福島第一原発
credit : Sodacan via 福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(license : CC BY)


福島第一原発廃炉図鑑
開沼 博, 竜田 一人, 吉川 彰浩, 糸井 重里,
斎藤 環, 福山 哲郎, 小泉 進次郎
太田出版 ( 2016-06-07 )
ISBN: 9784778315115

  • <目次>
  • イントロダクション
  • 第1章 福島第一原発、最大の問題は何か?
  • 第2章 廃炉とは何か?
  • 第3章 1F周辺地域はどうなっているのか?
  • 第4章 廃炉をどう語るのか?


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まことに本書はタイトルに相応しい内容の本です。もしかすると、「図鑑」ではなく「事典」を名乗っていただいたほうがよいかもしれません。「百科事典」を読破できないように、本書は三段組で立て置きが可能な厚みの本につき、やはり読破できません。しかし、「図鑑」の名のとおり、豊富な挿絵が含まれており、パラパラと見るだけでも、いろんな情報を知ることができます。


本書との出会いは、ダイヤモンド・オンラインの記事でした。その記事を読み、咄嗟にブログ記事を書きました。


「人殺し」と言われたことがありますか?福島とデマ、6年目の訴え

震災直後に福島で過ごした者にとって、誰かから「人殺し」と言われるということは特別な経験ではありません。食品に関わる人は「フクシマの農家は人殺しの加害者だ」、福島を離れない親は「子供を避難させないお前は人殺しだ」など。そんな被害の報道や言語化は「被曝」の陰に隠されており、原因となったデマや極端な言説もほぼ野放しにされています。

diamond.jp

放射線被害を妄信する人たちが今も福島を苦しめている。 : なおきのブログ

あれから6年経ちましたが、やはり毎年触れないわけにはいきません。ダイヤモンド・オンラインの記事が秀逸につき、そちらを引用しながら、所見を述べます。

naokis.doorblog.jp


今でも福島の風評被害は納まっていません。放射線被害での死者がほとんどいないのに対し、故郷を追われた避難民の罹患率が高まっています。ちょうどこの4月1日、かなりの地域で避難解除が出ました。しかし、帰宅しようという人々のほうが少数です。



人は、未知なるものに不安を抱きます。正しい知識を得ることは不安を取り除く第一歩です。本書は、廃炉への正しい知識を提供しています。残念ながら、本書はボリュームが多すぎて啓発に使えません。できれば著者の開沼博さんにおかれましては、本書の内容を新書程度にコンパクトにまとめていただけると助かります。


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廃炉に関する正しい知識

くり返しになりますが、本書の目的は、福島第一原発廃炉についての正しい知識を提供することです。それは以下の15の設問に表れています。


  • Q1.福島第一原発の廃炉が完全に終わるまでにどのくらいの時間がかかる?
  • Q2.凍土壁が完成するまで福島第一原発1~4号機建屋の地下に流入している地下水の量は1日あたり何㎥ほど?
  • Q3.1~4号機付近の港湾の中、放射性物質セシウム137の量が最も多い地点では、1Lあたり何ベクレルほど含まれている?
  • Q4.2016年2月現在、福島第一原発1~3号機の原子炉を冷却するために1時間あたり何㎥ほどの水が入れられている?
  • Q5.福島第一原発では1日あたり何人ぐらいの人が働いている?
  • Q6.福島第一原発の廃炉作業にはどのくらいの数の事業者が関わっている?
  • Q7.福島第一原発で廃炉作業に従事している人の被ばく量は1ヶ月平均でどのくらい?
  • Q8.1日のうち、福島第一原発構内に最も人がいるのは何時台?
  • Q9.2016年2月現在、福島第一原発周辺の避難指示を経験した地域に何人が生活(居住&仕事)している?
  • Q10.2014年度までに廃炉にかかったことがわかっている予算は全部でどれくらい?
  • Q11.2015年末時点で双葉郡に帰還して居住を再開した住民の数は?
  • Q12.福島第一原発で働く人を輸送するバスは1日何便走っている?
  • Q13.楢葉町に帰還した人が1年間で追加被爆する線量(推測値)の平均値は?
  • Q14.国道6号線の旧非難指示区域(楢葉町から南相馬市小高区まで42.5km)を自動車で時速40kmで通行した場合の被ばく量は?
  • Q15.2015年度、汚染の度合いが高かった地域における除染(直轄除染地域)に従事した人がもっとも多かったときの人数は?


すべてについて回答を書き記すのは気が引けてしまいますので、Q1、Q5、Q7について回答を示します。


  • A1.25~35年
    撤去が完了している使用済み核燃料は、地震当時、運転停止していて被害の少なかった四号機のみ。被災した一号機・二号機・三号機の使用済み燃料プール内の核燃料、原子炉から解け落ちたデブリはこれからの課題です。特にデブリは実態把握が難しく、難航しそうです。


  • A5.6500~7000人
    一番驚いたのはこの人数です。こんなにたくさんの人が廃炉に従事しているのですね。廃炉に携わっているみなさんに感謝の言葉しかありません。


  • A7.0.47mSv
    廃炉従事者は一人ひとり被ばく量を測定しています。その平均値がこの値になります。年間20mSvが上限とされていますので、安全な範囲です。もちろん、作業場所や作業内容によって被ばく量が異なります。人によっては、一ヶ月しか作業できない人も出てくるでしょう。2012年5月以降、20mSvを超えたのは3人のみとのことです。ちなみにCTスキャン1回で6.9mSvです。CTスキャンによる受診は年に2回までです。


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