<目次>
  • はじめに
  • 第1章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
  • 第2章 酵母でブレークしたオートファジー研究
  • 第3章 自分を食べて飢餓に耐える
  • 第4章 細胞の性質を変えるためのオートファジー、発生と分化
  • 第5章 細胞内を浄化するオートファジー
  • 第6章 相手をねらいうちする「選択的オートふぁじ」
  • 第7章 免疫系でも活躍するオートファジー
  • 第8章 オートファジーの研究最前線
  • あとがき



前回の記事を書いてから、ちょっと時間をあけてしまいました。m(__)m



生物の構造とオートファジー
生物の構造とオートファジー<br />


オートファジーとは何かを素人考えで図示したのが、上図です。専門家の監修を得ているわけではありませんので、あくまでも素人発想ということでご容赦ください。


生物のレイヤー

上から順番に絵の説明をします。哺乳類などの高等生物を考えた場合、個体の生物はさまざまな器官からなります。器官はさまざまな細胞から構成されます。器官が異なれば細胞も異なります。脳細胞、神経細胞、筋肉を構成する細胞、皮膚を構成する細胞、大腸で栄養を吸収する役目の細胞、肝細胞、精細胞、卵細胞、赤血球、白血球。これらはみんな細胞です。


そして、細胞が異なれば、細胞を構成するタンパク質も異なります。知名度の高いタンパク質で言えば、コラーゲンやヘモグロビン。そして、タンパク質は、20個のアミノ酸から構成されます。アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸・・・・それで、ここまでくると、アミノ酸を構成する元素は、主に酸素、水素、炭素、窒素などです。


新陳代謝

細胞が新陳代謝するように、細胞の下のレイヤーのタンパク質も新陳代謝をします。人が一日に外部から摂取するタンパク質は約70グラム。自ら新陳代謝で調達するのが200グラム。つまり、オートファジーの効果により、タンパク質からアミノ酸に分解されます。合計270グラムのうち、200グラムは再利用されて再度タンパク質に組み上げられ、残り70グラムは排泄されます。


新陳代謝をしなければ、やがてタンパク質が、細胞が汚れ、細胞が死に、器官が死に、生物を死に至らしめます。老衰で死ぬということは、恐らくオートファジーによる新陳代謝の速度が劣化したために起こるのだろうと思います。


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成長・変態

分解されて再度組み上げられる時、同じタンパク質、同じ細胞へと戻るわけではありません。生物が急激に成長する過程では、必要とされる器官が異なり、であるがゆえに必要とされる細胞も異なり、必要とされるタンパク質が異なります。


分かりやすい例が、1個の受精卵が細胞分裂し、やがて生命体の身体を形成していく過程です。眼ができて、臍ができて・・・と機能分化をしていくわけですが、明らかに受精卵の時とは異なる細胞です。ですので、異なるタンパク質が用いられています。その異なるタンパク質を獲得する方法が、オートファジーです。


劇的な成長過程という意味では、昆虫の蛹がそうです。幼虫から蛹を経て成虫へ。元の姿と似ても似つかぬ形へと変態します。分かりやすい例で言えばカブトムシやセミ。幼虫の時は羽がなかったのに、成虫になると羽が生えます。羽を構成する細胞は、幼虫の時にはなかったものです。羽の細胞もまた、オートファジーによって自己調達したタンパク質により、形成されるとのことです。


期待される研究分野

こんな形でアマチュア的に解説すれば、「なるほど、そうか」と分かりやすいのだと思いますが、このオートファジーの仕組みが解明されて、わずか20年数年しか経っていません。その第一人者が、ノーベル賞を受賞した大隅良典先生であり、その一門下生が本書の著者・水島昇先生です。そして日本が、オートファジーの最先端を行っているとのことです。


オートファジーというのは、タンパク質を分解して再構成するメカニズムです。iPS細胞と同様、再生医療に欠かせません。オートファジーの研究は、酵母菌で始められ、その後ネズミを用いています。この手の研究は、ライフサイクルの短い生物を使わないと、なかなか研究が進まないからです。一方で、人体での研究はほとんどなされていません。人体実験するわけにはいきませんから。だから、まだまだ分からないことが多いとのことです。多いからこそ、これから大いに研究が期待される分野です。


私には農学部に進学している娘がいるのですが、こんな分野に進んでほしいなぁ、と漠然と願っています。



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