<目次>
- はじめに
- 第1章 生き残るためには、常識を疑う
- 第2章 苦境にあえぐエレクトロニクス業界
- 第3章 新たに必要なのは文系力
- 第4章 日本のものづくり復活のカギ
- 第5章 エンジニア人生は逆張りでいこう
- 対談 城繁幸x竹内健|会社を飛び出した先に道はあるのか?
著者の竹内健氏は、元々東芝の半導体技術者で、フラッシュメモリの開発に従事された方。21世紀以降、東芝の稼ぎ頭の主力製品と言えばフラッシュメモリと言っても過言はないでしょう。2007年に大学へと転身し、現在、中央大学で教授をされています。サバイバルしなければならない人生を歩んできたわけではないので、出版社から本書のお題をいただいた時は躊躇し、なかなか筆が進まなかったとか。しかし、昨年、東芝の一大不祥事が生じ、かつての同僚、先輩、後輩が苦境に立たされた今、まさに身につまされる状況になり、本書を書くことになったようです。
スマートフォン、デジタルカメラなどの軽量電子機器には、フラッシュメモリは必要不可欠です。本来、ものすごい勢いで市場が広がっているのにも関わらず、日本で生き残っている半導体メーカーと言えば、東芝のみ。ルネサスもエルピーダも苦境に立たされました。
そして、半導体のみならず、かつて世界を席巻した日本のエレクトロニクス産業が、韓国や台湾勢の後塵を拝している状況は言わずもがなです。パソコンも携帯電話もスマートフォンもテレビも、軒並み縮小・撤退を余儀なくされています。
本書タイトルは「理系」とは言っているものの、主にエレクトロニクス業界についてでしょう。同じ理系業種でも、自動車や機械、製薬などは、また違った状況にあるように思います。
ただ、理系全般に言えることの一つは、本書の目次にもあるように、「文系力」であることに異論はありません。別の言い方をすれば、専門領域のみならず全体を俯瞰する能力、バランス感覚、デザインする力、いわゆるT字型人材ということになります。また、さらに別の言い方をすれば、「MOT」であり、「デザイン思考」です。
しかし。。。。
「デザイン思考」って、けっこう話題にもなりましたよね?
あれ~?なんで今さら本書はそのことを提言しているのでしょうか?「デザイン思考」ってビジネスパーソンには必要な教養で、そこそこ知れ渡っている概念だと私は思っていたのですが、ひょっとすると、エレクトロニクス業界の間では、あまり知れ渡っていなかったということでしょうか?
ちょっとそのあたりの感覚が私には分かりません。もし、仮に事実だとすると、それはちょっと不勉強ではないか?と思います。
もう一つついでに、おそらくこういうことだと思うのですが、広く視野を広げるには、「もっと本を読め!」ということではないでしょうか?特に、非理系、非ビジネス系の本を、です。
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「デザイン思考」の本は、IDEOのティム・ブラウン氏のもの、紺野昇氏のものと本書を読んだけど、本書が一番分かりやすかったです。
やや口が汚いが、乱読により視野が広がることを説いています。20代のうちに乱読すべし。
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