- 第一講 平家は本当に滅亡したのか
- 第二講 天皇にはなぜ姓がないのか
- 第三講 なぜ京都が都になったのか
- 第四講 紫式部の名前はなぜ分からないのか
- 第五講 光源氏はなぜ天皇になれなかったのか
- 第六講 平安貴族はなぜ「兄弟」「姉妹」だらけなのか
- 第七講 「高貴な処女」伊勢斎宮の密通は、なぜ事件化したのか
- 第九講 頼朝はなぜ、義経を殺さねばならなかったのか
- 第十講 徳川将軍家はなぜ女系図が作れないのか
- 補講その一 聖徳太子は天皇だった? 謎の年号「法興」
- 補講その二 乳母が側室になる時 今参局と日野富子
- 補講その三 究極の男色系図 政治を動かす「男の性」
- 補講その四 戦国時代の偽系図 学者と武将と「醜パワー」
- 補講その五 茶々と家康の縁談 久々の女帝誕生の真相
- あとがき
- 参考原典・主な参考文献
- 担当編集者のひとこと
【書評】『女系図でみる驚きの日本史』(1)オンナにより出世が決まった。 : なおきのブログ
平安京はプレイボーイとプレイガールの世界
さて、『源氏物語』には、藤壺中宮、葵の上、紫の上、六条御息所、明石の方、花散里、女三宮等、光源氏と交わるたくさんのオンナたちが登場します。光源氏は少し度が過ぎるようではありますが、当時は正妻以外にも側室を複数持つのは当たり前、つまり一夫多妻制でした。
さて、ここで不思議に思うのです。生物学的に男女の出生比はほぼ同じなのに、どうして一夫多妻制が成り立つのだろうかと。相対的に身分の低い女が身分の高い男の側室になり、その連鎖が身分の末端まで続くと、身分の低い、貧しい男はあふれるという構図になる、これまではそのように考えていました。
しかし、事実は異なったようです。オンナたちもまた、複数の男たちと交わっていたのです。紫式部や源義経の母常盤御前、『とはずがたり』の後深草院二条がそうでした。そして最も顕著な例が紫式部の娘の大弐三位。本書によれば、五人の男と契り、そのうち二人の男との間に子を産みます。
俗語で「兄弟」とは一人のオンナを共有した男たちのことを指しますが、平安京には一人のオトコを共有した「姉妹」もあふれていたのでした。本書第六講のタイトルにあるとおりです。
平安貴族はプレイボーイで肉食系でしたが、平安女子もまたプレイガールで肉食系でした。
つづく。
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