参議院特別委員会での審議妨害や乱闘騒動を見て、ナチスが独裁体制を敷く際の手口と同じではないかと思いました。
ナチスがどのように政権を掌握したかを整理しておきますと。。。
- 1919年 ワイマール憲法成立。ドイツは民主化し、大統領制を敷く。国家元首である大統領は直接選挙で選らばれ、首相は大統領が指名する。また、ドイツは日本と同じく近代まで封建体制を敷き、第一次世界大戦時も領邦国家だったということもあり、戦後も引き続き、かつての封建国家が州として存続しました。最大の州がプロイセンで、ドイツの約半分を占めます。
- 1929年 世界恐慌
- 1930年9月 ドイツ国会選挙でナチス107/577議席獲得、躍進開始
ワイマール憲法といえば、民主主義の理想的な憲法と言われます。しかし、日本の戦後の歴史を見てもわかるとおり、国民の民主主義の理解、民主主義の成熟には時間がかかります。憲法は理想でも、ドイツ国民がその理想の憲法どおりに政治を考えていたわけではありません。ドイツの議会制度は民主主義にほど遠く、首相は議会が選ぶのではなく、大統領が選びました。特に世界恐慌に有効な手を打てずに失業率が上がったドイツでは、議会、既存政党に対して不信感が募っていたようです。その間隙をぬって、ナチスが躍進をし始めました。
- 1932年7月 ドイツ国会選挙でナチス230/608議席獲得、第一党になる。
- 1932年11月 ドイツ国会選挙でナチス196/584議席獲得、第一党維持
- 1933年1月30日 ヒンデンブルクがヒトラーを首相に指名
ヒンデンブルクはヒトラーが嫌いです。とはいえ、7月選挙では、ナチスが第一党になってしまいます。さすがに無視はできませんので、ヒトラーに入閣を打診するも、首相以外でのポストは拒否されてしまいます。11月選挙で議席数は減らしたものの、翌年1月にはヒトラーを首相に指名します。ここから、一気にナチスの独裁化がすすみます。
- 1933年2月1日 ヒトラーがヒンデンブルクに国会解散を要請し、国会解散
- 1933年2月6日 ドイツの過半を占めるプロイセンの警察権力をナチスが掌握
- 1933年2月27日 国会議事堂放火事件、共産党員、社会民主党員逮捕
- 1933年3月5日 ドイツ国会選挙でナチス288/647議席獲得、国家人民党と連立を組み340議席で過半数となる。他の政党は、社会民主党120、共産党81、中央党73。あとは泡沫政党。
国会を解散した上で、プロイセンを始めとして各州政府の警察権力を掌握、国会を放火し、放火犯として、共産党員、社会民主党員の逮捕を行います。その状況下で選挙が行われ、国家人民党と連立を組むことによって過半数の議席を獲得します。
- 1933年3月7日 ヒトラー、憲法を無力化する全権委任法の意思表明
- 1933年3月20日 全権委任法が閣議決定
- 1933年3月21日 全権委任法を国会に提出、共産党員81名拘束または逃亡
- 1933年3月22日 中央党を恫喝
- 1933年3月23日 社会民主党26名欠席、残る94名が反対するも、ナチス・国家人民党・中央党ら賛成441票で、全権委任法が可決・成立。これにより、首相が憲法・国会を無視した法律制定ができるようになる。
選挙後、ただちにヒトラーは憲法を無力化する全権委任法の意思表明を行います。しかし、憲法を無力化する法案の制定には、憲法改正と同じく、議会での3分の2の賛成が必要です。内閣には、非ナチスの穏健派もいますが、恫喝により閣議決定、国会に提出する際、対抗勢力である共産党員を国会投票から除外、対抗する野党を恫喝で賛成に回し、最大野党のみが反対票を投じるも、出席議員の3分の2を上回る賛成票により全権委任法が成立してしまいます。
- 1933年7月 ナチス以外の政党禁止
- 1934年8月 ヒンデンブルク死去、ヒトラーは大統領を兼任し、「総統」となり、独裁体制が完成する。
全権を掌握したヒトラーは、ナチス以外の政党を禁止、全権委任法に反対票を投じた社会民主党はもちろん、賛成票を投じた国民人民党・中央党も解散を余儀なくされました。社会民主党の投手ヴェルスは、チェコ、そしてフランスに亡命しました。ヴェルスは、3月23日の審議で、以下の名言を残します。
"君たちは我々の生命と自由を奪うことができる。しかし、我々の名誉を奪うことはできない。"
その後、高齢のヒンデンブルク大統領の死去とともに、ヒトラーは大統領を兼任し、名実ともに、独裁が完成します。
ありとあらゆる手段で民主主義を否定しているのはどの政党か?
ナチスは、ありとあらゆる手段を用いて民主主義を換骨奪胎し、独裁体制に持ち込みました。
安倍首相をヒトラーになぞらえる方がおられます。しかし、ありとあらゆる手段を用いて安全保障関連法案の成立を阻止すると断言し、国会審議を妨害し、暴力をふっているのは、一体誰でしょうか?
私には、彼らこそ、ナチス、ヒトラーの姿にかぶってしかたありません。幸いにも、彼らを支持する国民は少数派です。ドイツの不幸は、国民がナチスを支持してしまったことです。過半数を得られなくても、第一党にさえなれば、権力を行使することができます。
我々は、ありとあらゆる手段で民主主義を否定する政党に政権を明け渡してはいけません。
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安全保障関連法案は17日午後4時半ごろ、参院の特別委員会で採決が行われ、自民党、公明党などの賛成多数で可決されました。(日) pic.twitter.com/a9l9DS2YD4
— 朝日新聞写真部 (@asahi_photo) September 17, 2015
おまけに私たち女性議員を排除するためか、九時すぎから女性衛士をわざと全面に押し出す作戦。彼女らは命令の下に動かされその任につく。安倍政権の女性活用とはこういうことか!私たち女性議員は自らの意志で例えくちゃにされてもそこに立つ。その排除に女を使おうなんて、姑息、卑怯の極み。
— あべともこ(衆議院議員・小児科医) (@abe_tomoko) September 16, 2015
参議院特別委員会鴻池委員長を女の壁で閉じこめた民主党・阿部知子を擁護する声は聞こえない。
- 民主・岡田代表徹底抗戦を強調「1億人の民意を体現する」
先の衆議院選挙で負け、民意を得られていないのにも関わらず、一億人の民意を代弁しているという詭弁。 - 民主 枝野氏「手の内はさらさない」
民主党の中でも良識派と思われたこの方が民主主義破壊の急先鋒に転落してしまった。「われわれは、主権者から付託を受けている」と言うが、付託を受けてるのは、民主党ではなく自民党。 - 「ありとあらゆる手段」,松田公太オフィシャルブログ
松田氏が民主党の審議妨害行動を批判。 「議事堂内は体を使って抗議をする場所ではなく、刀を言葉に持ち替えて闘う真剣勝負の闘技場であるべきです。」
野党は彼のような態度を求められるのではないか? - 『憲法違反の「戦争法案」の可決成立を前にして』 | 北尾吉孝日記
SEALDSのデモ行為を「くだらないやり方での意思表示」と一刀両断。
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私のナチスの知識は、ほとんどWikipediaに依存しています。偏りがあるといけないので、新書を読もうと思います。
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