは「イノベーション」は起きません。本書から重要箇所を引用します。


日本のイノベーションに関する議論は「創造性」と「イノベーション」を混同していることも多く(中略)

人がクリエイティブになるには「弱い人脈」が重要です。しかし、いざ創造的なアイデアを出したら、それを社内で売り込むため、むしろ「強い人脈」を多く持つことが求められるのです。 (P103)


本書では、社外との「弱い人脈」を有し「創造性」がある人を「チャラ男」に、社内との「強い人脈」を有し「イノベーション」ができる人を「根回しオヤジ」にたとえています。どちらかだけでは、イノベーションは実現できません。これを図示すると、下図のとおりになります。


創造性と事業化の関係


属人性からの脱却

過去7年間、私は新規事業開発投資の業務に携わりました。最も多い年は、年間百件の投資審査に携わりました。「創造性」がある人と結び付けるのが上手な人の両者が必要というのは、自分の経験とも一致します。社外リソースにアクセスしただけ、創造性を発揮しただけ、というのは、典型的な失敗パターンでした。


さて、ここからは本書に書かれていない私の仮説ですが、何度か新規事業開発にチャレンジしたことがある人にはご理解いただけるのではないかと思います。


「人脈」や「根回しオヤジ」は、属人的です。たまたまそういう人がいたらうまく行きますが、普遍的に事業化を成功させることはできません。より成功確率を高めるには、そのプロセスは何かを明らかにし、習得することです。


今回、その習得・実践の場を得ることができましたので、紹介します。


つづきはまた明日。


付録 『オープンイノベーション白書』


昨年、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がオープンイノベーション白書を初めて発行しました。



概要版をざっと見てみたのですが、産学連携に関する言及に偏っており、企業内の統合プロセスについては、言及が少ないように感じます。企業内の統合プロセスに踏み込んだ調査をお願いしたいところですが、企業内で起きていることはなかなか開示されにくいのかもしれません。


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