GEO Globe.jpg
"GEO Globe" by Christian Fischer - 投稿者自身による作品
Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.


選書について、基本的に濫読に近いかたちの読書をしていますが、好んでいくつかのテーマに沿った読書というものもしています。ひとつの領域についてある程度深く洞察を得るには、戦略的に読書をしておく必要があるからだと思います。


教養を養うという点で、「心理学」、「脳科学」など、育児ならびに組織上に必要な「教育」、ほとんど趣味の世界の「官能」や「女性」論など。ある程度極めた感があるのが、「社会学」つまり「コミュニティ論」です。


そして今、極めたいと思っているテーマが、「横につなぐ世界史」、「戦前史」です。今後のグローバル化社会で生きていくには、この二つの観点での歴史への洞察から得られるエッセンスが、きっと役に立つだろうからです。


横につなぐ世界史


歴史を横軸と縦軸で考えます。縦軸を時間、横軸を地域と考えます。通常の歴史は、ほとんどが縦の歴史です。日本の歴史、中国の歴史、メソポタミアの歴史、ヨーロッパの歴史。そして時々、大航海時代、植民地競争、開国、世界大戦など、他国との歴史と交わります。


しかし、横につなぐ世界史というのは、そういう事象単位で横のつながりを見るのではなく、もっと巨視的に、地域間の相互関係性、相互依存性を見るありかたの世界史です。


関連する概念
  • システム思考
  • 世界システム論
関連リンク


横につなぐ世界史のイメージ図

横につなぐ世界史


歴史は認識


歴史とは「認識」です。他国と歴史認識を一致させることがいかに難しいかは、従軍慰安婦問題や靖国問題が示すとおりです。


つまり、こうした問題を乗り越え、他国と力を合わせて世界をよりよくしていくためには、横につなぐ世界史への洞察がぜひとも不可欠なのではないかと思うわけです。


横につなぐ世界史の例:日本の開国と明治維新


ひとつ例を示しますと、①ワットの蒸気機関の改良、②モールスの電気通信の発明、③アメリカ・メキシコ戦争後のアメリカによるカリフォルニアの獲得、④クリミア戦争、⑤アメリカの南北戦争、これらの事象はすべて日本の開国と明治維新に多大なる影響を与えただけでなく、なぜ朝鮮が著しく発展が遅れ、結果的に日本による植民地化へと繋がったかも説明ができます。


  1. 蒸気機関(1776年)
    蒸気機関が改良されたことにより、数十年後には蒸気船が登場し、ヨーロッパやアメリカから大型の船が短時間に日本にたどりつくことができるようになりました。

    日本史の教科書では、開国に影響を及ぼした事件として、1840年のアヘン戦争があります。しかし、なぜそこに突如イギリス軍が清を敗ることができたのかの説明がなされていません。あたかも清が弱いような印象を与えますが、この時でさえもGDP世界最大の国は清です。敗ることができるようになった理由のひとつは、大型蒸気船の建造が可能になったことです。なお、船の歴史はまだ不勉強につき、これから読書をする予定です。

  2. 電気通信(1837年)
    モールスの発明した電気通信は、明治維新前にはすでに海底ケーブルをつたってヨーロッパとアメリカをつないでいました。そして、1872年には関門海峡に海底ケーブルが架設され、東京からヨーロッパを経て、ニューヨークまで繋がりました。

    こうして世界が繋がったのに、依然として鎖国している国がありました。それが李氏朝鮮です。李氏朝鮮の開国は日本から遅れること22年、1876年のことでした。この22年の開国の差が、日本と李氏朝鮮の間の埋めがたき発展の溝を作ってしまいました。自国を守る軍隊を持たず、識字率も低かったため、李氏朝鮮は自国を守ることができませんでした。

  3. アメリカによるカリフォルニアの獲得(1848年)
    今でこそアメリカは太平洋の面した国ですが、1848年にメキシコに勝利するまで、カリフォルニアはメキシコとの係争地域でした。マシュー・ペリーが日本に開国を迫ったのは、西太平洋における捕鯨活動のためでしたが、アメリカ船による太平洋での捕鯨活動が活発になったのは、カリフォルニア獲得後です。

  4. クリミア戦争(1853年-1856年)
    アメリカ、ロシアにつづいて、イギリス船も日本に到着します。当時、イギリスはロシアと戦争をしており、西太平洋におけるロシア船を追って到着したのがイギリス船でした。

  5. 南北戦争(1861年-1865年)
    日本を開国させた立役者はアメリカでしたが、しかし実際、日本との貿易を寡占したのイギリスでした。1861年から1865年までアメリカは南北戦争で忙しかったため、日本との貿易を増やすことができませんでした。結果的に、明治維新から第一次世界大戦まで、日本との結びつきのもっとも強い国は、イギリスでした。

    そして、南北戦争におけるもうひとつの影響は、『八重の桜』でも描写されていましたが、戦争終結にともなう最新式銃の日本への流入です。『八重の桜』の中では最新式銃がいくらほどで買えたかは描かれていませんでしたが、単純に考えて、戦争が終われば武器の値段は大暴落したはずです。

    1864年の禁門の変と第一次長州征伐では、こてんぱんに幕府側に敗れた長州が、わずか4年の間に力関係を逆転させたのは、薩摩の支援があっただけでなく、暴落した最新式銃を真っ先に購入できたからではないでしょうか?


外交問題も国内問題も世界との相互作用に起因する


なぜ、1853年にマシュー・ペリーは来航し、わずか15年という短期間という間に日本国内の勢力図が完全にひっくり返り、明治維新が成し遂げられた背景には、こうした世界の動きが無視できないどころか、多大なる影響を受けていることが分かります。


現代における外国との諸問題、従軍慰安婦問題や靖国問題だけでなく、イスラム原理主義、パレスチナ問題、クリミア問題なども、この「横につなぐ世界史」という観点で洞察すれば、何と何が影響を及ぼしあっているのか、どうすれば解決の糸口がつかめるのかが自ずと明らかになるように考えています。


そしておそらく外交問題だけでなく、我々が国内問題だと考えているデフレ、低成長、財政赤字など諸々もの課題も、世界との相互作用から少なからぬ影響を受けていることが分かることになります。


さて、ここまで書いて文章が長くなりましたので、肝心の「横につなぐ世界史」をテーマにする本の紹介は、次回のブログ記事に譲ることにします。



「横につなぐ世界史」のベースになっている基礎知識を与えてくれた本です。



↓↓参考になったらクリック願います↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村