沖縄の不都合な真実 (新潮新書)
大久保 潤, 篠原 章
新潮社 ( 2015-01-16 )
ISBN: 9784106106019

<目次>
  • 序章 沖縄はこれからどうなるのか
  • 第一章 普天間問題の何が問題なのか
  • 第二章 高まる基地への依存
  • 第三章 「基地がなくなれば豊かになる」という神話
  • 第四章 広がる格差、深まる分断
  • 第五章 「公」による「民」の支配
  • 第六章 本土がつくったオキナワイメージ
  • 第七章 「沖縄平和運動」の実態と本質
  • 第八章 異論を封殺する沖縄のジャーナリズム
  • 第九章 「構造的沖縄差別論」の危うさ
  • あとがき


年始以来、沖縄県知事の翁長雄志知事と安倍内閣とのすれ違いがたびたび報道されています。4月5日にようやく菅義偉官房長官との会談が実現できましたが、やはり、何が問題なのかよく分からなかったので、本書を読んでみました。また、本書に書かれていることを鵜呑みにしないためにも、いろいろ関連情報を整理してみました。


普天間基地と移転予定先の辺野古


普天間基地(左)と辺野古(右)

普天間基地と辺野古

image via Wikipedia under license of CC 表示-継承 3.0(普天間基地) and GFDL(辺野古)



普天間基地と基地移転予定先の辺野古のことがよくわからないので、ちょこっと調べてみました。普天間基地は宜野湾市、辺野古は名護市にあります。MAP ACで白地図を入手し、宜野湾市と名護市に色を塗りました。


沖縄の白地図-宜野湾市と名護市


Googleマップで宜野湾市と名護市の地図をキャプチャし、宜野湾市の普天間基地と名護市のキャンプ・シュワブに色を塗りました。Googleマップ上で基地の判別はできるのですが、コントラストをはっきりさせるため、画像編集ソフトのポスタライズという機能で色を階段調で表し、その後Windowsのペイントの塗りつぶし機能で、基地部分を塗りつぶしました。


宜野湾市と普天間基地


宜野湾市と普天間基地


基地部分が二つに分かれていますが、上の部分は別のキャンプ場で、真ん中の大きいほうが普天間基地です。なるほど!宜野湾市のかなりの部分が普天間基地です。


宜野湾市のデータ

面積 19.80km2
人口 95210人
人口密度   4810人/km2


基地部分を除くと、実際の人口密度は、6000-7000人/km2ぐらいではないかと思います。横田基地のある福生市の人口密度が5750人です。基地による騒音公害や事故による危険性は、普天間基地と横田基地はほぼ同等と考えてよさそうです。普天間基地からの基地移転の理由が危険性がなら、横田基地も同様に移転すべきではないでしょうか?


宜野湾市の人口

image via Wikipedia under license of CC-BY-SA


すごい人口増加です。1970年から2010年の間に人口が2.33倍に増えています。ちなみに、沖縄県全体では、同期間1.43倍の増加です。


普天間基地からの基地移転の理由が危険性がなら、なぜ、危険な地域にも関わらず人口が増えているのでしょうか?


名護市、キャンプ・シュワブと辺野古


名護市と米軍キャンプ


名護市のデータ

面積 210.90km2
人口 61,516人
人口密度   292人/km2


宜野湾市と比べると人口密度がかなり低いです。騒音や危険性が問題であれば、たしかに名護市への移転は理にかなっています。名護市の1970年から2010年の人口増加は1.51倍で、ほぼ沖縄県全体と同じと言ってよいと思います。


塗りつぶした区域は、米軍のキャンプ・シュワブです。だいたい20km2程度とのことで、名護市の10%ぐらいです。そして、基地建設予定の辺野古は、右側の海岸地域だそうです。Wikipediaによると、毎年23億円の借地料が支払われているとのことです。そのうち1/4は私有地とのことで、逆算すると17億円は公有地ということになります。名護市の平成26年の歳入予算は374億円。財産収入が20.9億円あります。この大部分がキャンプ・シュワブの借地料になります。


隣接する金武町を中心に別の米軍キャンプ・ハンセンがあり、Wikipediaによると、このキャンプの面積のうちの162ヘクタールは名護市にあります。この使用料が1.3億円で、2013年9月には返還が合意されました。


名護市の稲嶺進市長(2006年までの沖縄県知事は稲嶺惠一氏で別人)は、辺野古移設を反対しているとのことですが、しかしこのキャンプ・ハンセン返還の延期を申し入れたそうです。



沖縄振興策と軍用地借地料


首相官邸ホームページによると、平成26年の沖縄振興予算は3501億円です。沖縄県の人口は1392千人ですので、1人当たり25万円/年の補助金が支払われていることになっています。



これ以外に、本書でも触れられていますが、軍用地の借地料が沖縄全体で900億円あるとのことです。借地料を受け取っている人は4万人いるとのことで、沖縄県全人口の約3.5%になります(県外地主もいるかもしれませんが割合は不明です。) 単純平均は225万円/人です。もっとも、通常の所得と同じように、一部の高額所得者が平均を押し上げているでしょうから、中央値は100-200万円の間ではないでしょうか。


ちなみに、沖縄県統計資料WEBサイトによると、沖縄県のGDPは3.8兆円(平成24年)とのことです。つまり、沖縄県のGDPの9.2%は国の沖縄振興費で、2.4%は軍用地借地料です。沖縄の基地依存度は11.6%になります。


「軍用地借地料」で検索すると、こんなページが見つかりました。なんと、暦とした不動産ビジネスなんですね。



『沖縄の不都合な真実』とは


さて、もともと私は、日本の安全保障・地政学的リスクを考えた場合、アメリカ軍を沖縄に留めておくべきだと考えていました。本書を読んで、少し考えが変わりました。以下の著者の意見と同意見です。

大事なのは被害者沖縄に寄り添うことではありません。沖縄の基地を減らし、見返りの振興策と減税措置をなくすことです。


沖縄県民は基地を押し付けられた被害者なのか?そうではないと思います。基地があることが不幸なら、宜野湾市の人口は沖縄県の平均より減ってしかるべきですが、そうなっていません。本書を通じて分かったことは、振興策が沖縄県民から自立心を奪い、一部の地主が甘い借地料という甘い汁を吸っているという構図です。


沖縄県の一人当たりの県民所得は47都道府県中最下位です。沖縄県を蝕んできたのは、振興策です。沖縄県の自立を助けるためには、基地を減らし、振興策を減らすことも必要です。


関連リンク


<書評読み比べ>


<その他>

沖縄県に振興予算をつける代わりに、基地を容認してもらう、という不健全な押し付け行為が行われているように見えます。また、日本政府は米軍に対しても移転費用の一部負担を行っています。それらが反対派・容認派の理由になっているのかどうか。あまりに裏表がある議論に、なんともいえない気持ち悪さを感じます。

現在、沖縄で左翼的思想を持っている人間は圧倒的に少ないが、そういう団体の意見だけを取り上げるマスコミが大手を振って沖縄の意見を歪めているというの は現実なのだ。



編集後記


もっと簡単に書こうと思っていたのですが、分からないことを調べていったらどんどん新しいことが分かって記事が長くなってしまいました。



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