<目次>
第一章 嵐を呼ぶ妹
第二章 波乱の恋文
第三章 ついてない男
第四章 兄の大失敗
第五章 志の果て
第六章 女囚の秘密
第七章 放たれる寅
第八章 罪人の塾
第九章 面白くない男
第十章 塾生たち暴れる
第十一章 すれちがう恋
第十二章 妻は不美人
ちょっと前に読了したノベライズ版の『花燃ゆ』です。第一巻から第四巻まで出版される予定です。予定というのは、まだ第一巻しか出版されていません。第一巻は、初回から井伊直弼が大老就任するあたりまでのようです。
ノベライズ版というのは、脚本をベースに小説化されたものです。撮影とは並行して執筆されているためか、微妙に放送内容と食い違うことがあります。たとえば、第一話は、脚本は『嵐を呼ぶ妹』となっていたようですが、放送では『人をつなぐ妹』となっていました。
さて、この第一巻で私がハイライトしたい点は二つです。ネタばれご注意ください。本当は三つなのですが、すでに第一話は取り上げてしまいましたので、以下の第一話感想を参照ください。
教えを請い、問うこと
久坂「私塾を開くと聞きましたが、人をばかにするだけばかにするあなたの、ご講義がどれだけ立派なもんか、ひとつ、聞かせていただこう」
寅次郎「僕は講義などするつもりはありません。そうですね、もしも塾を開くなら、どちらかと言うと、あなたに教えていただきたい」 (P191)
「第八章 罪人の塾」より
人を育てる一番の近道は、教えを請うことです。吉田松陰が実際にそのようなことを言ったかどうかはともかく、『花燃ゆ』の中では、明倫館で、野山獄で、松下村塾で、塾生や罪人たちにも問います。
吉田松陰という人物が、若くして多くの志士たちを育て上げることができたのは、この問う力だったのではないでしょうか?そういえば、ギリシャの哲人ソクラテスも問い続ける人生を全うしました。問うことは、人間の本質かもしれません。
知行合一~知識だけでなく行動を伴う志
寅次郎「吉田君の志、しかと受け止めた」
寅次郎「身分の上下」、くだらん建前、すべてこの志の前には一文の価値もない。思うように抗え。古い考えに縛られるな。諸君!狂いたまえ!」
稔麿、久坂、高杉、利助「おおっ」
文「えっ、ちょっと待って。え、え、えっ!?」 (P243)
「第十章 塾生たち暴れる」より
松下村塾四天王の一人、吉田稔麿の江戸遊学許可が下りなかったことに対し、稔麿が熱き志を松陰に語った後の台詞です。志を受け止めたからといって、松陰自身が動くわけではありません。大切なのは受け止めたことです。
この後、稔麿らは徒党を組み明倫館の椋梨のところへ出向き、椋梨に稔麿江戸遊学再考を迫ります。『花燃ゆ』の中でも、松陰は文に「知行合一」を説きます。塾生たちにも、知識だけでなく行動を伴う志を持つことを弟子たちに植えつけました。その志が、明治維新の原動力となっていきました。
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