2017年11月26日の追記

11月22日のサンフランシスコ市の慰安婦像受入れ決定を受け、本記事のアクセスが増えました。2014年の朝日新聞社の吉田証言取り下げ後に書いたのが本記事です。本記事により情報発信したことによりTwitter上で多数のコメントが寄せられ、9月24日に追記記事を書いていますので、合わせてそちらも参照ください。



まえがきと目次

(別の記事を公開予定で下書き準備完了していたのですが、急遽、こちらの記事をアップさせていただきます。)


ニューヨークタイムズの田淵広子記者(以下単にNTY田淵さん)と慰安婦問題についてTwitter上でやり取りをしたところ、期せずしてプチ炎上、もとい、大変話題沸騰状態になりました。気づくとフォロワーの数が一日半で200人も急増しました。


また、通常の返信だけでなく、数々のメンション、RTでTwitter上の通知欄が超高速で流れていき、ほとんど見えなくなってしまいました。あぁ~炎上ってこういうことか。著名人の方々は、日ごろからこんな画面を見てるんですね。身にしみました。


結論を先に言うと、「ひとまず落ち着こうよ」です。売り言葉に買い言葉は禁物です。一部、俄か知識で書いています(文中に注釈あり)。間違い等ありましたら、ご指摘いただけると幸いです。


【目次】
【関連記事】
【当ブログの反応】(2014年9月20日追記)


追記(2014年9月24日)

本記事にて、「性的奴隷であるという認識が英語圏の知識階級にそれなりに普及してしまっている」と書きましたが、その後、いろんな方面からフィードバックをいただいた意見を元に一次情報を確認すると、この認識が誤りである可能性が高いことが分かりました。誤解をお招きいたしまして、お詫び申し上げます。9月24日時点の理解を別途まとめさせていただきましたので、そちらをご参照ください。


慰安婦問題に関する現時点の理解のまとめ


日本国内と異なる英語圏での受け止め方


さて、本題に入ります。現時点で理解しているところをまとめます。まだ理解不足の点もあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。


8月5日-6日の朝日新聞社の慰安婦報道に対する訂正、その後9月11日の朝日新聞社木村社長の謝罪会見により、日本中のソーシャルメディア界隈は、日本軍による慰安婦の強制連行はなかったという主張(以下単にアンチ慰安婦問題)で沸騰しています。しかし、NYT田口記者とやり取りして分かったことは、日本国内と英語圏※での受け止め方が全く違うことに気づきました。


(※英語圏:「海外」とか「国際社会」という表現では、いったいどこの国が含まれているのかが分かりません。英語の情報ソースを指していますので、英語圏と表現することにします。韓国や中国はもちろんのこと、英米以外の欧州諸国での評価は含みません。)


まず「軍による強制」はほとんど話題になっていないという点。そして日本人の多くが世界の潮流を見落としてしまっている点です。「軍による強制」はほとんど話題になっていないという点。そして日本人の多くが世界の潮流を見落としてしまっている点です。


気づいたあたりのツイートを引用します。





このツイートの後に、田淵さんを肯定する英語での返信を複数の方からいただき、「あれ?何か変なこと言った?」と気づき始めました。



Rome Statute(日本語ではローマ規定)なるものを知りませんでしたので、早速ぐぐりました。



慰安婦問題を論ずる前に、世界の潮流がどうなっているのかを理解しておく必要があると気づいた次第です。それがこのブログ記事を書こうとしている動機です。


前提となる世界の潮流を理解する


少し現代史をおさらいします。1989年にベルリンの壁が崩壊、1991年にソ連が崩壊し、冷戦が終結しました。多感な大学生の時でしたので、非常に記憶に焼きついています。今から振り返っても、大変な時代の転換点だったように思います。


冷戦が終わり、平和になったと思いました。そして、平和の訪れとともに別の問題が浮上してきました。冷戦下ではあまり話題になりにくかったことです。戦時下の人権問題です。それまでの人権問題と冷戦崩壊後の人権問題の違いは、「戦時下」を扱うかどうかではないでしょうか?当面の大規模戦争が回避できたからこそ、戦時下の人権問題が浮上してきたようです。


 マイケル・J・フォックスがショーン・ペンが出演した『カジュアリティーズ』という映画が1990年に公開されました。ベトナム戦争でのアメリカ兵によるベトナムの少女を強姦する実話に基づいた映画です。ショーン・ペンがリーダー役で、自ら少女を強姦するだけでなく、自らが率いる小隊の兵士たちにも少女を強姦させます。マイケル役は強姦には参加できず、後に上官を告発します。この映画を見た時、もちろん慰安婦は知りませんでしたし、戦争ではこういうことが起きるということを初めて知りました。


世界の潮流とは?


以下、年号を追っていきます。


  • 1993年:国連人権高等弁務官事務所設立
  • 1998年:国際刑事裁判所ローマ規程採択:「人道に対する犯罪」が規定される。
  • 2007年:国会承認により日本も本規定へ加入。関連法案成立&施行により日本でも本規定の効力が発生した。


「人道に対する罪」に「性的奴隷」すなわちsex slaveがあります。奴隷には常に「強制性」が伴います。そもそも日本には欧米のような奴隷制度・人身売買制度はありませんでした。1998年の採択時にローマ規定は日本でほとんど話題にならなかったのではないでしょうか?少なくとも私は全く記憶にありません。


以上、慰安婦問題があろうがなかろうが、起きている世界の潮流のようです。ひょっとして韓国のロビー活動があったのかどうか、朝日新聞(&ニューヨークタイムズ)の報道が影響したのかどうかは知りませんが、現在では、太平洋戦争時の日本占領下における慰安婦たちは、性的奴隷であるという認識が英語圏の知識階級にそれなりに普及してしまっている、と理解しています。


なお、この段落は、Wikipediaをさっと読んだ程度の俄か知識で書いています。正確ではないかもしれません。正確な情報をご存知でしたら、ご指摘いただけると幸いです。


<参考>


追伸(9月19日記述)

ローマ協定は米国は批准していないこと、不遡及の原則と原則除外ケースについて、コメントいただきました。また、Twitter上でも、慰安婦=性奴隷が英語圏の知識階級の常識か?という点について、疑義のコメントをいただき、その際たる例として、朝日新聞大島記者とサキ米国報道官のやり取りを紹介してもらいました。大島記者が慰安婦=性奴隷という言質を取ろうと誘導尋問したところ、サキ報道官にかわされました。



強制か強制性か?


「慰安婦制度」は、たとえ官憲による強制がなかったとしても、不本意ながら涙を流している元慰安婦の方が存在していることは、「強制性」がなかったことを否定はできません。このことはアンチ慰安婦問題の方々も、概ね共通認識だと理解しています。


「日本軍による強制」と「強制性」。8月5日の朝日新聞では前者を誤報であったことを認めて取り下げましたが、後者は「広い意味での強制性があった」と9月12日の紙面でも繰り返し述べています。日本国内ではこれを「朝日新聞の論理のすり替え」と憤る声が大きいですが、果たしてそうなのか?ということが疑問に感じるようになりました。


国連で人権問題が重要なアジェンダになったこと、国連では性的奴隷は「軍による強制」という狭い範囲ではなく広い意味での「強制性」と捉えていることなどを考慮すると、どうも朝日新聞の主張は国連のアジェンダと一致しているように見えてきました。


認識ズレの最大のポイント


欧米のような奴隷制度のなかった日本には「性的奴隷」という言葉が「太平洋戦時の日本占領下の慰安婦」と結びついて普及してしまいました。本来、「性的奴隷」はもっと広い概念です。それに、「性的奴隷」、英語でSex Slaveというのは、非常に扇情的な表現です。当初、二つを同義と扱うことに大変な違和感、憤りを感じました。そして私も反論してしまったわけです。


しかし、「性的奴隷」とは「太平洋戦時の日本占領下の慰安婦」だけを意味することではないことを、多くの日本人は見落としてしまっているのではないでしょうか。「慰安婦の強制連行はなかった」と反論するあまり、「慰安婦は性的奴隷ではない」と言ったところで、英語圏では女性の人権否定と受け止められかねません。それは、さきほど引用したNYT田淵さんと私のやり取りのとおりです。日本人と英語圏との「性的奴隷」の認識が、最もズレているところではないかと考えています。


「民間業者がやったことだから、日本軍・日本政府の責任はない」という声があります。私もそう思います。「民間業者の中には韓国人もいたのではないか。韓国人も非難されるべきではないか?」という声もあります。私もそう思います。しかし、英語圏では「日本軍による強制」が論点になっていない以上、日本人がこの主張を繰り返すことは徒労に終わるだけでなく、開き直りと取られかねません。


もし、田淵さんに非があるとすれば、日本人が性的奴隷の意味を理解していないのに、性的奴隷という言葉を多用し、結果的に反感を招いている点です。もし、日本人の理解不足を知らなかったのであれば、説明を心がけてはいかがでしょうか?


慰安婦問題の対処


以上のことから、日本人・日本国が世界の誤解を解き対処する道筋はひとつしかないと、私なりに結論に至りました。日本人と日本政府は、現在も世界で行われている「性的奴隷」に対して断固反対し、「女性の人権」を守るという立場で臨むこと。その態度を貫き実践することによって、国際社会で信頼を勝ち得ることが必要です。日本政府が十分な情報発信をしているかというと、否です。


「軍による強制」と「強制性」の誤解を解くのは、その後ではないでしょうか?


歴史から学び、孤立を避け、したたかに臨む


「軍による強制はなかった」、「慰安婦は性奴隷ではない」という点を声高に主張することは、かえって韓国を利するだけでなく、日本の信頼を著しく損ないかねません。残念ながら、日本語での私に対するメンション、リプライの内容のほとんどは、そういった内容です。NYT田淵さんにも届いているでしょうが、まったく共感されていません。


第一次世界大戦後、日本が枢軸側として太平洋戦争の道へ歩んでしまったのは、日英同盟の解消や国際連盟脱退という孤立の道を歩んでしまったことも理由のひとつです。英米が絶対正義とは思いません。しかし、英米との交流が減り、日本国内の認識が英米とズレ、日本の主張が英米に通じなくなった時、戦争は起きてしまったのではないでしょうか?(戦前、イギリスから反感を買っていたことは、別途ブログ記事にまとめる予定です。日本史の教科書に出てきませんので、ふつうは知らないでしょう。)


国益を損ねぬよう信頼を回復するために、我々日本人は不用意な発言は避け、したたかな戦略をとりませんか?


以上


あとがき


この記事を書いた時点で、「ローマ規定」や「人道に対する対する犯罪」、「性的奴隷」の理解・解釈は、Wikipediaに書かれている程度です。Wikipediaを引用します。


一般の欧米人の中には、日本の慰安婦は性奴隷だったから慰安婦が報酬を受け取っているはずがない、などという反応がある。実際、現代でさえ無給の奴隷状態の事件の報道はしばしばある。このため、先進国間の条約による「広い意味での性的奴隷」「文学的な性奴隷」という用語は一般的でない可能性も高い。混乱と危うさがつきまとう用語である。


「性的奴隷」の認識も食い違っている可能性があります。このことを十分検証できるほど英語の文献をあたる力は私にはありません。専門家に委ねざるを得ないことをご容赦ください。


関連書籍


慰安婦問題を語りながら、これまで慰安婦問題に関する本を読んだことがありません(明治期から戦前までの日韓史の本はすでに複数読んでいます)。読まずして論ずるのは読書家の名折れとなりますので、読んでみます。しばしお待ちを。



近現代史の大家。慰安婦問題研究の第一人者だと理解しています。8月6日付けの朝日新聞にも寄稿しており、慰安婦問題肯定派にも、それなりに受け入れられています。実は一度も秦先生の本を読んだことがありません。ここで述べている私の説は、実は既に秦先生は書かれているかもしれません。


従軍慰安婦 (岩波新書)
吉見 義明
岩波書店 ( 1995-04-20 )
ISBN: 9784004303848


慰安婦問題の捏造に加担したと批判されている吉見氏。Amazonレビューを読むと酷評されていますが、読書には常に反対の立場の本も読むべしというのは、たしか立花隆氏の弁だったと思います。ですので、合わせて読みたいと思います。



なんと、読売新聞がいち早く検証の新書を出すではありませんか。これは読まねば。


以上、3冊を押さえれば、理解が深まるはず。


ここまでブログ記事におつきあいされた方も、ぜひ一緒に読んでいただければ幸いです。


編集後記

2017年11月26日

Wikipediaの日本軍の慰安所の画像を引用していたのですが、元画像が削除されたため、記載を削除しました。



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