太宰治関連の本を二冊続けて読みました。『走れメロス』を収録している短編集と、太宰治の紹介本『文豪ナビ 太宰治』です。しかし、どうも私は太宰治が好きになれません。世間一般的に、なぜそんなに太宰治が評価されるのでしょうか?二冊読んで、少しだけそのことがわかりました。


<目次>

超早わかり!太宰作品ナビ

10分で読む「要約」太宰治 木原武一

 『津軽』

 『斜陽』

 『人間失格』

声に出して読みたい太宰治 齋藤孝

太宰に惚れ込んだ作家による熱烈エッセイ

 重松清「ダザイくんの手招き」

 田口ランディ「私が読んだ太宰治」

評伝 太宰治 島内景二


<目次>

ダス・ゲマイネ

満願

富嶽百景

女生徒

駆け込み訴え

走れメロス

東京八景

帰去来

故郷

解説 奥野健男



太宰は女性の心理描写がうまいと言われます。文豪たちが描く女性のほとんどは、男側から見た異性、客体、二人称といってよいでしょう。森鴎外、夏目漱石、谷崎潤一郎有島武郎田山花袋川端康成、etc. etc....しかし、太宰治の描く女性というのは、主体、一人称として書かれています。読んだ中では『女生徒』がまさにそうです。だから女性の心を鷲づかみにするのでしょうか?そこのところが実はよくわかりません。


また、太宰は、徹底的に自分のことを描きました。そこまで書いちゃうの?そこに登場する人のことも考えてる?と心配になるぐらい、自分と自分の周りを赤裸々に描きます。『富嶽百景』、『東京八景』、『帰去来』、『故郷』は、まさに太宰自身です。


太平洋戦争後、だんだん死にいく太宰が描いた『斜陽』や『人間失格』は、正直好きになれません(この二冊は漫画で読んだのみです)。


しかし、結婚生活が充実していた時期、不倫相手となる太田静子に出会う前の太宰作品は、そうした死の影が見えず、比較的共感を得るものがあります。今回太宰治を読んでみようと思うきっかけとなった『富嶽百景』は、もっとも共感の得られた作品でした。天下茶屋での隠棲生活、富士山の風景、月見草、妻となる石原美知子とお見合い、こうした情景が美しく描かれており、あぁ、私も天下茶屋で隠棲してみたいものだなぁ、とふと感じ入りました。先月、天下茶屋を訪れたから、そう感じたのかもしれませんが。あの縁側で、あの二階の窓辺で、太宰を読めば、また違う感慨を得られるのかもしれません。




人間失格 (まんがで読破)
太宰 治, バラエティアートワークス
イースト・プレス ( 2007-07-01 )
ISBN: 9784872578102

斜陽―まんがで読破
太宰 治, バラエティアートワークス
イースト・プレス ( 2008-01-01 )
ISBN: 9784872578904




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