<目次>
- プロローグ
- 第1章 挫折
- 第2章 起点
- 第3章 信念
- 第4章 挑戦
- コラム ドジャース時代のルーティン
- 第5章 戦場
- 第6章 決断
- 第7章 広島
- エピローグ
- 証言
- photo credit : Sakuraikubuki via Hiroki Kuroda - Wikipedia
「自伝」を読むこと
「自伝」を好んで読むようにしています。政治家、起業家、経営者、そしてアスリート。アスリートでは、桑田真澄、三浦知良、工藤公康の本を読んできました。
なぜ、自伝を読むのか?
そこにはその人の哲学があるから。政治哲学、起業哲学、経営哲学、スポーツ哲学。それらを総称すれば、人生哲学。
「人間」として魅了されるアスリート。近い世代では、何と言っても桑田真澄と松井秀喜。50歳まで現役を続けた山本昌弘。イチローは、世代は近いのだけど、完璧すぎて、届かない感じ。世代を離れれば、王貞治でしょうか。
そしてここに、もう一人、「人間」として魅了されるアスリートを見つけました。黒田博樹投手のことは、「広島のエース」程度しか、認識がありませんでした。テレビをほとんど見ることがない私が、11月3日、偶然、テレビで黒田投手のルポルタージュを見たのです。読書日記人気ランキング
悪しきFA制度
FA権を取得した最初の年、黒田選手はFA権を行使せず、広島に残留しました。しかし翌年、FA権を行使し、メジャーリーグへ挑戦することになりました。その記者会見で、黒田選手は涙を流しました。「つらい」と。「広島と別れるのがつらいと」
1990年代半ばまで、私は比較的野球が好きでした。愛知県出身の私は、物心がついたころから中日ファンでした。小学校三年生の時に、星野仙一と田尾安志にサインをもらったことをはっきりと記憶しています。1988年、大学1年の時、ナゴヤ球場でアルバイトをしました。中日がセリーグ優勝を決めたその日も。また、1994年、1996年、最後まで巨人と優勝争いをしたことを覚えています。
しかし、その後、野球を全く見なくなりました。それは、日本のプロ野球界にFA制度が導入されたからです。FA制度によってもたらされたものは、金で買われていく選手たちの姿でした。清原、広島の江藤、西武・ダイエーの工藤。彼らが入団したのは巨人。私自身は、昔も今もアンチ巨人ですが、生え抜きの松井は好きです。しかし、清原、江藤、工藤は、嫌いです。この弊害をもたらした日本球界のFA制度が憎くて溜まりませんでした。読書日記人気ランキング
黒田博樹投手
しかし、ここに、日本のFA制度に真っ向からNOを突き付けた男を見つけたのです。黒田博樹投手です。最も、ご本人にはFA制度にNOを突き付けたというつもりはないでしょう。しかし、日本球界のFA制度が憎かった私は、そう受け止めました。
自分を育ててくれた広島を愛しつつも、挑戦したい気持ちによってやむに止むを得ず広島を去り、そしてまた広島に戻ってきた黒田博樹の男気に感服します。「人間」として、大切なものを見せてくれました。
ありがとう、黒田投手!
黒田博樹投手の記事
- Hiroki Kuroda - Wikipedia
- 広島カープに帰ってきた黒田博樹という男 メジャーの20億円を捨てても、「約束」を守る こんな生き方をする日本人がまだいた(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
- 広島カープの男気・黒田のいい人っぷりに感激する人が続出中! - NAVER まとめ
アスリートの自伝
2010年12月、HONZに申し込む時に書いた最初の書評が本書です。このブログを始めたきっかけとなりました。振り返ると、当時の文章のつたなさが分かります。
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