<目次>
- 序 話 少しだけ長く道を歩んだ先輩として
- 第一話 真のエリートとは何か
- 第二話 東大を出て活躍する人、活躍しない人
- 第三話 東大卒の半分が失業する時代が来る
- 第四話 君は、いかにして「職業的能力」を身につけるか
- 第五話 君は、いかにして「対人的能力」を身につけるか
- 第六話 君は、いかにして「組織的能力」を身につけるか
- 第七話 東大在学中に何を身につけるべきか
- 終 話 一度かぎりの人生をいかに生きるか
田坂広志氏の著書は9冊目になります。田坂氏の著書を読むのは久しぶりになります。田坂氏の著書『プロフェッショナル進化論』はスライドも起こしました。
スライドを起こすほどには読み込んでいますので、田坂氏の思想には精通しているつもりでしたが、あらためて氏の著書を読むと、非常に心に響き、腹にこたえるものがあります。特に本書は、田坂氏ご自身の経験談が散りばめられています。母子家庭で大学へ行かせてもらった母への感謝の気持ち、師匠というべき大学院時代の恩師や新卒配属先の課長、新卒時の工場勤務の経験、その時の工場労働者の言葉。氏の言葉は、氏の経験から出て来たものだということがよく分かりました。
では、なぜ、田坂氏の言葉はこのように重く響くのか。ヒントが書かれていました。それは「反省日記」です。後述します。
「エリート」という否定的な響き
本書のタイトルにある「真のエリート」。つまり、巷で語れる「エリート」という言葉とは一線を画しています。田坂氏は「エリート」という言葉の否定的な響きがあるとしています。「エリート」とは学歴を鼻にかけ、世間知らずな存在だと。タイトルは「東大生」となっていますが、高学歴全般に言えます。
この数年、大企業だけでなく高級官僚や大学の不祥事が相次ぎました。まさに地に落ちたエリートたちです。エリートたちが堕落した、だからこの本はエリートたちへの戒めであり、現役東大生へのエールなのです。
真のエリートの持つ5つの能力
本書では、真のエリート、社会に出て活躍する人材の持つ能力として5つを上げています。
能力 | 具体例 |
基礎的能力 | 集中力・持続力 |
学歴的能力 | 論理思考力・知識修得力、高学歴、勉強ができる |
職業的能力 | 直感判断力・知的創造力、交渉力・営業力・企画力、 智恵・私淑する師匠、答えの無い問い |
対人的能力 | 傾聴力・伝達力・共感力、非言語的能力、苦労 |
組織的能力 | リーダーシップ・カウンセリング力、人間的魅力・人間力 |
ここで、東大に入る為に必要な能力は基礎的能力と学歴的能力です。また、この2つは大学では教えてくれません。能動的に自ら学ぶ機会を創らないかぎり。
そして、基礎的能力は人工知能が既に圧倒的に凌駕している領域であり、学歴的能力についても人工知能によって代替可能です。つまり、東大に入る為の能力、その能力だけに留まると、たとえ東大卒であろうと人工知能に仕事を奪われかねないことを意味します。
人工知能に奪われない能力が、職業的能力・対人的能力・組織的能力の3つです。
では、その職業的能力・対人的能力・組織的能力の3つをいかに身につけるか、それは、謙虚になること、教養を積むこと、師匠を持ち私淑すること、「答えのない問い」から逃げないこと、そして、反省日記を書くこと。
反省日記
田坂氏の言葉の重みの源泉は、田坂氏本人が大学1年の時から書き始めた「反省日記」が土台になっていたようです。
私もブログ書き綴って8年経ちますが、ブログは人に見られることを意識して書いていますので、赤裸々な反省を書くのにはふさわしくありません。ブログを書くようになって、言葉の重みが増したと時々言われますが、田坂氏には到底及びません。
たぶん、今の私に必要なのは、反省日記です。非公開で書き始めてみようかと思います。
ブログとのバランスもあります。まだすぐには結論を出しませんが、ブログをややペースダウンするかもしれません。
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